上 下
52 / 181
4章 無血革命

危険な婚約

しおりを挟む
 こんやく…婚約…私が?

「陛下!それは本気ですか!?」
「あぁ、本気だとも。なんだ、時期国王との婚約だぞ?これ以上ない名誉ではないか。」

 名誉とか、そういう話ではありません。私は今14歳、数ヶ月後には15歳になります。
 生まれる王子か王女とは、だいたい15歳差ということになります。

「失礼ながら…年齢の差が大きすぎるかと。」
「未来の王妃になれるならそんなもの塵に等しいだろう?」
「………」

「テレネシアが没落した今、最も血筋が良いのはエメリック家だ。私と愛しのリリアーナとの子に最も相応しい。」
「我が家を信用してくださっているのはありがたいのですが……」



 仮に私が婚約を受け入れたとしましょう。そうなると王家は多大なリスクを抱える可能性があります。それは、我が家から操られる可能性です。もっとも、そんなつもりは毛頭ありませんが。

 恐らく、陛下は子が生まれたらすぐに立太子させるつもりです。ルーク殿下を追い出すために。そうなると王太子が行うべき執務を行う人はいなくなります。こんな状態の陛下と王妃様が行うとは到底思えません。
 そして、その執務は婚約者である私に回ってきます。ルーク殿下が行っていた国王の執務も加えて。年齢的にも権利さえあれば執務をする事は可能ですから。殿になるのです。
 要するに、国の統治を行うのが王家以外になる、ということです。

 そうなれば、エメリック家は国家統治権を実質的に握ります。王太子が大きくなっても影響は色濃く残るでしょう。簡単にクーデター、また傀儡王室を創り出すことができます。



「そこにいる腑抜けはリリアーナが出産した瞬間に王位継承権を失う。王妃に無理を強いる訳にはいかないから、子は1人。どうだ?完璧ではないか!男子ならレイ嬢は必ず王妃になれるぞ!」

 いったい、何を言っているのでしょうか。この浅すぎる考えでよく国王になれたものです、この腐りきった王室にそこまでの威厳があると思っているのでしょうか。
 ルーク殿下も青ざめています。婚約の危険性に気づいているようですね。

 とにかく、私は遠慮したいですね。エメリック公爵家の為になるのかもしれませんが、この陛下が義父になるなんて耐えられません。

 それに、何故かルーク殿下のことが頭をよぎって仕方がないですから。

「陛下、時間をください。レイとしっかり話し合って答えをだします。」
 下を向いていた私の気持ちを察してくれたのかお父様は言いました。陛下は怪訝そうな顔をしましたが、

「ふむ……何が不満だと言うのだ。まぁ、仕方がない。愛娘だものな、嫁に出したくないのは分かるぞ。私もまだ産まれる前だと言うのに子が愛しくてたまらない。」
と言って許してくださいました。

 公爵邸に帰り、このことを話すとお母様を初めとする屋敷の全員から反対されました。ですが腐っても王家からの縁談。無下にはできないので困り果てていました。
しおりを挟む
感想 102

あなたにおすすめの小説

妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~

岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。 本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。 別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい! そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。

辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

聖女アマリア ~喜んで、婚約破棄を承ります。

青の雀
恋愛
公爵令嬢アマリアは、15歳の誕生日の翌日、前世の記憶を思い出す。 婚約者である王太子エドモンドから、18歳の学園の卒業パーティで王太子妃の座を狙った男爵令嬢リリカからの告発を真に受け、冤罪で断罪、婚約破棄され公開処刑されてしまう記憶であった。 王太子エドモンドと学園から逃げるため、留学することに。隣国へ留学したアマリアは、聖女に認定され、覚醒する。そこで隣国の皇太子から求婚されるが、アマリアには、エドモンドという婚約者がいるため、返事に窮す。

神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜

星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」 「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」 (レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)  美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。  やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。 * 2023年01月15日、連載完結しました。 * ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました! * 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。 * ブクマ、感想、ありがとうございます。

私は聖女(ヒロイン)のおまけ

音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女 100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女 しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

処理中です...