地味顔陰キャな俺。異世界で公爵サマに拾われ、でろでろに甘やかされる

冷凍湖

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「へぁ……、き、キス……」
「もちろん、唇にではなく、頬にだよ。森では驚かせてしまったからね、きみの許可を得てからと思ったのだけど……嫌かい?」
「い、嫌じゃない……ですけど、あ、は、恥ずかしく、て」

肌触りのいいシーツをもじもじと手繰って、俺は俯いた。
我ながら気持ち悪い動きだ。
かわいい女の子ならともかく、俺みたいな冴えない男がしたら、極刑とかになるんじゃないだろうか……。

「……かわいらしいな」
「かか、かわいく、なんか」

あるわけない。
顔の造りからしてかわいいとはほど遠いし、表情だって澱んでいる。
特徴がないぶん、雰囲気によって印象が大きく左右される。俺くらいのふつーっぽい顔のやつでも、おしゃれして、髪型きめて、明るく笑ってれば、それなりに良さげ見えるし、実際そういうやつだっている。
でも、俺はダメだった。そういうこと、できない。
鏡にうつった自分を見て、しみじみ「陰気だなあ」と思うくらいには、暗い男だ、俺は。
なのにシルヴァンは、さらりと「そんなことないよ」なんて言う。

「シエルは愛らしいよ。顔立ちも振る舞いも、控えめで奥ゆかしくて、いじらしい。すぐに赤くなって……照れやさんなのかな。そういうところも、好ましく思う」
「は、はわ……」

ほ、褒められ、た?
いや、顔立ちが控えめって、褒め言葉?なのか?
分かんないけど……でも、好ましいって、言ってくれた。
ヤバい、嬉し……♡
ぼ、と顔が熱くなる。すぐに赤くなる、というシルヴァンの指摘、当たってる。

「シエル……」
「あ、し、シルヴァン……」

頭を撫でていた手が、すっと頬に伸ばされた。
ほっぺたと、手。肌と肌が触れ合う。
あったかい。気持ちいい……♡
整った顔が近づいてくる。
あ……緑の目は、ちょっとだけ垂れ目だったんだと気がつく。優しげに下がったまなじりの端に浅いしわが浮かんでいた。
涙袋のふくらみがチャーミングで、寝ても取れない俺の隈と交換してほしいと思った。
うっすらとしたそばかす。うんと近づかないと気がつかないくらい。
……つまり、いま、それぐらい近い。至近距離。
目をつぶったほうがいいんだろうか。
けど、こ、恋人のキスでもないのに、目を閉じたら変に意識してるとか、思われそうな気がして、ああ、どうしよ、シルヴァンは目つぶってんのかな。
確認しようと視線を動かしたところで、頬に温かいものが触れた。
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