電車で苦くて甘いヒミツの関係

水瀬かずか

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電車で苦くて甘いヒミツの関係

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 イけなかった熱さが体を渦巻く。

「やだぁ……」

 泣くような甘えた声を出しながら、課長の頭をかき抱き、腰を課長に押しつけながら「お願い……」とうわごとのように呟く。

「香奈、かわいい」

 とろけるような笑顔で課長が笑ってキスをしてくる。
 貪るように応えて、イけなかった快感を誤魔化すように、必死に舌を絡めてキスに没頭する。
 首に腕を絡めて、唇を離した合間に「お願い」「欲しいの」と腰をすり寄せる。

「ここ?」

 課長の指がまた濡れたあそこに伸びて。でも中に進入することはなく、ぬるぬると入り口を撫でて刺激するだけ。

「そこっ、そこなのぉ……」

 キスの合間の囁くような会話。
 必死の私をからかうように交わして、肝心のものはくれない。
 それが物足りなくて、片手を首から離し、課長の下半身へと手を伸ばす。

「……っ」

 課長が息を飲んだのが分かった。
 私の指先に触れたのは、布地の下で大きくなっている課長の高まり。

 おっきぃ……。

 指先でなぞりながら、その大きさにゾクゾクする。課長が私に触れながら興奮してくれている。

「かな、まだだよ。まだ約束を果たしてないだろう……?」
「やく、そく?」

 課長に触れていた手をやんわりと押し返され、少しの寂しさを抱えながらその顔を窺った。
 そこにあるのは笑顔だった。そのまま優しく囁く声は、ゾクゾクと私を震わせる。

「気が狂いそうなほど気持ちよくしてあげるって」
「え……」
「電車での約束もまだだしね」
「でんしゃ……」
「舐める約束は、こっちもしたよね?」
「ひゃぁんっ」

 ぬるぬると動かされていた指が、クリトリスをにゅるっと潰す。
 ぶるっと震わせて、「ひぃんっ」と息を飲んだ。

「ここを舐めて、潰して噛んで、つついて……俺のこれが欲しくて気が狂いそうになるぐらい気持ちよくなろう? もう少し、我慢できるね?」

 ちゅっとキスをされ、私はその言葉の内容に震えながら、でも、肯いた。
 我慢したくない。今すぐ課長に突き上げて欲しい。おっきい課長ので奥までいっぱい。でも、今より苦しいけど、今よりもっと気持ちよくしてくれるというその誘惑に期待するのを止められない。「彼」に我慢させられて、苦しくて、足りなくて嫌になるぐらいいやらしい自分を自覚させられて、でも、それさえもどうでも良くなるぐらい、おあずけの後の「彼」がくれる快感はきもちよくて。

 欲しい。我慢するから、もっといっぱいして欲しい。

「香奈はエッチでかわいいね」

 ゆるゆると動く指に合わせて腰をゆらす。
 楽しげな課長の笑みを見ながら、もどかしさに頭はとけてしまいそうなぐらい熱くなっている。

「はやとさぁ……ん」

 普段の自分からは信じられないほど媚態めいた甘ったれた声がこぼれる。でも、欲しくてたまらなかった私は必死だった。
 泣きそうなぐらい熱を焦がれて課長にしがみつく指に力を込める。

 お願い、このままほおって置かないで。

 さっき指先に触れた彼の堅さ。電車で触れたときに想像した熱さと太さ。それが今日やっと叶う。でもその前に今まで私のおっぱいをしゃぶっていた熱い舌が、とろとろにとけたそこを舐めるのだという。

「じゃあ、香奈、これ、脱いで、足を開いて?」
「え……?」
「それとも、パンティは着けたまま、しちゃう? ……それはそれで、そそられるからどっちでも良いけど?」

 にこっと薄い笑顔を浮かべたまま、課長が秘所を撫でながらショーツの縁をなぞって私に選択を迫る。

 恥ずかしい。

 今更恥ずかしがるだなんてばかげていると思うのに、でも見つめられる先でショーツを脱ぐのは恥ずかしい。でも、私は恥ずかしさよりも、「ほら」と促す課長の声に誘われて、のろのろとショーツを脱いだ。
 ぬるっと濡れた布の感触が秘所から離れ、そこが空気にさらされる。ショーツと秘所の間で透明な糸が引き、太ももをかするようにぺちゃりとついた。
 わずかな冷たさに思わず顔をしかめる。顔を上げると、課長がそんな私の姿をじっと見ていた。

「見ないで下さい……」

 消えそうな声で呟いたけれど、聞こえなかったのか、聞こえても無視されたのか、返事は返ってこなかった。
 パンプスの片足を脱いで、足からショーツを抜き取る。
 その時、上半身屈んだ目の先に、課長の顔があった。

「じゃあ、足開いて」

 片足にショーツを引っかけた状態で、課長に促され、パンプスを脱いだ片足に、再び靴を履かされる。
 踏ん張るには心許ないヒールの高さに、もう一度脱ごうとするのを留められた。

「履いてて」
「でも」
「不安定な方が、かわいい。辛くなったら俺にしがみついて?」

 ひざまずいた課長が立ったまま足を開いている私のスカートをめくり上げた。

「すごい、濡れててらてら光ってる」

 指が濡れた茂みを少しかき分けてなぞり、そのまま離れてゆく。
 蜜が、つぅっと透明な糸を引いた。
 羞恥心を煽るようにそれを見せつけた後、目だけ私に向けて、意地悪く微笑まれ。

「やっ」

 両手で自分の顔を押さえるけど、課長を見つめる目を隠すことはできずに、私はひざまずいている彼の表情一つ一つに釘付けになっていた。震えながら、これから起こることを心も体も期待していた。

 まずぬるりと舐められたのは、ショーツを脱ぐときに擦れて濡れた太もも。
 びくんと震えたのは、気持ちよさと、羞恥と、欲しい場所じゃなかった失望と、これから始まる淫らな期待と。

「香奈、もっと足開いて」

 もう、肩幅ぐらいには開いていた。でも、こんなんじゃ舐めることができないという意図を読み取り、恥ずかしさにいたたまれなくなりながらも、ずりずりと足を広げる。

「もっと」

 広げる足を止める度に、何度も更に開かされて、最初の倍近く開いたところで、ようやく許される。
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