地味顔陰キャな俺。異世界で公爵サマに拾われ、でろでろに甘やかされる

冷凍湖

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「ふ、ぁ……♡ふ♡んん♡」

唇を離すことなく、角度を変えられる。下唇をふっくらと食まれて、なんか、甘い。
シルヴァンの呼吸も、空気も、唇も、甘い。
やばい♡やばい♡
こういうキスはやばいって……♡

「ん、ぁ……♡」

唇の輪郭をそっとなぞるようなキスに、口が勝手に半開きになってしまう。

「ん、」
「ふ、ぁッ♡」

ちゅく……♡
ちいさな水音がして、舌先が、触れ合った。

「ぁ……ン♡」

やばい♡
やばい♡
どうしよ、ほんのちょっと……本当に、ちょっとだけなのに、舌の先から全身に甘ったるいさざなみが広がる。

「ふぅ、ん……♡」

もっとほしい。いやらしいと思われそうで、怖い。
怖いけど、ほしい、の方が強くて、俺は恐る恐る舌を差し出した。
シルヴァンはそれを受け止めてくれる。
ゆったりと絡まる舌と舌。濡れた粘膜が擦れあう。

「ん、んぅ♡ふ、うぅ♡」

きもちいい……♡
シルヴァンの舌は、ぶあつくてあったかくて、口の中から俺を甘やかしてくれるみたいだった。
すごく安心する。ずっとこうしててほしい。シルヴァンとずっとキスしてたい……♡

「……シエル」
「ぁ、や、もっと……」
「名残惜しいけど、またあとでね。そろそろ時間だよ。私も着替えなくちゃいけない」
「じ、かん、……あっ」

そうだった。
これからシルヴァンの家族とお祝いをするんだった。
現実に戻って、俺は急に恥ずかしくなった。シルヴァンはぜんぜんふつうに穏やかな顔で笑っている。
……な、慣れてるん、だな。
当たり前か。シルヴァンならいくらだって相手がいる。ついさっきファーストキスを経験した俺とは違う。
……ゼインとも、したことあるのかな。
なんて考えてしまって、俺ってゲスだなあと自分で呆れる。
たかがキスじゃん。いや、俺はキスに思い入れが強いというかキスが性癖なので、俺にとってはたかがじゃぜんぜんないんだけど、たぶん世間的にはキスなんて「たかが」になるはずだ。
少なくとも、シルヴァンにとっては。
だって、そうじゃなきゃ平然としているわけがない。
シルヴァンは察しがいいから、キスしたいっていう俺の気持ちに気づいて、してくれただけだ。
勘違いしちゃだめだ、と自分に言い聞かせる。
でも、勘違いしないように気をつければ、もっと先を望んでも許されるんじゃないかとも思う。
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