地味顔陰キャな俺。異世界で公爵サマに拾われ、でろでろに甘やかされる

冷凍湖

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「ああ……シエル、きみは……」

シルヴァンがため息をついた。涙で濡れた頬を、大きな手で挟まれる。

「ふう、ぅ……」

正面から見つめられる。
いたたまれない。目の前の顔はめちゃくちゃかっこいいのに、その瞳の中に映る俺は、みっともない泣き顔を晒している。

「……本当に、いじらしい」
「ぁ……♡」

考える間もなく、俺は目をつぶっていた。
頬に、唇がふわりと押し当てられる。

ちゅ♡ちゅ♡ちゅっ♡

何度も何度も、顔中にキスされて、うぁ、ヤバい、か、勘違い、しちゃいそうに、なる。
これは、親愛。親愛の、キスだ。
で、でも、

「んぅ~……♡」

くすぐったくて、なんか、むずむずする。
変な声、出る。

ちゅ♡ちゅう♡ちゅっ♡

ほっぺた。ひたい。まぶた。鼻の先や、耳もとにまでキスをされる。
唇を除いて、いろんなところに口づけられて、「ん♡んっ♡」と気色悪いくらいに甘えた声が漏れてしまう。
やべ、が、我慢しなきゃ。と、そっちに気を取られていたら、いつのまにか涙は止まっていた。

「よかった、泣き止んでくれたね」

シルヴァンは微笑んで、熱を持った俺の目もとをハンカチーフで優しく拭ってくれた。

「シエル、大切にするよ。約束だ」

その言葉が「救世主」の俺に向けらたものだと分かっていても夢みたいに嬉しくて、また少し泣いてしまった。
シルヴァンは困ったように眉をさげて、涙が止まるまで辛抱強く背中を撫で続けてくれた。
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