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2章 悲劇の王女

防衛戦

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凍れフリーズ!」
私は真っ先に魔力をグリフォンの翼に向けました。飛んでいるだけで厄介ですからね。しかし狙いが定まらず、一部しか凍ってくれません。

水柱すいちゅう!」
横からルークの水魔法が飛び、うねる水の柱がグリフォンの腹部を抉ります。その隙に騎士がそこを切りつけますが、まだグリフォンは健在です。

「くそ、地に落とせれば……」
「ルーク、私の魔法でグリフォンの翼を凍らせます。その間時間を稼いでください!」
「分かった、必ず守るから!」
グリフォンを塞き止める事はルークに任せ、私は魔力を溜める事に集中します。

 私の氷魔法は進歩しています。以前より使える魔法の種類も増えましたし、発動までの時間も短縮されました。ですが広範囲に魔法を発動させるのは時間がかかります。私の魔力量は多い方なので、その分集約させるのにも集中力が一際必要なのです。

「水壁!」
風刃ウインドカッター!」

 剣の音、魔法の音が耳に入るけど、極限の集中状態に入るとそれらは不思議と遠い場所からのように聞こえます。


ーーきた!


 感覚的に魔力の集約が掴めました。手のひらの中心にひんやりとした濃い魔力が溜まって今にもはち切れそうです。

「絶対零度!」

 魔力は二つに分けて放たれ、グリフォンの両翼…というか心臓にも直撃しました。実を言うと心臓は筋肉と体毛に覆われているので、一発の魔法で命中させられるか心配だったので確実な翼を狙ったんですよね。ですけど杞憂だったようで、グリフォンは力なく落下し動かなくなりました。


「……すごい、これが氷魔法。」
ルークは一瞬戸惑いながらも動かなくなったグリフォンに近づいて行きます。

「死亡を確認した。」
「…はい。」
グリフォンは即死だったようです。出血もなく、魔法を発生させようとしていたのか翼を大きく広げたまま止まっていました。まるで剥製のようです。

 生々しい感覚がまだ手に残っています。私はこの手で生き物を、命を殺めてしまったのです。
「…ごめんなさい。来世は、幸せに生きられますように。」
そしてせめてもの救いがあれば、と祈りました。






 しばらくグリフォンの解体作業が行われました。死体を放置する訳にはいきませんからね。
「お、おい!これ見ろよ!」
「え!?これって……」
作業をしていた騎士たちが焦り始めたので見ていると、皆の注目はグリフォンの足、その中でも爪の部分にありました。赤黒い、花のような違うような奇妙な形です。

「……これ、契約痕ですか?。」
「違う、この刻印は服従痕だ……」
「てことはこのグリフォンは……」
「誰かの使い魔って事だ………」











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