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第一章 新たな問題はハーレムの増員?

第二話 女の子はたくましい(2)

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『昔から地球にいた人外美女。そんな相手と出逢える確率は?』
 質問に応じる相手がいる。それだけで幸せなのかもしれない。

 だがしかし物語より現実はシビアだ。お約束の展開がリアル。

「バカにすんじゃねぇよ!」怒りだすかな。「人外ってなんだ?
いるはずねぇ。美女w』そんな嘲笑。それが普通の反応だよね。

 まぁ普通じゃないからあきらめも半分。誰かに呪われる状況?
もしくは徹底して嫌われる存在なのか。そんな状況なんだろう。

 おかしな周囲とか謎の状況。いつも振り返ればそればっかり。
どうするべきだ。異世界に転移できないかと現実を逃避したい。


「そこのあなた。人間じゃないですよね。助けてくれません?」
 ため息をついてから逃げるべきだった。後いしか残らないよ。

「なんであそこで逃げなかったんだオレ」いつもあとから悩む。
すこし時間は戻り……夕闇。道頓堀から東心斎橋を進む二人だ。


 閣下は有名人。もちろん経営者の政治家は地位と金銭もある。
紀州でも有名な一部上場企業の代表だ。代表取締役社長なんだ。

 もちろん金銭が目的の輩。近づく人間はそれなりの数になる。
ただ尋常ではない勘のよさ。明晰な頭脳と鋭い観察力も備わる。

 とくに危機意識は動物的だ。第六感もあるから災い回避する。
こちらは逆で妙なモノから好かれてしまう。奇妙な引きの強さ。

 ここだけは呼びこんだり避ける行動も許されない状況らしい。
「そこのオニーサン。ちょっとだけ時間あったらこっちきてよ」

 妙なイントネーションだった。実際に日本人じゃないだろう。
すこしだけ陰りある表情。純粋な白人種で圧倒的すぎる美女だ。


 どう考えてもおかしい。最初から無視するべきだったのかな。
美しい声に導かれて逃げ場がない。蜘蛛の巣に囚われたように。

 細い腰まであるだろう漆黒の髪。絹糸のようと表現できるよ。
黒いロングのワンピースをまとう姿。正しく童話の魔女なんだ。

 夕暮れでもミナミの裏通り。まぁお馴染みの辻占い師だろう。
初対面の印象はそれだ。おおきなシルクハットだけ目だつ全身。

 それが余計に魔法使いを連想させたのかもしれない。失敗だ。

 自称魔法使い。おかしな知人がいるから……普通ならスルー。

 魔法にかけられたように近づく状況。恰好のエサだったかな。
何かおかしい。前を進んでいた閣下もいつしか見えなくなった。


「おかしな波動があります。人間じゃないよね」美女が微笑む。
「波動? なんじゃそりゃ」おもわずコント風味。即応だった。

「言葉では説明できません。人間にはもてるはずのない能力?」

「あぁ。それならわかる。ダンジョンで妙な技能を授けられた」
 悩みながら斜め上に瞳をそらした美女に驚きながらも応じた。


「ダンジョン!? そんなものいつから?……いつの話です?」
 表情を変えた女。ちいさなテーブルを蹴倒しながら駆けよる。

「えっ? ダンジョン誕生したのが先月23日。すこし前だよ」
 マジメに即応する。掌を組む美女が前で懇願してるんだけど。

「ダンジョンに入れないかな? なんでもするからお願いです」
「んー。いけなくもないはずだけど。何か急ぐ理由があるの?」
 聖女の祈る姿勢。両掌を組み首をさげる美女に抗えないよね。

 何かをされても困るんだけど。いつの間にかの前向きだった。
「えっとね。一族だけの秘密とか……助けてもらえるなら……」


 そこからは妙な説明だった。真実と理解するのも難しい内容。
時間が経過して……後戻りできなくなってから現実を理解する。

 美女はヴァンパイアだった。次元を超越して地球に迷いこんだ
異星の旅人。生体エネルギーを吸収できず困窮する状態だった。

 生血をすするとか眷属は増やさない。それでも栄養は必要だ。

 おかしな結界で包まれる状況らしい。解除されてから合流した
閣下まで冷汗だ。残念だけど飲み屋どころじゃなくなったから。

 そのまま堺筋でタクシーに乗った。靱本町に戻ると大騒ぎだ。


「ケーちゃんナンパやりすぎよ。そのうち刺されんじゃねぇ?」
 笑いながら永依がからかう。むかつくだけで言葉を返せない。

 綺麗な女性だから惹かれたわけじゃないよ。逆ナンじゃねぇ?

「ケージくんが歩けば美女と出逢うんだ。犬も歩けば棒にあたる
ことわざのまんま。三世紀も昔から幸運説があるの。逆の意味で
災難と考える説もあるぐらい。佳二くんってどっちだろうね?」

 微笑みながら美里が伝えてくる。その言葉に戸惑いしかない。


 そもそも逆ナン……だけど問題はそこじゃない。引きの強さと
悪運の結果だ。街にでるだけでもおかしな状況に巻きこまれる。

 ひきこもりに戻るかべきか……改めて悩む。苦悩は尽きない。
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