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3章 結婚式

婚約者との再会

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 それからはとにかく必死でした。我武者羅に教えられた事を吸収し、ようやく淑女として貴族界を生き抜く術を身につけたのは、15歳の時です。

 それ以前の私は勉学に打ち込むために外界からの関わりを必要以外は遮断していたので、遊び呆けているであろう婚約者ともほとんど会っていませんでした。月に一、二回ほどのペースで開催される二人きりの茶会も、彼からの要請で無くなったと聞きました。都合が良い、と率直に思いました。相変わらず意地悪ばかり言ってくる婚約者とのつまらないお茶会をしている暇があれば、少しでも早く教育を終えて村を助けたいと思っていましたから。


 婚約者と合わなくなって実に二年が経過したある日。突然会いたいと言われました。


「久しぶり……だね。」

 二年ぶりに再会した婚約者は、まるで別人のように変化していました。
 輝かしい容姿は少年から落ち着いた青年の風貌を持つようになり、体格も大人びた男性のものに。
 最大の変化はあの高飛車な言動が一切無くなったことです。優雅な所作で私をお茶会の場所までエスコートし、会話も知的でマナーも完璧。そして極め付きは、

「数年前の自分は実に愚かだった。婚約者である貴方を不当に蔑ろにし、権力を振りかざしてやりたい放題。」

謝罪を、始めたのです。

「王族の立場を理解しないまま、守るべき多くの人々に迷惑をかけた、もちろん貴方にも。この場を借りて謝罪する。本当に申し訳なかった。」

あろうことか、頭を下げたのです。

「もうあの自分とは決別した。これからはれっきとした王太子の私を、支えてほしい。」

 以前なら断っていたであろうこの提案。差し出された左手を、私は恐る恐る取りました。今の彼なら着いていける、そう確信しましたからです。



 迎えた社交デビューのパーティーでのこと。私は生まれて初めて貴族の争いの場に足を踏み入れました。
 今日の日のため、侍女たちはとにかく気合いを入れて磨き上げられました。夕方のスタートに合わせて朝から始まった、湯浴みやマッサージで全身をほぐされ、王太子の婚約者に相応しき一級品のドレスに身を包み、流行最先端のメイクを施されればあら不思議。田舎顔の娘がまるでお姫様のように変身していました。
「その、凄く綺麗だよ、クレア。」
「レオナルド殿下もです。」

いつの間にか名前で呼び合う仲になった殿下と入場すれば、そこは戦場。比喩ではありませんよ。

 ただ、圧倒されました。きっと殿下がいなければ気圧され倒れていたことでしょう。
 必死に身につけた技術は、肝心な時に役に立たないものです。教科書通りにいくことの方が少ないのですから。








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 第14回ファンタジー小説大賞が終了しました。投票頂いた方々、本当にありがとうございました。受賞できなかったのは残念ですが、私の実力で140位という予想以上の結果に大変満足しています。大賞期間中に沢山のお気に入り登録して下さる方が増えたことも嬉しい限りです。
 改めまして、これからもよろしくお願いいたします!
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