【完結】虐待された少女が公爵家の養女になりました

鈴宮ソラ

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第三部 未来

エピローグ

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……第十四代国王ルーク・ハルティアはラウス王の治世によって乱れた国を正し、暗黒期を脱した名君として称えられている。
 そんなルーク王の功績は大きく分けて二つ。

 一つ目は財政改革である。ラウス王やリリアーナ王妃の散財によって底をつきかけていた国庫を回復させるため、新たな産業を積極的に取り入れた。誰も気に止めていなかった王領の洞窟に目をつけた彼は、最深部で魔水晶が採掘できることを発見した。この時に見つかった魔水晶の発見が、ハルティアが現在魔道具大国と呼ばれる大きな後押しとなった。

 二つ目は、彼の代で始まった「実力主義政策」だ。文官や騎士の登用に身分による制限を撤廃し、功績による陞爵を積極的に行った。そうして有能な貴族家門を囲い込み、王家の求心力を上げていった。加えて、魔水晶によって出た利益で地方に無償の学校を創設し、王都には王立学院を設立した。この王立学院は、大陸一と名高い難関試験を突破した者のみが入学でき、身分は関係なく国内外から受験者が集まることで有名だ。そのためこの時代は、ハルティア王国の教育水準がうなぎ登りとなった。

 また、彼の唯一の妻であるレイ王妃も、ハルティア改革に大きく尽力した。ルーク王の革新的かつ斬新な政策は、レイ王妃の協力無しでは生まれなかったとも言われている。リアム宰相に見出されたその手腕は、当時の女性貴族の憧れだった。これらの事から、彼女は大陸三大賢妃の一人にも数えられている。

 また、ルーク王とレイ王妃は王室きってのおしどり夫婦としても知られた。彼らの仲睦まじい様子は国民にも親しまれ、恋愛小説や戯曲として今なお親しまれている。


(中略)


 ルーク王の跡を継いで即位した第十五代国王エレノア・ハルティアは王国史上初の女王であった。彼女はルーク王の改革を引き継ぎ、さらに発展させた形で様々な政策を実行した。

 代表的な業績として、最も大きいものは王立議会の設立である。自ら平民の政治参加を奨励したため、(資料2 フォルカー王配の日記)ハルティアは周辺諸国と比べ議会の始動がとても早かった。当時は王権を削ると反対も多かったが、現代ではハルティアの高い教育水準の礎であり、国民の意見をいち早く政治に取り入れ始めた英断と知られている。このことからエレノア王は、公明正大な君主と言える。

 また、この頃彼女の弟であるエリオス王弟によってフォレスト公爵家が興された。革命時に没落したテレネシア公爵家に代わり、現代では二大公爵家の一つである。………








ハルティア王立学院 教科用図書『新編 大陸史』196、200ページより抜粋



【完】










ーーーーーーーー

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。これにて本編は完結となります。二部の最後にも書きました通り、この後番外編を更新していきます。あとがきなどは、その後で。

 また、番外編も更新していくにあたり、リクエストなどがあればコメントして頂けると幸いです。Rがつかないなど、できる範囲で書いていきたいと思っております。

 それでは、最後の番外編もよろしくお願いします。
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