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3章 共同作戦
懐妊
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王妃の懐妊は、王国中…とくに貴族たちを驚愕させた。王太子ルークの誕生から14年、ミラ王妃の死から14年。初めて懐妊したのだ。
「ハッハッハッ!ついに、ついに最愛の王妃が子をなしたぞー!!」
大通路を大声で笑いながら歩く国王が王宮にはいた。
「父上…!」
国王に走り寄るのは王太子ルークだ。墓地から急いでやって来たのか頬が赤くなっている。
そんなルークを、国王は突き飛ばした。
「っ!」
見上げるルークだったが、国王の顔は冷たく軽蔑的だ。
「ようやくだ……あの忌々しい女と血の繋がるお前が王位を継ぐなど許せなかった!しかしリリアーナが子を産めばその子が王太子だ!つまりルーク、お前は用済みなんだよ!」
「っ!? そんな……」
「あぁ!その翡翠の目!あの女とそっくりだ!」
ルークは信じられなかった。嫌われているのはしっていたが、突然見放されたのだ。今までの苦労が、努力が、全てガラガラと音を立てて崩れていった。
「リリアーナが出産したら、すぐに王宮を出ていってもらう。お前の顔など見たくもないからな。しかし最後の情けで男爵位はくれてやるわ。いいな?」
「はい……」
従うしかなかった。
ルークには王宮の装飾品が絶望の色に染まって見えた。フラフラと立ち上がり自分の部屋に戻っていく。
「お父様!」
「分かっている!」
一方エメリック家も大騒ぎだった。ルークが廃嫡されればそれこそ王国の危機だし、計画も白紙になってしまうからだ。
「私は明日、王宮に呼ばれた。おそらく懐妊を大々的に伝えるためだろう。その時に王太子殿下と会う。」
「計画はどうするんですか?」
「……実行を早めることになるだろう。」
翌日リアムが王宮に行くと、やはり王妃の懐妊が伝えられた。それと同時に、王太子の座を性別に関わらず生まれる子に渡すことも。発表の場にルークはいなかった。出産予定日は今年の冬だそうだ。
そして、裏で出会ったルークとの話し合いによって決定された。
「あの計画の実行は半年後だ。」
「ハッハッハッ!ついに、ついに最愛の王妃が子をなしたぞー!!」
大通路を大声で笑いながら歩く国王が王宮にはいた。
「父上…!」
国王に走り寄るのは王太子ルークだ。墓地から急いでやって来たのか頬が赤くなっている。
そんなルークを、国王は突き飛ばした。
「っ!」
見上げるルークだったが、国王の顔は冷たく軽蔑的だ。
「ようやくだ……あの忌々しい女と血の繋がるお前が王位を継ぐなど許せなかった!しかしリリアーナが子を産めばその子が王太子だ!つまりルーク、お前は用済みなんだよ!」
「っ!? そんな……」
「あぁ!その翡翠の目!あの女とそっくりだ!」
ルークは信じられなかった。嫌われているのはしっていたが、突然見放されたのだ。今までの苦労が、努力が、全てガラガラと音を立てて崩れていった。
「リリアーナが出産したら、すぐに王宮を出ていってもらう。お前の顔など見たくもないからな。しかし最後の情けで男爵位はくれてやるわ。いいな?」
「はい……」
従うしかなかった。
ルークには王宮の装飾品が絶望の色に染まって見えた。フラフラと立ち上がり自分の部屋に戻っていく。
「お父様!」
「分かっている!」
一方エメリック家も大騒ぎだった。ルークが廃嫡されればそれこそ王国の危機だし、計画も白紙になってしまうからだ。
「私は明日、王宮に呼ばれた。おそらく懐妊を大々的に伝えるためだろう。その時に王太子殿下と会う。」
「計画はどうするんですか?」
「……実行を早めることになるだろう。」
翌日リアムが王宮に行くと、やはり王妃の懐妊が伝えられた。それと同時に、王太子の座を性別に関わらず生まれる子に渡すことも。発表の場にルークはいなかった。出産予定日は今年の冬だそうだ。
そして、裏で出会ったルークとの話し合いによって決定された。
「あの計画の実行は半年後だ。」
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