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4章 無血革命
処分と……
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断罪パーティーの3日後、公爵家は国王陛下からお呼び出しがありました。国王陛下直々のお呼び出しです。隣には少し離れて王太子殿下もいらっしゃいますね。
「リアム・エメリックと娘のレイ・エメリックが参上しました。」
「ふむ、よく来た。」
よく考えたら、国王陛下を見るのは初めてですね。王太子殿下の誕生日パーティーには出席しておられませんでしたし。
私はお父様程ではなくとも、国王陛下にあまり良い印象は抱いていません。実の子である王太子殿下を虐げ、暴政の数々。嫌われるのも納得の悪行です。
「さて、先日テレネシア公爵家の悪事を暴いたと聞いた。大儀であったぞ。」
「ありがたきお言葉です。」
お父様の言葉は抑揚がなく、感情が篭っていないのが伺えます。
「テレネシア公爵め、今まで散々良くしてやったというのに、犯罪に手を染めるとは!巧妙に隠しおって憎らしい。」
拳を握りしめる陛下。陛下がもっと調べておけばここまで大事にならなかった筈なのですがね。
「陛下、テレネシア公爵家の処分はどうされますか?」
「あぁ、そうだったな。」
ハルティア王国では、侯爵以上の高位貴族の刑罰は法務省と国王の会議により決定されます。今回処分対象なのは公爵家なので、こうして法官のお父様と当事者の私が呼び出されたという訳です。
「まず爵位は剥奪だ。テレネシア公爵家は取り潰しとする。」
「当然ですね。」
「そしてディアナ嬢は修道院行き、公爵は牢で終身刑とする。」
死刑にならないのは公爵という最高位貴族だからでしょう。
「具体的な刑の執行場所はどこにしましょうか。」
「法務省で決めといてくれ。」
「………はい。」
耳を疑いました。いやいや、そこは国王が決めないと。法務省に回し者がいて脱走の手引きとかされたらどうするんですか。いないとは思いますが。
「テレネシア家の管轄で働かされていた奴隷たちはどうしますか?」
「適当にしといてくれ。」
駄目ですね。微塵も自分でやろうとしない。
「あ、そうだ。」
陛下は私の方に視線を移しました。
「今度、私の愛する王妃リリアーナが出産するのは知っておるな?」
「はい、存じ上げております。」
お父様も私もそう言いました。
「この度の大義に対し、エメリック公爵家に恩賞を与えようと思う。」
その時、私の背筋にゾワリと寒気が走りました。何でしょうか、魔力が警告を鳴らしています。
「生まれる子が男子であったら、レイ・エメリック嬢を婚約者とする。」
「!?」
「リアム・エメリックと娘のレイ・エメリックが参上しました。」
「ふむ、よく来た。」
よく考えたら、国王陛下を見るのは初めてですね。王太子殿下の誕生日パーティーには出席しておられませんでしたし。
私はお父様程ではなくとも、国王陛下にあまり良い印象は抱いていません。実の子である王太子殿下を虐げ、暴政の数々。嫌われるのも納得の悪行です。
「さて、先日テレネシア公爵家の悪事を暴いたと聞いた。大儀であったぞ。」
「ありがたきお言葉です。」
お父様の言葉は抑揚がなく、感情が篭っていないのが伺えます。
「テレネシア公爵め、今まで散々良くしてやったというのに、犯罪に手を染めるとは!巧妙に隠しおって憎らしい。」
拳を握りしめる陛下。陛下がもっと調べておけばここまで大事にならなかった筈なのですがね。
「陛下、テレネシア公爵家の処分はどうされますか?」
「あぁ、そうだったな。」
ハルティア王国では、侯爵以上の高位貴族の刑罰は法務省と国王の会議により決定されます。今回処分対象なのは公爵家なので、こうして法官のお父様と当事者の私が呼び出されたという訳です。
「まず爵位は剥奪だ。テレネシア公爵家は取り潰しとする。」
「当然ですね。」
「そしてディアナ嬢は修道院行き、公爵は牢で終身刑とする。」
死刑にならないのは公爵という最高位貴族だからでしょう。
「具体的な刑の執行場所はどこにしましょうか。」
「法務省で決めといてくれ。」
「………はい。」
耳を疑いました。いやいや、そこは国王が決めないと。法務省に回し者がいて脱走の手引きとかされたらどうするんですか。いないとは思いますが。
「テレネシア家の管轄で働かされていた奴隷たちはどうしますか?」
「適当にしといてくれ。」
駄目ですね。微塵も自分でやろうとしない。
「あ、そうだ。」
陛下は私の方に視線を移しました。
「今度、私の愛する王妃リリアーナが出産するのは知っておるな?」
「はい、存じ上げております。」
お父様も私もそう言いました。
「この度の大義に対し、エメリック公爵家に恩賞を与えようと思う。」
その時、私の背筋にゾワリと寒気が走りました。何でしょうか、魔力が警告を鳴らしています。
「生まれる子が男子であったら、レイ・エメリック嬢を婚約者とする。」
「!?」
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