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「嫌ですか?」
「嫌っていうか意味分からん。そもそも男とは無理」
「じゃあ今まで貸したお金、今すぐきっちり全額返してくださいね、って言ったら?」
「あ!?なんだよそれ、脅すのか」
「やだなー、そんなんじゃないですよ」
真っ昼間の茶店でする話じゃないが聞き捨てならない。俺は小声で、けれど鋭い声で新名につめ寄った。
「だったら、どういうつもりだよ」
「さっき言ったじゃないですか。先輩が好きなんです。溜まってるんでしょ?無料で性欲解消できるんだからいいじゃないですか」
「や、まじで意味分かんねー」
「分からなくてもいいですけど、選択肢は二つしかないですよ。俺と寝るか、金を返すか」
「ひ、卑怯だぞ……!」
「なんとでも言ってください」
さらりと受け流し、食後のコーヒーに口をつける新名。何気ない動作がむかつくくらいかっこいい。
「とにかく先輩はヤリたいんでしょ。すっきりさせてあげますよ。俺、セックスうまいんで。満足させるって約束します」
「……まじで?」
「まじで」
「うーん……」
パスタをフォークに絡ませたまま、正直なところ俺の気持ちは揺り動かされていた。
男なんてセックスの相手として論外である。だが、そうは言っても金を返せるあてはないし、溜まっているのも事実だ。タダで気持ちよくしてくれるなら、もう男でもいいような気がした。
というか、新名ならまあ……。
これがキモいおっさんとか小汚いオタクみたいなやつなら死んでも御免だが、新名は男の俺から見ても文句なしにいい男だ。一回くらいいいか。減るもんじゃないし、返す金もない。
「道端先輩?どうします?」
「……やる。お前とセックスする」
「そう言ってくれると思ってました。嬉しいな」
「そりゃよかったな」
投げやりに言うと新名はとろけそうに甘い笑顔でうなずいた。
「さっそく今夜いかがです?行くつもりだったんでしょう?ソープ」
「まあな」
「じゃあ今日は風俗じゃなくて俺とラブホテルに行きましょう。予約しておきますね。そうだ、飯は何が食べたいですか?」
「なんでもいい。全部お前の奢りだからな」
「もちろん。ここのランチ代だって俺が出しますよ。夢みたいだな、先輩を抱けるなんて」
「悪趣味」
吐き捨てると、新名は声を立てて笑った。いったい何がそんなにおもしろいんだ。
本当に、悪趣味なやつ。
「嫌っていうか意味分からん。そもそも男とは無理」
「じゃあ今まで貸したお金、今すぐきっちり全額返してくださいね、って言ったら?」
「あ!?なんだよそれ、脅すのか」
「やだなー、そんなんじゃないですよ」
真っ昼間の茶店でする話じゃないが聞き捨てならない。俺は小声で、けれど鋭い声で新名につめ寄った。
「だったら、どういうつもりだよ」
「さっき言ったじゃないですか。先輩が好きなんです。溜まってるんでしょ?無料で性欲解消できるんだからいいじゃないですか」
「や、まじで意味分かんねー」
「分からなくてもいいですけど、選択肢は二つしかないですよ。俺と寝るか、金を返すか」
「ひ、卑怯だぞ……!」
「なんとでも言ってください」
さらりと受け流し、食後のコーヒーに口をつける新名。何気ない動作がむかつくくらいかっこいい。
「とにかく先輩はヤリたいんでしょ。すっきりさせてあげますよ。俺、セックスうまいんで。満足させるって約束します」
「……まじで?」
「まじで」
「うーん……」
パスタをフォークに絡ませたまま、正直なところ俺の気持ちは揺り動かされていた。
男なんてセックスの相手として論外である。だが、そうは言っても金を返せるあてはないし、溜まっているのも事実だ。タダで気持ちよくしてくれるなら、もう男でもいいような気がした。
というか、新名ならまあ……。
これがキモいおっさんとか小汚いオタクみたいなやつなら死んでも御免だが、新名は男の俺から見ても文句なしにいい男だ。一回くらいいいか。減るもんじゃないし、返す金もない。
「道端先輩?どうします?」
「……やる。お前とセックスする」
「そう言ってくれると思ってました。嬉しいな」
「そりゃよかったな」
投げやりに言うと新名はとろけそうに甘い笑顔でうなずいた。
「さっそく今夜いかがです?行くつもりだったんでしょう?ソープ」
「まあな」
「じゃあ今日は風俗じゃなくて俺とラブホテルに行きましょう。予約しておきますね。そうだ、飯は何が食べたいですか?」
「なんでもいい。全部お前の奢りだからな」
「もちろん。ここのランチ代だって俺が出しますよ。夢みたいだな、先輩を抱けるなんて」
「悪趣味」
吐き捨てると、新名は声を立てて笑った。いったい何がそんなにおもしろいんだ。
本当に、悪趣味なやつ。
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