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5章 決着
契り
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青い瞳に氷のような冷たさを宿した王太子殿下は、ギラギラした野心を宿した貴族たちを睨みつけています。
「今皆が言ったことは、王族侮辱罪にあたる。つまり全員牢獄に入りたいということかな?」
深海のような声が、響きました。
「ど、どういうことですか?私どもは殿下を侮辱した気は毛頭ありませんが。」
「ええ、そうですとも。横暴ではありませんかな?」
罪という言葉に著しく反応する貴族たち。私とルークはじっと耐えながらそれを見つめています。それにしても、殿下を侮辱した訳では無いのに侮辱罪とはどういう意図でしょうか。それがわからない殿下では無いと思いますが。
「何か勘違いしているようだ。ここにいるクレアは、皆も周知の通り神前で結婚式を行った。横槍が入ってしまったがな。つまりは既に彼女は王太子妃、王族の一員である。その彼女を侮辱したということは、立派な罪だ。」
貴族たちの顔色がサァァと青ざめていきます。そこでようやく私も気づきました。誘拐のインパクトで失念していましたが、二人は既に契りを交わした夫婦なのです。
「で、ですが。あの結婚式は…!」
「どうした、公爵?」
「あの結婚式では、認められません!立会人の教皇も、反逆に加担した偽物だったではありませんか!」
食らいつくのはリシュオン公爵です。しかし殿下ら顔色ひとつ変えずに淡々と言い放ちます。
「だが法的根拠は充分であろう?結婚誓約書は完成し、書名入りの指輪もしている。」
「で、ですが……」
公爵は食い下がりません。どうしても結婚を無効にしたいようです。結婚が未成立となれば王族侮辱罪に問われることはありませんし、また新たな結婚相手も必要になりますから。
「ああ、そうか。わかったぞ、公爵!」
押し問答を続けていると、突然殿下はわざとらしいほど笑顔になりました。
「確かに公爵の言う通りだな、私が間違っていたよ。」
公爵の顔が明るくなります。どうしてしまったんでしょうか。殿下は本当に、このまま結婚を無効にしてしまうつもりなのでしょうか。
そう心配していたのも束の間、殿下はクレア様の腰を引き寄せ、観衆の面前で口付けを交わしました。しかも、かなり長い時間です。クレア様が茹でダコと酸欠になるほど深く長いキスを、殿下は貴族たちに見せつけました。
愛しげな視線を伴う唇が離れると、殿下はクレア様を優しく隣に立たせます。
「誓いの口付けも終わった。これで結婚式の全行程は終了だ。これで文句は無いだろう、公爵?」
公爵含め、貴族たちは言葉を失いました。
「今皆が言ったことは、王族侮辱罪にあたる。つまり全員牢獄に入りたいということかな?」
深海のような声が、響きました。
「ど、どういうことですか?私どもは殿下を侮辱した気は毛頭ありませんが。」
「ええ、そうですとも。横暴ではありませんかな?」
罪という言葉に著しく反応する貴族たち。私とルークはじっと耐えながらそれを見つめています。それにしても、殿下を侮辱した訳では無いのに侮辱罪とはどういう意図でしょうか。それがわからない殿下では無いと思いますが。
「何か勘違いしているようだ。ここにいるクレアは、皆も周知の通り神前で結婚式を行った。横槍が入ってしまったがな。つまりは既に彼女は王太子妃、王族の一員である。その彼女を侮辱したということは、立派な罪だ。」
貴族たちの顔色がサァァと青ざめていきます。そこでようやく私も気づきました。誘拐のインパクトで失念していましたが、二人は既に契りを交わした夫婦なのです。
「で、ですが。あの結婚式は…!」
「どうした、公爵?」
「あの結婚式では、認められません!立会人の教皇も、反逆に加担した偽物だったではありませんか!」
食らいつくのはリシュオン公爵です。しかし殿下ら顔色ひとつ変えずに淡々と言い放ちます。
「だが法的根拠は充分であろう?結婚誓約書は完成し、書名入りの指輪もしている。」
「で、ですが……」
公爵は食い下がりません。どうしても結婚を無効にしたいようです。結婚が未成立となれば王族侮辱罪に問われることはありませんし、また新たな結婚相手も必要になりますから。
「ああ、そうか。わかったぞ、公爵!」
押し問答を続けていると、突然殿下はわざとらしいほど笑顔になりました。
「確かに公爵の言う通りだな、私が間違っていたよ。」
公爵の顔が明るくなります。どうしてしまったんでしょうか。殿下は本当に、このまま結婚を無効にしてしまうつもりなのでしょうか。
そう心配していたのも束の間、殿下はクレア様の腰を引き寄せ、観衆の面前で口付けを交わしました。しかも、かなり長い時間です。クレア様が茹でダコと酸欠になるほど深く長いキスを、殿下は貴族たちに見せつけました。
愛しげな視線を伴う唇が離れると、殿下はクレア様を優しく隣に立たせます。
「誓いの口付けも終わった。これで結婚式の全行程は終了だ。これで文句は無いだろう、公爵?」
公爵含め、貴族たちは言葉を失いました。
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