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2章
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しおりを挟む約束の日、当初ルカは、正臣にたくさん触れて、好きだと言って、愛を交わすんだと、経験がないなりにも色々と考えていたのだ。
そのためにこの日の用事を全て別の日に変えた。意地でも開けた。
正臣の家では、いつ人が来るかもしれないということで、この日もルカのアパートへと正臣を呼んだのだ。偽姉と乳母は仕事へ行っている。
いざ、するために、など、気恥ずかしいとか思いつつ、だ。
なのに、正臣の行動は、それを易々と打ち破ってしまった。
自らの寝室に誘い、お茶を、とか、少し会話を……などと思っていたルカを「まどろっこしいことは必要ないだろう?」と、にっこり笑ってベッドに押し倒したのだ。
大事なことであるが、ルカは十九の性には敏感な年頃である。
今、誰よりも魅力的に感じている相手にのしかかられて、反応しないわけがない。
妙に迫力のある笑顔の正臣が、楽しげにルカのシャツのボタンを外してゆく。
「ルカ、男同士がやるのに、準備が必要なのは知っているか?」
「え、あ、あの……詳しくは、知らなくて……」
ごめんなさい……と小さくなってうろたえる。
「今日俺は、その準備をしてきている。やるなら早いほうがいいんだ。……わかるな?」
にこりと笑った顔が、脅迫しているようにすら見えた。その男らしさに、キュンとルカの胸がときめいた。
その後は、あれよあれよという間の出来事だった。
脱がされて、「綺麗な肌だな」と指を這わされて、ゾクゾクと震えながら、どう動いたら良いか分からず、なされるがままになってしまう。
あれ? やっぱり私がやっぱり抱かれるのだろうか? と、混乱さえした。それでも問題はないのだが。いやだがしかし、……あれ? と、なってしまったのは仕方がないだろう。ルカはすっかり、なされるがままの生娘の気分だ。
「ほう? やはり童貞か」
たどたどしいルカの様子に正臣が楽しげに笑う。
「そうだよ!!」
もうやだ、恥ずかしい。
ルカは、正臣に襲われていた。
男の色気全開である。抱かれる立場である彼のペースになされるがまま翻弄されることになった。
*
ついに思いを遂げたルカは、無事、抱く側だった。めでたいことである。
正臣に押し倒されて、あれよあれよと流され、翻弄され、そのかっこよさにときめくばかりの行為を、抱いた、と果たして言えるのかは、置いておくとして。
行為としては、確かに抱いた。
快感の波がようやく落ち着く。正臣をぎゅうぎゅうと抱きしめていた力が抜けて、ルカはべったりと彼の胸にしなだれかかった。
ルカの膝の上にのった状態の正臣は、その身体を受け止めるように抱きしめてくれた。
「……気持ちよかったか?」
クククッと楽しげに笑う声が上から降ってきて、ルカはけだるそうに「うん……」と頷いた。
「……すごかった……」
自分で自慰をするときと違う。イかされた、とでもいうのだろうか、自分の思うタイミングと違うのが、気持ちいい。
「そうか」
正臣が笑いを噛み殺して相槌をうっているのがわかったが、もう、今のルカは放心状態で、恥じらう余裕もなかった。
抱いたのはルカだったはずなのに、むしろまだ入っているというのに、事後のそれは、完全に抱かれた側の反応である。
おかしい。
ルカは首をひねった。
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