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第一章 新たな問題はハーレムの増員?
第九話 女の子はたくましい(9)
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再び朝の大怪獣テーマ。もちろん着メロに……ため息がでる。
読み進めたメールで頬も引きつった。おかしな状況を理解する。
「バカじゃねぇのか」おもわず悪態だ。誰も聴いてないからね。
時刻を確認して優先するべき順序を意識する。脳内で模索だ。
状況は悪くもない。急ぎの実務すべてを五階に丸投げできる。
今後ビルに常駐する新人弁護士。マナエさんに依頼できるよな?
ミナミちゃんは自己鍛錬の日々だ。カナエさんも仕事だろう。
近所の大学で研究者だ。製薬大手から逃げる状況だと耳にした。
永依とココの起床は遅い。おそらく階下の三人に予定はない。
「仕方ないかな」ちいさくこぼして支度。軽く身なりを整える。
「ちいっと早くなったかね。お揃いだな」大声が店内に響いた。
視線すべてが入口付近に集中する。ちいさな体で態度はでかい。
ブランドスーツと革靴に包む姿。副総裁には誰も逆らえない。
ボディガードも同伴していない。その後からは小柄な高齢者。
黒いスーツに痩身だった。白い銀髪で両肩に掲げる黒革バッグ。
「古い友人。田原総一朗さんだ。若い連中のぞけばしっとるか。
深夜枠でもギリギリ政治討論。朝まで生テレビの名司会者だよ」
閣下の言葉に全員うなずく。いぶかしげな顔はココ一人だけ。
前もって触りの部分だけ説明してある。店に混乱は起こらない。
寄せられたテーブル席。集まる席数は当事者。実質メンバー?
永依。ココ。アイさん。美里。鈴音。自分が階層攻略チーム。
そもそも始まりは早朝。メール内容それ自体が不可解だった。
閣下の旧友? 著名な田原総一朗さんに依頼されたらしいよ。
まもなく誕生日で「古い」約束。借りを返せと閣下に迫られた。
どこか中二くさいこじつけだけど。そんな口約束も守るんだ。
閣下も忘れたらしい賭けは……証拠もない。無効を主張した。
否応なしの「ダンジョンを撮影したい」言葉。説得されたんだ。
なんとかできないかと泣き言だった。ただ呆然とするだけだ。
とりあえずの相談で……笑う鈴音。美里は声を失くしていた。
解決策を開示した最も頼りになる存在。もちろんカナメ先輩だ。
「神戸の救出作戦で使った全身スーツ。あれ利用できるじゃん。
カラフルに揃ってるわよ。誰かもわからない。戦隊ヒーロー?」
「はぁっ!?」のけぞるようにして驚く。皆に笑われたけどね。
意外にも内容を伝えるとあきれながら全員が了承してくれた。
誰がどの色を使うのか。なぜか新たな争いも始まったんだけど。
ピンクが永依。ブルーのココ。レッド美里。ホワイト鈴音だ。
魔女っ娘アイさんは永依に懇願された。バトルに不参加である。
ほぼ強引に決められた。魔女っ娘を侍らせた漆黒のリーダー。
「似あうじゃん。アッハッハ」大笑い。永依に押しつけられた。
閣下も状況を聴いて苦笑いになる。そのまま参加を表明した。
自称ドキュメンタリー監督さん。田原総一朗さんも笑って了承。
「カメラは任せた!」アイさん丸投げ。演出に専念するらしい。
なぜか勢いダンジョン再突入。八人組編成がおかしくないか?
「これから8人。階層主に挑戦するんだ。早く扉あけてよね?」
誰に対しても上から目線だ。永依の発言には頭痛が悪化する。
【階層ノ主ニ挑戦ガ了解ダ】プラス【討伐者ノ確認デ難度上昇】
――扉前にいる全員同時だった。いつもの機械音が脳内に響く。
ほぼ天井まで達する三つ首地獄犬。中央一本角が際だつ姿だ。
黒い長毛に覆われる細腕。巨大な下半身と両脚も以前と同様だ。
「ギリシャ神話で冥府の番犬なんだよ。頭が三つに尻尾は蛇だ。
胴体に蛇の頭がいっぱい……ないね。ヘラクレス最後の大仕事。
素手で捕らえて連れだすんだが。あとで冥府に戻したらしいよ」
下調べした原型だろう。田原総一朗さんの説明には皆も納得。
「三つある頭部。『保存』『再生』『霊化』その意味で象徴だ。
死んでから魂がたどりつく順序。そんなイメージになるらしい」
一瞬だけ目線を交わすココと永依。左右から同時に跳躍する。
左右の頭に強力な蹴りを食らわせる。かなり後に弾かれた首。
角がある中央頭部の赤い双眸とにらみあった。ピンクとブルー。
怒りの表情で上下に顎を開く黒犬。尖る犬歯から擬音が鳴る。
威嚇する頭に薙刀が一閃された。そこに投げナイフの追撃だ。
おおきく晒したノドの奥。突き刺さると同時に巨体が硬直する。
一本角に狙いを定めた永依。ナックルグラブの特攻を決めた。
左腕を突きだすココ。同時に爪先を胸の最奥部まで刺し貫いた。
かなりの衝撃。後方に飛ばされる頭部が無様に絶叫をあげる。
体を前後左右揺らしながら暴れる。黒い巨体に止めが刺さる。
『心臓喰らい』スキルの発動だ。ココの一撃は心臓まで達する。
左の掌に引きずりだされる巨大心臓。笑みをうかべたココだ。
そのまま口内放りこんで咀嚼する。美味しさに双眸をゆがめた。
しばしの時間をおくと地獄犬。その巨体が円陣に崩れ落ちた。
うずくまったままの身体。無言で拳をぶつけあう四人組だった。
背後は小柄な撮影者。巨大なカメラを縦横無尽に構える姿だ。
シルクハットは三角形。全身を黒装束が覆う。魔女っ娘ちゃん。
「カァーット! エークーセーレーンっ!! 見せ場だらけだ」
魔女っ娘の傍に立つ演出家。田原総一朗さんも拍手喝采する。
「これが上映ならエンドロールだよ」……見守るだけの車いす。
自称監督である閣下も声を失くした。呆然とたずむだけなんだ。
これでバトルが終了。ここからは階層主の素材回収シーンだ。
映倫になるのかな。問題ある映像らしい。撮影はされなかった。
かなり後からになった。閣下に渡された編集済みの映像だよ。
「完全討伐編」斬新なBGM。田原総一朗さんのナレーション。
「特撮じゃない」リアル映像。そのパッケージごと封印された。
どこが悪いんだって? 説明が難しい。とにかくまずいんだ。
激しく揺れた……リアルバウト。ウサ耳ブルーと後衛ホワイト。
実際使用できたのは数分だ。再編集した無音のヴァージョン。
全世界に同時公開。youtube動画はもちろん広告アリだ。
「キミたちダンジョン目指さない?」自衛官と警察官の勧誘だ。
CMモデルがホンモノかも聴いていない。WACと警視庁だ。
ロゴ入り制服の女子が起用された。萌え要素満点で両掌を振る。
美里や鈴音に匹敵しながらオタク心を鷲づかむ美少女たちだ。
youtubeは誰もが見られる。映像は波乱を呼び寄せた。
新たな幕あけになる誰もが予測しなかった状況。その始まりだ。
読み進めたメールで頬も引きつった。おかしな状況を理解する。
「バカじゃねぇのか」おもわず悪態だ。誰も聴いてないからね。
時刻を確認して優先するべき順序を意識する。脳内で模索だ。
状況は悪くもない。急ぎの実務すべてを五階に丸投げできる。
今後ビルに常駐する新人弁護士。マナエさんに依頼できるよな?
ミナミちゃんは自己鍛錬の日々だ。カナエさんも仕事だろう。
近所の大学で研究者だ。製薬大手から逃げる状況だと耳にした。
永依とココの起床は遅い。おそらく階下の三人に予定はない。
「仕方ないかな」ちいさくこぼして支度。軽く身なりを整える。
「ちいっと早くなったかね。お揃いだな」大声が店内に響いた。
視線すべてが入口付近に集中する。ちいさな体で態度はでかい。
ブランドスーツと革靴に包む姿。副総裁には誰も逆らえない。
ボディガードも同伴していない。その後からは小柄な高齢者。
黒いスーツに痩身だった。白い銀髪で両肩に掲げる黒革バッグ。
「古い友人。田原総一朗さんだ。若い連中のぞけばしっとるか。
深夜枠でもギリギリ政治討論。朝まで生テレビの名司会者だよ」
閣下の言葉に全員うなずく。いぶかしげな顔はココ一人だけ。
前もって触りの部分だけ説明してある。店に混乱は起こらない。
寄せられたテーブル席。集まる席数は当事者。実質メンバー?
永依。ココ。アイさん。美里。鈴音。自分が階層攻略チーム。
そもそも始まりは早朝。メール内容それ自体が不可解だった。
閣下の旧友? 著名な田原総一朗さんに依頼されたらしいよ。
まもなく誕生日で「古い」約束。借りを返せと閣下に迫られた。
どこか中二くさいこじつけだけど。そんな口約束も守るんだ。
閣下も忘れたらしい賭けは……証拠もない。無効を主張した。
否応なしの「ダンジョンを撮影したい」言葉。説得されたんだ。
なんとかできないかと泣き言だった。ただ呆然とするだけだ。
とりあえずの相談で……笑う鈴音。美里は声を失くしていた。
解決策を開示した最も頼りになる存在。もちろんカナメ先輩だ。
「神戸の救出作戦で使った全身スーツ。あれ利用できるじゃん。
カラフルに揃ってるわよ。誰かもわからない。戦隊ヒーロー?」
「はぁっ!?」のけぞるようにして驚く。皆に笑われたけどね。
意外にも内容を伝えるとあきれながら全員が了承してくれた。
誰がどの色を使うのか。なぜか新たな争いも始まったんだけど。
ピンクが永依。ブルーのココ。レッド美里。ホワイト鈴音だ。
魔女っ娘アイさんは永依に懇願された。バトルに不参加である。
ほぼ強引に決められた。魔女っ娘を侍らせた漆黒のリーダー。
「似あうじゃん。アッハッハ」大笑い。永依に押しつけられた。
閣下も状況を聴いて苦笑いになる。そのまま参加を表明した。
自称ドキュメンタリー監督さん。田原総一朗さんも笑って了承。
「カメラは任せた!」アイさん丸投げ。演出に専念するらしい。
なぜか勢いダンジョン再突入。八人組編成がおかしくないか?
「これから8人。階層主に挑戦するんだ。早く扉あけてよね?」
誰に対しても上から目線だ。永依の発言には頭痛が悪化する。
【階層ノ主ニ挑戦ガ了解ダ】プラス【討伐者ノ確認デ難度上昇】
――扉前にいる全員同時だった。いつもの機械音が脳内に響く。
ほぼ天井まで達する三つ首地獄犬。中央一本角が際だつ姿だ。
黒い長毛に覆われる細腕。巨大な下半身と両脚も以前と同様だ。
「ギリシャ神話で冥府の番犬なんだよ。頭が三つに尻尾は蛇だ。
胴体に蛇の頭がいっぱい……ないね。ヘラクレス最後の大仕事。
素手で捕らえて連れだすんだが。あとで冥府に戻したらしいよ」
下調べした原型だろう。田原総一朗さんの説明には皆も納得。
「三つある頭部。『保存』『再生』『霊化』その意味で象徴だ。
死んでから魂がたどりつく順序。そんなイメージになるらしい」
一瞬だけ目線を交わすココと永依。左右から同時に跳躍する。
左右の頭に強力な蹴りを食らわせる。かなり後に弾かれた首。
角がある中央頭部の赤い双眸とにらみあった。ピンクとブルー。
怒りの表情で上下に顎を開く黒犬。尖る犬歯から擬音が鳴る。
威嚇する頭に薙刀が一閃された。そこに投げナイフの追撃だ。
おおきく晒したノドの奥。突き刺さると同時に巨体が硬直する。
一本角に狙いを定めた永依。ナックルグラブの特攻を決めた。
左腕を突きだすココ。同時に爪先を胸の最奥部まで刺し貫いた。
かなりの衝撃。後方に飛ばされる頭部が無様に絶叫をあげる。
体を前後左右揺らしながら暴れる。黒い巨体に止めが刺さる。
『心臓喰らい』スキルの発動だ。ココの一撃は心臓まで達する。
左の掌に引きずりだされる巨大心臓。笑みをうかべたココだ。
そのまま口内放りこんで咀嚼する。美味しさに双眸をゆがめた。
しばしの時間をおくと地獄犬。その巨体が円陣に崩れ落ちた。
うずくまったままの身体。無言で拳をぶつけあう四人組だった。
背後は小柄な撮影者。巨大なカメラを縦横無尽に構える姿だ。
シルクハットは三角形。全身を黒装束が覆う。魔女っ娘ちゃん。
「カァーット! エークーセーレーンっ!! 見せ場だらけだ」
魔女っ娘の傍に立つ演出家。田原総一朗さんも拍手喝采する。
「これが上映ならエンドロールだよ」……見守るだけの車いす。
自称監督である閣下も声を失くした。呆然とたずむだけなんだ。
これでバトルが終了。ここからは階層主の素材回収シーンだ。
映倫になるのかな。問題ある映像らしい。撮影はされなかった。
かなり後からになった。閣下に渡された編集済みの映像だよ。
「完全討伐編」斬新なBGM。田原総一朗さんのナレーション。
「特撮じゃない」リアル映像。そのパッケージごと封印された。
どこが悪いんだって? 説明が難しい。とにかくまずいんだ。
激しく揺れた……リアルバウト。ウサ耳ブルーと後衛ホワイト。
実際使用できたのは数分だ。再編集した無音のヴァージョン。
全世界に同時公開。youtube動画はもちろん広告アリだ。
「キミたちダンジョン目指さない?」自衛官と警察官の勧誘だ。
CMモデルがホンモノかも聴いていない。WACと警視庁だ。
ロゴ入り制服の女子が起用された。萌え要素満点で両掌を振る。
美里や鈴音に匹敵しながらオタク心を鷲づかむ美少女たちだ。
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