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本編3 始まりのダンジョン入場します
第十六話 始まりの迷宮で邂逅(16)
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「アッハッハッハ。なんて喜ばしい提案っしょ。ココちゃん!」
大きな声。笑う永依がおかしい。アヤシイ満面の笑顔だけど。
「一緒に選ぼうよぅ。いまから兵隊さんたちがミリメシっての?
うんまいパック飯いっぱいあっから。食べさせてくれるって!」
聴いたココも即行だったよ。無表情でテーブル席に歩みよる。
出入口からは離れたテーブル。何種類もパック飯が並んでる。
陸上自衛隊の正式採用から改良された戦闘糧食。それのⅡ型だ。
「ココちゃんって肉食なんだよね。焼き鳥かな。かも肉じゃが?
ポークソーセージに生姜焼き。角煮もあるよね。あとカレー?」
「つまりは鶏か豚だよね。ボリューミーな牛なら理想的だけど」
決めかね悩むココだった。見かねた自衛官が傍から助言する。
「自分らは食べやすさ優先で。ボリューミーなカレー好きです」
男が抱えるパッケージ。迷わずに両掌でうけとるココの姿だ。
「おかずに炭焼きチキン。ウインナーカレーだね。ご飯が二つ」
背中から抱きついた永依。耳元に顔を寄せて中身を説明する。
「二人分なら丁度いいかな」伝えられたココも納得した表情だ。
「なんでこうなるの」現実は哀しい。離れた位置で頭を抱えた。
なぜか目前に初老の男。幹部自衛官と若い女性の警察官僚だ。
正面に座る相手と『名刺』交換する最中。状況おかしくねえか?
……なんでこうなった? このあと面談や企業説明会じゃない。
ダンジョンの入口。繋がる階段室の前だ。間違いなしのリアル。
すこし話は前後する……ふてくされるココ。永依が即応した。
意識を失くしてから倒れたままの自衛官。スーツ姿は警察官だ。
細い腕に永依が抱え起こす。額や首筋にそのまま活をいれた。
意識が戻るとギャルの腕に挟まれる状態。目前にいた美少女に
打ちのめされる。感情の赴くままにおバカ娘のファンになった。
永依に崇拝の視線なんだ。同時に自身の肉体も確認している。
おかしくないかな。ラブ抜きで性質の悪いコメディに見えるよ。
こちらの三人は建屋の出入口。階段扉から離れた中央付近だ。
黒スーツの女性がパイプ椅子。折り畳みのテーブルを設置する。
初老男と対面になる着座だ。ほんのすこしだけ緊張するよね。
「それで……なんだったかな。最近すこし物忘れがね……我々も
君たちと敵対するとか事を構えたい訳じゃない。まず自己紹介」
まぁそれもそうかな。一般的に社会人としてなら常識だろう。
「陸上自衛隊で二等陸佐だ。信太山駐屯地の司令補佐。兼務して
大阪地方協力本部次長になる」きちんとした制帽に正装だった。
合同庁舎の訪問時。よく目にする幹部だね。意識して正解だ。
「城……佳二くんだったか? すこしだけ調査させてもらった。
悪い意味じゃなく義足だよ。目立つから有名人だ。問題ない人物
評価。わたしは葛城蓮司だ」聴いた言葉。驚きながら即応した。
「恥すかしい事実もない。構いません。陸自の葛城二佐ですか」
「つづいて私ですね。内閣府の国家公安警察。正式に所属します
調査機関です。階級は警視になりますね。名前が……姫宮美里」
うつむき頬を染める姿に疑問を抱く。オタク属性から閃いた。
「ミサトさんと葛城二佐……まさか別姓ですが親子だったり?」
「同時に名乗ると……気がつかれるとおもいました。残念ですが
関係ありません。それにアニメと現実。同一次元で語られますと
なんです。社会人としてどうかとだけお伝えさせてもらいます」
「おぉっ名前ミサトさん。それもクール属性でツンデレじゃん」
早くもオタ度が全開。引き気味の美里とガン無視する葛城だ。
「くだらない話はさておきますが。あなたたちってダンジョンで
なにかやりました? すこし前からですが脳内。理解不能な声が
聴こえています。この場所が始まりの迷宮と確認されましたし」
興奮状態。こちらに左差し指を突きつける。美里さんなんだ。
「えっとですね。最初からすべてを説明すればいいんですかね。
理解できるのかな。自分たちに隠すところなんてなんもないし」
伝えた言葉が不可解。美里が判断できないのか葛城に丸投げ。
「私だけでなく葛城二佐も同時拝聴します。端的な事実だけを」
瞬時に脳内で思考をめぐらせる。これもプレゼンテーション。
意識するだけだ。伝える順序に問題ない。事実確認済みで混乱
回避できる。『事実だけ端的に』それが基本だから間違いない。
「そうですね。まずダンジョンって一体なんだとおもいます?」
だがしかし最初に意識する。これが究極にして至高の問題だ。
その初手だった。完全に悪手だよねと嘆くことになる言葉だ。
伝え方と聴く側。想像と認識がちがいすぎると判断できない。
――「人生諦めが肝心」そんな言葉もあるし。とらえ方だよね。
前進するんだ。いつか未来さえ変わる。そう信じるだけさ――
大きな声。笑う永依がおかしい。アヤシイ満面の笑顔だけど。
「一緒に選ぼうよぅ。いまから兵隊さんたちがミリメシっての?
うんまいパック飯いっぱいあっから。食べさせてくれるって!」
聴いたココも即行だったよ。無表情でテーブル席に歩みよる。
出入口からは離れたテーブル。何種類もパック飯が並んでる。
陸上自衛隊の正式採用から改良された戦闘糧食。それのⅡ型だ。
「ココちゃんって肉食なんだよね。焼き鳥かな。かも肉じゃが?
ポークソーセージに生姜焼き。角煮もあるよね。あとカレー?」
「つまりは鶏か豚だよね。ボリューミーな牛なら理想的だけど」
決めかね悩むココだった。見かねた自衛官が傍から助言する。
「自分らは食べやすさ優先で。ボリューミーなカレー好きです」
男が抱えるパッケージ。迷わずに両掌でうけとるココの姿だ。
「おかずに炭焼きチキン。ウインナーカレーだね。ご飯が二つ」
背中から抱きついた永依。耳元に顔を寄せて中身を説明する。
「二人分なら丁度いいかな」伝えられたココも納得した表情だ。
「なんでこうなるの」現実は哀しい。離れた位置で頭を抱えた。
なぜか目前に初老の男。幹部自衛官と若い女性の警察官僚だ。
正面に座る相手と『名刺』交換する最中。状況おかしくねえか?
……なんでこうなった? このあと面談や企業説明会じゃない。
ダンジョンの入口。繋がる階段室の前だ。間違いなしのリアル。
すこし話は前後する……ふてくされるココ。永依が即応した。
意識を失くしてから倒れたままの自衛官。スーツ姿は警察官だ。
細い腕に永依が抱え起こす。額や首筋にそのまま活をいれた。
意識が戻るとギャルの腕に挟まれる状態。目前にいた美少女に
打ちのめされる。感情の赴くままにおバカ娘のファンになった。
永依に崇拝の視線なんだ。同時に自身の肉体も確認している。
おかしくないかな。ラブ抜きで性質の悪いコメディに見えるよ。
こちらの三人は建屋の出入口。階段扉から離れた中央付近だ。
黒スーツの女性がパイプ椅子。折り畳みのテーブルを設置する。
初老男と対面になる着座だ。ほんのすこしだけ緊張するよね。
「それで……なんだったかな。最近すこし物忘れがね……我々も
君たちと敵対するとか事を構えたい訳じゃない。まず自己紹介」
まぁそれもそうかな。一般的に社会人としてなら常識だろう。
「陸上自衛隊で二等陸佐だ。信太山駐屯地の司令補佐。兼務して
大阪地方協力本部次長になる」きちんとした制帽に正装だった。
合同庁舎の訪問時。よく目にする幹部だね。意識して正解だ。
「城……佳二くんだったか? すこしだけ調査させてもらった。
悪い意味じゃなく義足だよ。目立つから有名人だ。問題ない人物
評価。わたしは葛城蓮司だ」聴いた言葉。驚きながら即応した。
「恥すかしい事実もない。構いません。陸自の葛城二佐ですか」
「つづいて私ですね。内閣府の国家公安警察。正式に所属します
調査機関です。階級は警視になりますね。名前が……姫宮美里」
うつむき頬を染める姿に疑問を抱く。オタク属性から閃いた。
「ミサトさんと葛城二佐……まさか別姓ですが親子だったり?」
「同時に名乗ると……気がつかれるとおもいました。残念ですが
関係ありません。それにアニメと現実。同一次元で語られますと
なんです。社会人としてどうかとだけお伝えさせてもらいます」
「おぉっ名前ミサトさん。それもクール属性でツンデレじゃん」
早くもオタ度が全開。引き気味の美里とガン無視する葛城だ。
「くだらない話はさておきますが。あなたたちってダンジョンで
なにかやりました? すこし前からですが脳内。理解不能な声が
聴こえています。この場所が始まりの迷宮と確認されましたし」
興奮状態。こちらに左差し指を突きつける。美里さんなんだ。
「えっとですね。最初からすべてを説明すればいいんですかね。
理解できるのかな。自分たちに隠すところなんてなんもないし」
伝えた言葉が不可解。美里が判断できないのか葛城に丸投げ。
「私だけでなく葛城二佐も同時拝聴します。端的な事実だけを」
瞬時に脳内で思考をめぐらせる。これもプレゼンテーション。
意識するだけだ。伝える順序に問題ない。事実確認済みで混乱
回避できる。『事実だけ端的に』それが基本だから間違いない。
「そうですね。まずダンジョンって一体なんだとおもいます?」
だがしかし最初に意識する。これが究極にして至高の問題だ。
その初手だった。完全に悪手だよねと嘆くことになる言葉だ。
伝え方と聴く側。想像と認識がちがいすぎると判断できない。
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