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乾杯をして、食事が始まっても、俺は落ち着かなかった。となりに座るシルヴァンのことが気になってしかたない。
甲斐甲斐しく料理を取り分けてくれるシルヴァン。
飲み物をついでくれるシルヴァン。
口もとをナプキンで拭ってくれたりもした。
そのどれもに、胸がどきどきしたりぽわぽわしたりする。
「それにしても、シエルくん。こんな簡素な料理でよかったのかね。私としては、フルコースできみをもてなしたかったんだが」
「あ、え、えと、あの」
「あなたったら。シエルは恥ずかしがりやさんなのよ。一皿ごとにサーヴされたら、かえって落ち着かないでしょう。ねー、そうよね」
「あ、はあ、はい、す、すみませ……、あ、あの、このお料理、お、おいしい、です、すごくっ」
お世話ではなく、本当においしかった。
それに、こうやって家族の中に混ぜてもらえるのがすごく嬉しい。
お父さんは気さくだし、お母さんはすごく優しい。
この人たちに育てられていたら、俺も落ちぶれずに済んだのだのかな……でも、そしたら、俺とシルヴァンとは兄弟になっちゃうな。
こんなお兄さんがいたら頼もしくて素敵だなと思うけど、けど、兄弟だったらキスとか……できないし、やっぱり、うん、今のままがいい。
「ははあ、シエルくんは本当に謙虚だねえ。自分がどれだけこの世界に貢献しているか、理解しているのかな。街に出てみなさい、きみの存在は神様みたいなものだ。きっと拝まれるよ」
「父上、やめてください。彼が困っているでしょう。シエル、飲み物のおかわりは?何か料理を取ろうか」
「あ……じゃ、じゃあ、オレンジジュースを……」
「うん」
あいかわらず優美な手つきで、グラスにジュースをそそいでくれる。
「ありがとう、ございます……」
受け取って礼を言うと、シルヴァンのお母さんが「シエルってかわいいわあ。うちの子たちとは大違い。かわいげってものがないのよね」と真顔で言い出した。
「ね、シエル、あなたうちの子になる気はなぁい?」
「は、……」
「母上、冗談はよしてくださいよ」
「えー、けっこう本気なんだけどなあ。いいじゃない。あ、養子じゃなくても、シルヴァンのお嫁さんでもいいかも」
「へぁ、な、何、え?えぇ……」
「母上」
シルヴァンが手にしていたナイフとフォークをテーブルに置いた。
静かに、しかしきっぱりと言う。
「おやめください」
甲斐甲斐しく料理を取り分けてくれるシルヴァン。
飲み物をついでくれるシルヴァン。
口もとをナプキンで拭ってくれたりもした。
そのどれもに、胸がどきどきしたりぽわぽわしたりする。
「それにしても、シエルくん。こんな簡素な料理でよかったのかね。私としては、フルコースできみをもてなしたかったんだが」
「あ、え、えと、あの」
「あなたったら。シエルは恥ずかしがりやさんなのよ。一皿ごとにサーヴされたら、かえって落ち着かないでしょう。ねー、そうよね」
「あ、はあ、はい、す、すみませ……、あ、あの、このお料理、お、おいしい、です、すごくっ」
お世話ではなく、本当においしかった。
それに、こうやって家族の中に混ぜてもらえるのがすごく嬉しい。
お父さんは気さくだし、お母さんはすごく優しい。
この人たちに育てられていたら、俺も落ちぶれずに済んだのだのかな……でも、そしたら、俺とシルヴァンとは兄弟になっちゃうな。
こんなお兄さんがいたら頼もしくて素敵だなと思うけど、けど、兄弟だったらキスとか……できないし、やっぱり、うん、今のままがいい。
「ははあ、シエルくんは本当に謙虚だねえ。自分がどれだけこの世界に貢献しているか、理解しているのかな。街に出てみなさい、きみの存在は神様みたいなものだ。きっと拝まれるよ」
「父上、やめてください。彼が困っているでしょう。シエル、飲み物のおかわりは?何か料理を取ろうか」
「あ……じゃ、じゃあ、オレンジジュースを……」
「うん」
あいかわらず優美な手つきで、グラスにジュースをそそいでくれる。
「ありがとう、ございます……」
受け取って礼を言うと、シルヴァンのお母さんが「シエルってかわいいわあ。うちの子たちとは大違い。かわいげってものがないのよね」と真顔で言い出した。
「ね、シエル、あなたうちの子になる気はなぁい?」
「は、……」
「母上、冗談はよしてくださいよ」
「えー、けっこう本気なんだけどなあ。いいじゃない。あ、養子じゃなくても、シルヴァンのお嫁さんでもいいかも」
「へぁ、な、何、え?えぇ……」
「母上」
シルヴァンが手にしていたナイフとフォークをテーブルに置いた。
静かに、しかしきっぱりと言う。
「おやめください」
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