91 / 181
2章 悲劇の王女
王家の私生児
しおりを挟む
水色の髪と瞳。それは、私もまた持っている、ひとえに珍しい容姿です。
「エメリック嬢、君はシンシアに生き写しなのだ。」
「なぜ、私が……?」
「続きを話そう、そうすれば分かる。」
謎は深まるばかりです。オラルト家で受けた虐待、同じ色を持つ容姿、確かに無関係とは言い難いです。ですが、そうなると私は一体どこから………
「先王はシンシアを哀れみ、アリアナ嬢から引き離して王女として迎える事に決めた。」
「そのような事が可能だったのですか?」
聞いた限りアリアナ・リシュオン公爵令嬢は先代ロベルト陛下に固執していたように思います。薬を盛るほどに。そんな人が王族と認められた子を手放す事を良しとしたのでしょうか?引き離されたという事は側妃になった訳でも無さそうです。
「アリアナ嬢は否定していたが先王に薬を盛った容疑があったからな。リシュオン公爵家も王家に強く出られなかったのだ。強硬手段となってしまったものの、シンシアはアリアナ嬢の手から逃れた。」
「……そうなのでしたか。」
疑問は解消されました。王家に事実を秘匿してもらうなり借りを作ったと考えれば強行を止めるのは難しいでしょう。
「王女となったものの、表向きに見れば彼女は私生児。境遇も複雑だ。そのため離宮でひっそりと暮らすことになった。箝口令を出した最低限の人員を置き、シンシアは秘匿されて生きてきた。」
「……だから、周囲には存在を知る人がいなかったと?」
ルークは静かに聞きました。
「あぁ、私と姉上は幼い頃にシンシアが住む離宮に迷い込んだ事で存在を知った。」
シンシア王女は、幸せだったのでしょうか。虐待する実の母から離され、孤独に私生児として暮らした日々は。
「シンシアと交流はあったが、やはり先王からは外で口に出さないよう言われた。そしてそのまま月日は流れ、私たちは成人した。」
となると15歳でしょうね。ハルティア諸国の成人年齢はどこも同じですから。
「そして、シンシアは姿を消した。」
「…!?」
「いなくなった、という事ですか。」
陛下は重々しく首を縦に振りました。
「そうだ。シンシアは置き手紙も残さず離宮を去った。王家の調査員に追わせて、やっと見つけた頃にはシンシアは結婚し、子供までいた。」
「エメリック嬢、君はシンシアに生き写しなのだ。」
「なぜ、私が……?」
「続きを話そう、そうすれば分かる。」
謎は深まるばかりです。オラルト家で受けた虐待、同じ色を持つ容姿、確かに無関係とは言い難いです。ですが、そうなると私は一体どこから………
「先王はシンシアを哀れみ、アリアナ嬢から引き離して王女として迎える事に決めた。」
「そのような事が可能だったのですか?」
聞いた限りアリアナ・リシュオン公爵令嬢は先代ロベルト陛下に固執していたように思います。薬を盛るほどに。そんな人が王族と認められた子を手放す事を良しとしたのでしょうか?引き離されたという事は側妃になった訳でも無さそうです。
「アリアナ嬢は否定していたが先王に薬を盛った容疑があったからな。リシュオン公爵家も王家に強く出られなかったのだ。強硬手段となってしまったものの、シンシアはアリアナ嬢の手から逃れた。」
「……そうなのでしたか。」
疑問は解消されました。王家に事実を秘匿してもらうなり借りを作ったと考えれば強行を止めるのは難しいでしょう。
「王女となったものの、表向きに見れば彼女は私生児。境遇も複雑だ。そのため離宮でひっそりと暮らすことになった。箝口令を出した最低限の人員を置き、シンシアは秘匿されて生きてきた。」
「……だから、周囲には存在を知る人がいなかったと?」
ルークは静かに聞きました。
「あぁ、私と姉上は幼い頃にシンシアが住む離宮に迷い込んだ事で存在を知った。」
シンシア王女は、幸せだったのでしょうか。虐待する実の母から離され、孤独に私生児として暮らした日々は。
「シンシアと交流はあったが、やはり先王からは外で口に出さないよう言われた。そしてそのまま月日は流れ、私たちは成人した。」
となると15歳でしょうね。ハルティア諸国の成人年齢はどこも同じですから。
「そして、シンシアは姿を消した。」
「…!?」
「いなくなった、という事ですか。」
陛下は重々しく首を縦に振りました。
「そうだ。シンシアは置き手紙も残さず離宮を去った。王家の調査員に追わせて、やっと見つけた頃にはシンシアは結婚し、子供までいた。」
13
お気に入りに追加
1,600
あなたにおすすめの小説
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
婚約破棄された令嬢は、隣国の皇女になりました。
瑞紀
恋愛
婚約破棄された主人公アイリスが、復興した帝国の皇女として、そして皇帝の婚約者として奮闘する物語です。
前作「婚約破棄された令嬢は、それでも幸せな未来を描く」( https://www.alphapolis.co.jp/novel/737101674/537555585 )の続編にあたりますが、本作だけでもある程度お楽しみいただけます。
※本作には婚約破棄の場面は含まれません。
※毎日7:10、21:10に更新します。
※ホトラン6位、24hポイント100000↑お気に入り1000↑、たくさんの感想等、ありがとうございます!
※12/28 21:10完結しました。
私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
虐げられ聖女の力を奪われた令嬢はチート能力【錬成】で無自覚元気に逆襲する~婚約破棄されましたがパパや竜王陛下に溺愛されて幸せです~
てんてんどんどん
恋愛
『あなたは可愛いデイジアちゃんの為に生贄になるの。
貴方はいらないのよ。ソフィア』
少女ソフィアは母の手によって【セスナの炎】という呪術で身を焼かれた。
婚約した幼馴染は姉デイジアに奪われ、闇の魔術で聖女の力をも奪われたソフィア。
酷い火傷を負ったソフィアは神殿の小さな小屋に隔離されてしまう。
そんな中、竜人の王ルヴァイスがリザイア家の中から結婚相手を選ぶと訪れて――
誰もが聖女の力をもつ姉デイジアを選ぶと思っていたのに、竜王陛下に選ばれたのは 全身火傷のひどい跡があり、喋れることも出来ないソフィアだった。
竜王陛下に「愛してるよソフィア」と溺愛されて!?
これは聖女の力を奪われた少女のシンデレラストーリー
聖女の力を奪われても元気いっぱい世界のために頑張る少女と、その頑張りのせいで、存在意義をなくしどん底に落とされ無自覚に逆襲される姉と母の物語
※よくある姉妹格差逆転もの
※虐げられてからのみんなに溺愛されて聖女より強い力を手に入れて私tueeeのよくあるテンプレ
※超ご都合主義深く考えたらきっと負け
※全部で11万文字 完結まで書けています
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる