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2章 悲劇の王女

王家の私生児

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 水色の髪と瞳。それは、私もまた持っている、ひとえに珍しい容姿です。
「エメリック嬢、君はシンシアに生き写しなのだ。」
「なぜ、私が……?」
「続きを話そう、そうすれば分かる。」

 謎は深まるばかりです。オラルト家で受けた虐待、同じ色を持つ容姿、確かに無関係とは言い難いです。ですが、そうなると私は一体どこから………



「先王はシンシアを哀れみ、アリアナ嬢から引き離して王女として迎える事に決めた。」
「そのような事が可能だったのですか?」

聞いた限りアリアナ・リシュオン公爵令嬢は先代ロベルト陛下に固執していたように思います。薬を盛るほどに。そんな人が王族と認められた子を手放す事を良しとしたのでしょうか?引き離されたという事は側妃になった訳でも無さそうです。

「アリアナ嬢は否定していたが先王に薬を盛った容疑があったからな。リシュオン公爵家も王家に強く出られなかったのだ。強硬手段となってしまったものの、シンシアはアリアナ嬢の手から逃れた。」
「……そうなのでしたか。」
疑問は解消されました。王家に事実を秘匿してもらうなり借りを作ったと考えれば強行を止めるのは難しいでしょう。



「王女となったものの、表向きに見れば彼女は私生児。境遇も複雑だ。そのため離宮でひっそりと暮らすことになった。箝口令を出した最低限の人員を置き、シンシアは秘匿されて生きてきた。」
「……だから、周囲には存在を知る人がいなかったと?」
ルークは静かに聞きました。
「あぁ、私と姉上は幼い頃にシンシアが住む離宮に迷い込んだ事で存在を知った。」

 シンシア王女は、幸せだったのでしょうか。虐待する実の母から離され、孤独に私生児として暮らした日々は。

「シンシアと交流はあったが、やはり先王からは外で口に出さないよう言われた。そしてそのまま月日は流れ、私たちは成人した。」
となると15歳でしょうね。ハルティア諸国の成人年齢はどこも同じですから。

「そして、シンシアは姿を消した。」
「…!?」
「いなくなった、という事ですか。」
陛下は重々しく首を縦に振りました。
「そうだ。シンシアは置き手紙も残さず離宮を去った。王家の調査員に追わせて、やっと見つけた頃にはシンシアは結婚し、子供までいた。」
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