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本編3 始まりのダンジョン入場します
第二十話 始まりの迷宮で邂逅(20)
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「それじゃ皆さん。ダンジョン入場キー。カード取得からです」
まずは三人ともカードの取得になる。その……ついでだけど?
離れた位置では満面の笑み。自分のカードに触れる閣下の姿。
オタク思考に対して理解と造詣も深い素晴らしい性格のご老人。
余計な発言で地雷はご遠慮したい。仕方がないから声かけだ。
「閣下にお願いです。ダンジョン突入は最後になりますからね」
「わぁっとるわい。わしが率先して迷惑かけるはずなかろうよ」
子供っぽい部分はあれど政府の重鎮だ。責務は理解する閣下。
「皆さんオレ絶対に闘えませんからね。すべてをお任せですよ?
階層主の部屋まで道中現れる魔物。ミミズとムカデに巨大アリ。
ココから聴いた情報ですが角生えたネズミや犬。出現しますよ」
おそらく堅物でマジメな二人と……美人看護師。除外して雑魚
モンスターに困るはずもない。危険な事態になる可能性も低い。
「ちなみに実物よりも最大十倍くらいのサイズ。デカいですよ」
「ケージくんさ。オオムカデが降ってきたら錯乱状態になるの」
「うぅ。永依のおバカ。いきなり前に降ってきたらビビります」
ウインクしながら美女がからかう。逆らえる気もしないよね。
「とにかく常に安全第一の行動ですから。それに魔物を倒しても
血は飛びません。ゲームじゃないからステータスもありません。
実力だけですからね」マジメに身振りを交えながら伝えるだけ。
「ダンジョンは未知の領域。己の力を過信しすぎないことです」
三人の背後で扉をくぐりぬけた。隊列として先頭は部隊長だ。
美里さんが背後で薙刀を携えると隣に並ぶ。背後の白衣美女が
粛々としながらダンジョンをゆっくり前進していくだけなんだ。
もちろん無言で上下と前後左右。絶えず視線で警戒している。
「もうすこし下がっていいのよ。ケージくん」細く美しい指先が
肩まで載せられた。振り返ったまま驚愕する。身体も硬直した。
鈴音が細い腕で短刀を振るう。オオムカデは一刀両断される。
壁に出現した一メートル近いムカデ。鈴音は顔色も変えない。
左掌に強く握った刃渡り十センチもない投げナイフの一閃だ。
オオムカデの眉間に突き刺すと引きぬきながら胴部を両断する。
白衣で巨乳の美人看護師って……閣下のつぶやきを理解した。
鈴音の正体に見当がつく。修験道は山岳信仰。古神道の信者が
厳しい霊山修行の結果として『験力』を得た。山伏一族になる。
岩肌があわく照らすダンジョン階段を降りて一本道を進んだ。
アリやミミズも出現する。だがしかし現れると同時。部隊長と
ミサトさんが速攻叩き潰した。こちらがやることはなにもない。
地下のダンジョンで足元に注意しながら歩きつづけるだけだ。
おそらく自衛隊で最強の特殊部隊だ。その強さだけは理解した。
ただ驚きだったのは短い薙刀を振るミサトさんの雄姿だった。
国家公務員一種試験に合格できる警察官僚。マジメでまさかと
考えさせられた。閣下も知己の一族出身。さもありなんである。
それほど巨大じゃない始まりの迷宮なんだ。体感的に一時間は
かかってないよね。迷宮の最奥になる広場。なんとか到着した。
「さて佳二くん。この先が階層主だ。どうすればいいのかな?」
「うーんわかりませんね。自分たち二人ここに到着した。永依が
確かにつぶやいた。そこで機械音も応じた。おかしな状況です」
部隊長の厳かな声に即応する。詳しいことは理解していない。
ここまでは出番もなかったから率先して巨大扉まで近づいた。
左掌で軽く触れるが稼働する気配もない。脳内音声も響かない。
ここでどうすればいいかわからない。前回の状況を説明する。
「なかは全体が岩肌の床でした。妙な円陣が描かれたその中心で
ココが両膝を抱える。眠りにつく状態で……脳内音声に導かれて
預けられただけかもしれない」単なる感想だ。特別感慨もない。
「現在ココさんは同伴していないな。角の生えた頭部が二つある
黒い地獄犬だよな。階層主不在または条件を満たしていないか。
現時点の我々に入室できない。明確すぎる理由もあるのだろう」
「もしかしたら逆で入室済みのケージくん。同伴ダメだった?」
部隊長とミサトさんだ。理由を推察しながら質疑も交わした。
「まったくもってその通り。メンバーを厳選してから再挑戦だ」
こちらの役目も無事に終わりそうだ。そっと胸をなでおろす。
「ケージくん。ホント弱点ばかりだけど度胸あってかわいいよ」
背後から鈴音さん。おかしなつぶやきに面はゆさを意識する。
「なんで三人とも……全員にスキルでるかな」声を荒げて叫んだ
理由も納得できるよね。メンバー全員。出口のカード確認だよ。
前回と同じ。裏面に並ぶ文字列。見つけてビックリしたんだ。
まずは三人ともカードの取得になる。その……ついでだけど?
離れた位置では満面の笑み。自分のカードに触れる閣下の姿。
オタク思考に対して理解と造詣も深い素晴らしい性格のご老人。
余計な発言で地雷はご遠慮したい。仕方がないから声かけだ。
「閣下にお願いです。ダンジョン突入は最後になりますからね」
「わぁっとるわい。わしが率先して迷惑かけるはずなかろうよ」
子供っぽい部分はあれど政府の重鎮だ。責務は理解する閣下。
「皆さんオレ絶対に闘えませんからね。すべてをお任せですよ?
階層主の部屋まで道中現れる魔物。ミミズとムカデに巨大アリ。
ココから聴いた情報ですが角生えたネズミや犬。出現しますよ」
おそらく堅物でマジメな二人と……美人看護師。除外して雑魚
モンスターに困るはずもない。危険な事態になる可能性も低い。
「ちなみに実物よりも最大十倍くらいのサイズ。デカいですよ」
「ケージくんさ。オオムカデが降ってきたら錯乱状態になるの」
「うぅ。永依のおバカ。いきなり前に降ってきたらビビります」
ウインクしながら美女がからかう。逆らえる気もしないよね。
「とにかく常に安全第一の行動ですから。それに魔物を倒しても
血は飛びません。ゲームじゃないからステータスもありません。
実力だけですからね」マジメに身振りを交えながら伝えるだけ。
「ダンジョンは未知の領域。己の力を過信しすぎないことです」
三人の背後で扉をくぐりぬけた。隊列として先頭は部隊長だ。
美里さんが背後で薙刀を携えると隣に並ぶ。背後の白衣美女が
粛々としながらダンジョンをゆっくり前進していくだけなんだ。
もちろん無言で上下と前後左右。絶えず視線で警戒している。
「もうすこし下がっていいのよ。ケージくん」細く美しい指先が
肩まで載せられた。振り返ったまま驚愕する。身体も硬直した。
鈴音が細い腕で短刀を振るう。オオムカデは一刀両断される。
壁に出現した一メートル近いムカデ。鈴音は顔色も変えない。
左掌に強く握った刃渡り十センチもない投げナイフの一閃だ。
オオムカデの眉間に突き刺すと引きぬきながら胴部を両断する。
白衣で巨乳の美人看護師って……閣下のつぶやきを理解した。
鈴音の正体に見当がつく。修験道は山岳信仰。古神道の信者が
厳しい霊山修行の結果として『験力』を得た。山伏一族になる。
岩肌があわく照らすダンジョン階段を降りて一本道を進んだ。
アリやミミズも出現する。だがしかし現れると同時。部隊長と
ミサトさんが速攻叩き潰した。こちらがやることはなにもない。
地下のダンジョンで足元に注意しながら歩きつづけるだけだ。
おそらく自衛隊で最強の特殊部隊だ。その強さだけは理解した。
ただ驚きだったのは短い薙刀を振るミサトさんの雄姿だった。
国家公務員一種試験に合格できる警察官僚。マジメでまさかと
考えさせられた。閣下も知己の一族出身。さもありなんである。
それほど巨大じゃない始まりの迷宮なんだ。体感的に一時間は
かかってないよね。迷宮の最奥になる広場。なんとか到着した。
「さて佳二くん。この先が階層主だ。どうすればいいのかな?」
「うーんわかりませんね。自分たち二人ここに到着した。永依が
確かにつぶやいた。そこで機械音も応じた。おかしな状況です」
部隊長の厳かな声に即応する。詳しいことは理解していない。
ここまでは出番もなかったから率先して巨大扉まで近づいた。
左掌で軽く触れるが稼働する気配もない。脳内音声も響かない。
ここでどうすればいいかわからない。前回の状況を説明する。
「なかは全体が岩肌の床でした。妙な円陣が描かれたその中心で
ココが両膝を抱える。眠りにつく状態で……脳内音声に導かれて
預けられただけかもしれない」単なる感想だ。特別感慨もない。
「現在ココさんは同伴していないな。角の生えた頭部が二つある
黒い地獄犬だよな。階層主不在または条件を満たしていないか。
現時点の我々に入室できない。明確すぎる理由もあるのだろう」
「もしかしたら逆で入室済みのケージくん。同伴ダメだった?」
部隊長とミサトさんだ。理由を推察しながら質疑も交わした。
「まったくもってその通り。メンバーを厳選してから再挑戦だ」
こちらの役目も無事に終わりそうだ。そっと胸をなでおろす。
「ケージくん。ホント弱点ばかりだけど度胸あってかわいいよ」
背後から鈴音さん。おかしなつぶやきに面はゆさを意識する。
「なんで三人とも……全員にスキルでるかな」声を荒げて叫んだ
理由も納得できるよね。メンバー全員。出口のカード確認だよ。
前回と同じ。裏面に並ぶ文字列。見つけてビックリしたんだ。
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