【完結】虐待された少女が公爵家の養女になりました

鈴宮ソラ

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第二部1章 隣国へ

新たな日々

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 戴冠式を終え、数ヶ月が経ちました。王宮の中はいつも忙しなく動き、絶え間なく人が行き交っています。

「レイ様、こちらの書類にサインを。」
「分かりました。この前の案件はどうなっていますか?予算は増額したはずですが。」
「明日に終了の見通しです。総括と報告書は来月には提出されるかと。」
「ありがとうございます。その後も調査だけは継続してください。」

 私もルークの婚約者として、日々執務に携わっています。王妃がすべき仕事が私に回ってくるため、最初は目が回りそうでした。ですが今は慣れてしまいました。現在進行しているのは辺境地の農作物について。作物が育ちにくいそうですので品種改良に予算を投じていました。案外早く終わったものです。流通ルートの確保などまだまだ課題はありますが、一旦ひと段落ですかね。

 今日はこの後ルークが執務室に来る予定です。何やら話があるのだとか。
「レイ、ルークだ。」
と噂をすれば。
「どうぞ。」

 ルークも国王となって数ヶ月。段々王太子の時よりも威厳が出てきた気がします。
「それで、話とは何ですか?」
「あぁ。グレシアナ王国は知っているよね?」
「えぇ、もちろんです。」

 グレシアナ王国は、ハルティア王国の隣に位置する国です。ハルティアとは古くから国交があり、今も交易の中心地となっています。ですが文化は随分異なっており、グレシアナ王国は宗教活動が盛んなのです。ちなみに、ケイト兄様が留学しているのもグレシアナ王国です。

「グレシアナの国王から、会談の誘いが来た。」
「そうですか……革命後即位したの国王と。」
「恐らく、品定めのつもりだろう。先代はグレシアナとほとんど関わってこなかったからな。国交存続も危うかった。」
「なるほど。」
 ルークが行くとなると、私は益々仕事が増えそうですね。覚悟しなければ。

「文書には、国王の婚約者…レイも来てほしいとある。」
「私も行くんですか?」
意外ですね。国王同士の会談だと思っていたのですが。私も品定めされるのでしょう。

「あぁ、でもレイなら心配はいらない。一緒に来てくれるかい?」
「もちろんです!」

 こうして私たちは隣国、グレシアナに向かう事になったのです。








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 今日から第二部です!
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