地味顔陰キャな俺。異世界で公爵サマに拾われ、でろでろに甘やかされる

冷凍湖

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「せっかくのお祝いなんだし、おめかししようか」

帰ってくるなり、シルヴァンはそう言った。

「いまのシンプルな服装も素朴なシエルらしくて素敵だけれどね。お祝いの席だから、みんなでおしゃれをしよう」

今の俺は、さすがにもうTシャツジーンズ姿ではなかった。RPGの最初の村に出てくる、村人みたいな服を着ている。
シルヴァンと出会った翌日、センスがよくて高価そうな服を贈られたけど、とても着こなそうになくて、地味なものに変えてもらった。
生成りのシャツに、カーキのベスト。ベージュのパンツと膝下丈のブーツ。これだって俺にはおしゃれすぎるくらいだ。ブーツなんて履いたことなかったし。

「シエルは色白だから、濃い色のジャケットが似合うと思うんだ。これなんだけど」

大きな紙袋から取り出したのは、光沢のあるベルベットのスーツだった。
色は濃紺。襟のところや袖口に、金と銀の糸で複雑な模様が描かれている。ところどころキラキラしたビーズみたいなのも縫いつけられていて……派手だ。
絶対似合わないやつ。というか、こんなの似合うのなんて、シルヴァンくらいなんじゃ……。

「え、ぁ、す、すてき、だけど、お、俺には、ちょっと……へ、へん、だと思います……ごめんなさい……」
「そんなことないと思うよ。きみの顔を思い浮かべて選ばせてもらったんだ。一生懸命選んだんだけどな……ダメかな?どうしても、いや?」

うっ……♡そ、その表情、ずるい。
シルヴァンはめちゃくちゃしょんぼりしている。
しゅうん、と眉がハの字になって、すごく寂しそうに俺を見つめている。のが。
か、かわいく、て。胸がきゅんきゅんしてしまう。
シルヴァンは立派な大人の男性で、俺より年上なのに、子どもみたいに見えてしまって。
俺がこんな顔させてるんだ、と思ったら、どきどきした。
こんなの、断れない……!

「あっ、き、着、ます!」
「本当に?嬉しいなあ」

大輪の花が咲くみたいにパッと明るい笑顔になるシルヴァン。
いつもより、無邪気な感じ……?
とりあえず無事に一冊翻訳し終わったから、機嫌がいいみたいだ。
シルヴァンが嬉しそうだと、俺も嬉しい。

「じゃあこっち」

連れて行かれたのはバスルームの脱衣所……シルヴァンは、たしかパウダールームと呼んでいた……だった。
パウダールームには、ボウルみたいな陶器のシンクがふたつあって、籐の椅子が置かれている。
女の人だったら、ここで化粧をしたり髪を巻いたりするんだろうな、という場所だ。
ベストを脱がされて、慌ててシルヴァンを止める。

「あ、あのっ、自分で、き、着替えます、から」
「だけど、この服ボタンとかベルトとかたくさんついてるよ。慣れていないと、ひとりで脱ぎ着するのは難しいと思う」
「はあ……」
「ね、いいじゃない。私にやらせてよ。前からきみをドレスアップしてみたかったんだ」
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