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2章 王太子と公爵令嬢

抗争勃発

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「レイ様、こんにちは!」
「お久しぶりです、レイ様!」
「2人とも!」

 真っ先に私に声をかけてくれたのは、ドロシー様とカレン様の2人でした。心がくすぐったいけど嬉しさで溢れます。

「そうだ、レイ様聞いてください。私たちも友人になりましたの。ね、ドロシー様?」
「はい!レイ様のおかげです!」
「そんな……でも2人が仲良くなれたのなら良かったです。」
 和気あいあい、そんな言葉がよく似合う会話をしていました。


 ですが、そんな幸せが長く続くはずもありませんでした。


「あらぁ?そこにいるのは…」
聞き覚えのある耳に触る作り声がしました。

「社交界のあぶれ物たちではありませんかぁ!」
声の主はやっぱりディアナ様ですね。ニヤニヤしながらこちらに歩いて来ます。前とは違い、令嬢を数名従え取り巻きのようにしています。


「えぇ、えぇ。公爵令嬢もどきに読書中毒の知ったかぶり伯爵令嬢、おまけに浮気者の血を継ぐ男爵令嬢!類は友を呼ぶとはまさにこの事ですわね!」
きつく拳を握ります。私はともかく2人への酷い暴言は耐えられません。今すぐ氷魔法で心臓ごと凍らせてやりたいと思いました。

 だが、力任せではいけないと冷静に踏みとどまります。ここは言葉で対応しなければ。
「ディアナ様、そのような言い方は失礼に当たります。謝罪してください。」
「何故?私は公爵令嬢、謝罪などしないわ。それに、全て真実じゃないの!」

「………めて。やめて!」
その時、ドロシー様が叫びました。
「急に大声を出してはしたないわね。これだから浮気者の娘は。」
「私の母を侮辱しないでください!」

 ディアナ様はまたニヤニヤと笑います。さっきから浮気者と言っていますが、どういう事なのか私には分かりませんでした。
「ここにいる方々は知らないようですから、私が教えて差し上げますわぁ!ルマーリン男爵家の過去を!」
「や、やめて!」
「ドロシー様の母、つまりルマーリン男爵夫人ですわね。夫人は浮気をしていたのです!」

「えぇ~!」
「そ、そんな淫乱な人が母親なんて……私なら耐えられないですわ!」
「ビッチの娘…」
 ディアナ様の取り巻きの方が口々に言い放ちます。グルのようですね。

「うふふ。浮気がバレて離婚を言い渡された夫人は浮気相手……伯爵だったそうです。伯爵の元へ行ったのですが、伯爵家はその後没落したそうじゃないですか!夫人は貞操観念も男を見る目も最低だったようですわね!」

「っ……もう、やめ、て。」
ドロシー様の身体と声は震えていました。

とここで、私はある事に気づいてしまいました。
「あっ………え?まさか……」
「今さら気づいたのですか?レイ様?」

「夫人の浮気相手は、レイ様の実父、オラルト伯爵だったのですわ!!」
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