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お祝いの食事会は最上階のダイニングルームで行われた。
きっと夜景がすごいんだろうな、と想像ができるガラス張りの部屋だ。高いところが苦手な俺のために、あらかじめ薄いレースで景色を遮ってくれていた。
硬い石の床が、豪華なシャンデリアの光に照らされて、濡れたように輝いている。
席には、すでにシルヴァンの両親がついていた。大きなテーブルに、ところ狭しとご馳走が並んでいる。
「シエル、いらっしゃい」
シルヴァンのお母さんが優しく微笑んでくれた。
ちょっと垂れ目な緑の瞳がシルヴァンにそっくりだ。
「こ、こんばん、は」
「一冊目の翻訳が終わったんだってね。お疲れさま。いやあ、素晴らしい、素晴らしいねえ。」
「あ、ありがと、ございます……」
お父さんは相変わらずダンディだ。恰幅がよくて鼻の下によく整えられた髭が生えている。二人のとなりは空席だった。
「エリオットは?」
俺のために椅子を椅子を引いてくれながら、シルヴァンはお母さんに尋ねた。
「下でゼインと喧嘩してるわ。いつもの痴話喧嘩よ」
「またやっているんですか。困りましたね」
「そうよねぇ。許嫁なのだから、仲良くすればいいのに」
「どうせ、エリオがまた怒らせるようなことを言ったんでしょう。まったく、しかたない弟ですね。……ごめんね、シエル。愚弟のせいで待たせることになって」
「い、いえ……」
「はっはっはっ、何も待っていることはないじゃないか。遅れてくるやつが悪いんだ。もう始めてしまおう。さあ、皆、グラスを持って」
お父さんが豪快に笑ってそう言ったので、俺たちはグラスを手にした。
……て、いうか。
今すごい重要な情報を聞いた気がする。
え、え?ゼインが、シルヴァンの弟の許嫁……?
「シエル、きみのおかげで未来に希望が見えてきたようだ。異世界から来たというきみが、この世界のために尽力してくれていることに、深く感謝申し上げる。これからもシルヴァンと二人三脚で頑張ってください」
「あ、は、はい、えっと、お、俺の方こそ、し、シルヴァンには、よくしてもらって、あ、ありがたい、です」
お父さんが褒めてくれて、お母さんもにこにこそれを見ている。シルヴァンは優しい目で俺を見つめてくれて……嬉しいんだけど、俺は上の空になってしまった。
ゼインがシルヴァンの弟の許嫁だと聞いて、驚くと同時に、俺はすごくほっとしていた。
そして、ほっとしたことに、衝撃を受けていた。
こんなことで安心するなんて、俺、どうかしてない……?
きっと夜景がすごいんだろうな、と想像ができるガラス張りの部屋だ。高いところが苦手な俺のために、あらかじめ薄いレースで景色を遮ってくれていた。
硬い石の床が、豪華なシャンデリアの光に照らされて、濡れたように輝いている。
席には、すでにシルヴァンの両親がついていた。大きなテーブルに、ところ狭しとご馳走が並んでいる。
「シエル、いらっしゃい」
シルヴァンのお母さんが優しく微笑んでくれた。
ちょっと垂れ目な緑の瞳がシルヴァンにそっくりだ。
「こ、こんばん、は」
「一冊目の翻訳が終わったんだってね。お疲れさま。いやあ、素晴らしい、素晴らしいねえ。」
「あ、ありがと、ございます……」
お父さんは相変わらずダンディだ。恰幅がよくて鼻の下によく整えられた髭が生えている。二人のとなりは空席だった。
「エリオットは?」
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「どうせ、エリオがまた怒らせるようなことを言ったんでしょう。まったく、しかたない弟ですね。……ごめんね、シエル。愚弟のせいで待たせることになって」
「い、いえ……」
「はっはっはっ、何も待っていることはないじゃないか。遅れてくるやつが悪いんだ。もう始めてしまおう。さあ、皆、グラスを持って」
お父さんが豪快に笑ってそう言ったので、俺たちはグラスを手にした。
……て、いうか。
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え、え?ゼインが、シルヴァンの弟の許嫁……?
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「あ、は、はい、えっと、お、俺の方こそ、し、シルヴァンには、よくしてもらって、あ、ありがたい、です」
お父さんが褒めてくれて、お母さんもにこにこそれを見ている。シルヴァンは優しい目で俺を見つめてくれて……嬉しいんだけど、俺は上の空になってしまった。
ゼインがシルヴァンの弟の許嫁だと聞いて、驚くと同時に、俺はすごくほっとしていた。
そして、ほっとしたことに、衝撃を受けていた。
こんなことで安心するなんて、俺、どうかしてない……?
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