10 / 10
第一章 新たな問題はハーレムの増員?
第十話 女の子はたくましい(10)
しおりを挟む
「ホントなーんもない山中だよ?」鈴音が苦笑するほどの僻地。
出身を紹介する説明に悩む鈴音だ。山間の温泉と自然は誇れる。
関西と名古屋を結ぶ近鉄線。奈良山中の終着地になる吉野だ。
県道を南下して宿泊地黒滝村。観光地とされる面不動鍾乳洞だ。
さらに南下。みたらい渓谷でも秘境と呼ばれるのが天川村だ。
奈良県。和歌山県。三重県。三県それぞれの境界になる土地。
世界遺産大峰山寺は重要文化財だ。いまも女人禁制の山上ケ岳。
飛鳥時代鬼神を使役した呪術者は……役小角だ。その修行地。
伝承の残る龍泉寺は天川村洞川温泉外れ。現存する滝行地だ。
滝行管理を名目にした木造家屋。建屋に各年代の美女が集まる。
十三世紀も経過した現代。山間に潜む山伏一族の末裔だった。
「ふむ純白の全身スーツ。間違いなく鈴音。投げナイフじゃな」
右の差し指。鼻口から細顎を押さえて悩む姿は妙齢の美女だ。
「ピンク髪は極真空手の達人。ウサギ少女も赤手空拳の理想だ」
「補助の赤スーツは丹波篠山。一般に紛れた天道の薙刀術だの。
それよりもじゃが……戦時大陸で救われた魔法使い? まさか」
部屋の片隅で遊ぶ子供たち。声が聴こえた数人近づいてくる。
かなり幼い少女が先頭を走る。途中倒れながら視線だけは強い。
半泣きになり涙をこらえる幼女。あざといが可愛らしい姿だ。
「あれれ? ケージくんじゃんか。車いす……片脚。失くした」
モニタに視線が全集中。なかでも幼女の何気ない一言だった。
驚愕した表情で駆けよる大人。当事者は何も意識していない。
うなずいた高齢女性。画面を視聴する背後の女性に一言追加だ。
「車いすの若造じゃな。英田爺ぃの関係者だから……そうじゃ。
それも気になる。暗器の投擲術ホンモノを伝授してやろうかの」
ほぼ同一時刻だ……大阪から北西になる。兵庫と京都の境界。
いまの丹波篠山市だ。篠山城跡に再建した大書院から北の下町。
蔵通りをすぎた神社は医療施設や市民センターに近い街区だ。
いまでは宮司も特殊な祭事にしか訪れない神社。社務所だった。
普段は都内だ。すでに引退した高齢の女性がモニタを眺める。
「ほーん美里からお願いされた配信か。映像が……おもしろい」
天道流を発祥とする二刀剣術。左右の両腕に小太刀を二本だ。
四十八ヶ條天道流の上位「小太刀二刀」正しく継承された地域。
江戸丹波篠山藩に伝搬した。現代に継承された古武道になる。
蔵文化の残される兵庫山中に位置する。全周山間で囲まれる町。
通常武士なら大小二本を帯刀する。小太刀二本は特殊技法だ。
想定外とされる武術だろう。機敏な動作も必須とされる武道だ。
「ふむ白い全身スーツは大峰の山伏。投げナイフが間違いない」
黒革のソファ。両腕を預けながら悩む姿。妙齢の美女だった。
「ピンク髪の少女が実戦空手。ウサギ耳の少女も体術に特化だ。
サポート役の赤スーツが美里か。天道の薙刀術は劣化もないが」
わずか数分の映像だ。そのまま美女が双眸を閉じて長考する。
「最後の集合シーン。黒い魔法少女? 依頼者の若者が車いす。
自走するAI。初めて小太刀二本の剣術。学びたいバカか……」
「わからなくもないがバカだよな。高校時代に片脚を切断した。
ほぼ筋トレだけのひきこもり。ダンジョンを攻略したいのか?」
ハハハと乾いた笑いが空しく社務所に響いた。「おもしろい」
「身体は小柄。ほとんど筋肉もない。三十路でもアイドル顔……
そのうえジジィの関係者だ。その周囲は美女ばかりでハーレム」
ふーんと天井を見あげながら姑息な笑みだ。表情も変化した。
「危険しかないはずのダンジョン。あの若者の目的はなんだい?
裏があるのかもしれない。美里の顔を確認するのも悪くないな」
小癪な笑みで最後につぶやいた。「関係者に連絡してからだ」
偶然かあるいは必然だったのかな。悲劇の再来かもしれない。
喜劇かもしれない忘れた過去だ。古から届けられたプレゼント。
出身を紹介する説明に悩む鈴音だ。山間の温泉と自然は誇れる。
関西と名古屋を結ぶ近鉄線。奈良山中の終着地になる吉野だ。
県道を南下して宿泊地黒滝村。観光地とされる面不動鍾乳洞だ。
さらに南下。みたらい渓谷でも秘境と呼ばれるのが天川村だ。
奈良県。和歌山県。三重県。三県それぞれの境界になる土地。
世界遺産大峰山寺は重要文化財だ。いまも女人禁制の山上ケ岳。
飛鳥時代鬼神を使役した呪術者は……役小角だ。その修行地。
伝承の残る龍泉寺は天川村洞川温泉外れ。現存する滝行地だ。
滝行管理を名目にした木造家屋。建屋に各年代の美女が集まる。
十三世紀も経過した現代。山間に潜む山伏一族の末裔だった。
「ふむ純白の全身スーツ。間違いなく鈴音。投げナイフじゃな」
右の差し指。鼻口から細顎を押さえて悩む姿は妙齢の美女だ。
「ピンク髪は極真空手の達人。ウサギ少女も赤手空拳の理想だ」
「補助の赤スーツは丹波篠山。一般に紛れた天道の薙刀術だの。
それよりもじゃが……戦時大陸で救われた魔法使い? まさか」
部屋の片隅で遊ぶ子供たち。声が聴こえた数人近づいてくる。
かなり幼い少女が先頭を走る。途中倒れながら視線だけは強い。
半泣きになり涙をこらえる幼女。あざといが可愛らしい姿だ。
「あれれ? ケージくんじゃんか。車いす……片脚。失くした」
モニタに視線が全集中。なかでも幼女の何気ない一言だった。
驚愕した表情で駆けよる大人。当事者は何も意識していない。
うなずいた高齢女性。画面を視聴する背後の女性に一言追加だ。
「車いすの若造じゃな。英田爺ぃの関係者だから……そうじゃ。
それも気になる。暗器の投擲術ホンモノを伝授してやろうかの」
ほぼ同一時刻だ……大阪から北西になる。兵庫と京都の境界。
いまの丹波篠山市だ。篠山城跡に再建した大書院から北の下町。
蔵通りをすぎた神社は医療施設や市民センターに近い街区だ。
いまでは宮司も特殊な祭事にしか訪れない神社。社務所だった。
普段は都内だ。すでに引退した高齢の女性がモニタを眺める。
「ほーん美里からお願いされた配信か。映像が……おもしろい」
天道流を発祥とする二刀剣術。左右の両腕に小太刀を二本だ。
四十八ヶ條天道流の上位「小太刀二刀」正しく継承された地域。
江戸丹波篠山藩に伝搬した。現代に継承された古武道になる。
蔵文化の残される兵庫山中に位置する。全周山間で囲まれる町。
通常武士なら大小二本を帯刀する。小太刀二本は特殊技法だ。
想定外とされる武術だろう。機敏な動作も必須とされる武道だ。
「ふむ白い全身スーツは大峰の山伏。投げナイフが間違いない」
黒革のソファ。両腕を預けながら悩む姿。妙齢の美女だった。
「ピンク髪の少女が実戦空手。ウサギ耳の少女も体術に特化だ。
サポート役の赤スーツが美里か。天道の薙刀術は劣化もないが」
わずか数分の映像だ。そのまま美女が双眸を閉じて長考する。
「最後の集合シーン。黒い魔法少女? 依頼者の若者が車いす。
自走するAI。初めて小太刀二本の剣術。学びたいバカか……」
「わからなくもないがバカだよな。高校時代に片脚を切断した。
ほぼ筋トレだけのひきこもり。ダンジョンを攻略したいのか?」
ハハハと乾いた笑いが空しく社務所に響いた。「おもしろい」
「身体は小柄。ほとんど筋肉もない。三十路でもアイドル顔……
そのうえジジィの関係者だ。その周囲は美女ばかりでハーレム」
ふーんと天井を見あげながら姑息な笑みだ。表情も変化した。
「危険しかないはずのダンジョン。あの若者の目的はなんだい?
裏があるのかもしれない。美里の顔を確認するのも悪くないな」
小癪な笑みで最後につぶやいた。「関係者に連絡してからだ」
偶然かあるいは必然だったのかな。悲劇の再来かもしれない。
喜劇かもしれない忘れた過去だ。古から届けられたプレゼント。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
This is a peeeen!!
有箱
大衆娯楽
いつものようにウオコは、日記に好きな男子の事を綴っていた。すると、どこからか聞いた事もない声が聞こえてくる。恐ろしくなりながらもよく聞くと、手に持っているペンから発せられていると気付いて……?
突如喋りだしたお喋りペンと、サバサバ系女子の不器用な恋の物語。……多分。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
アレンジ可シチュボ等のフリー台本集77選
上津英
大衆娯楽
シチュエーションボイス等のフリー台本集です。女性向けで書いていますが、男性向けでの使用も可です。
一人用の短い恋愛系中心。
【利用規約】
・一人称・語尾・方言・男女逆転などのアレンジはご自由に。
・シチュボ以外にもASMR・ボイスドラマ・朗読・配信・声劇にどうぞお使いください。
・個人の使用報告は不要ですが、クレジットの表記はお願い致します。
【フリー台本】朗読小説
桜来
現代文学
朗読台本としてご使用いただける短編小説等です
一話完結 詰め合わせ的な内容になってます。
動画投稿や配信などで使っていただけると嬉しく思います。
ご報告、リンクなどは任意ですが、作者名表記はお願いいたします。
無断転載 自作発言等は禁止とさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる