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2章 王太子と公爵令嬢
社交辞令
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「え?どういうことですか?」
先生の呟きを聞き返そうとしましたが、馬車の扉は無情にも閉まり、走り出してしまいました。
「テレネシア公爵令嬢……前に一度だけ聞いたことがある人よね。確か、この国に2人しか居ない公女の内の1人…」
謎は深まるばかりです。仕方がないので、私はデビュタントパーティーについて思い出す事にしましょう。何か手がかりになる事があるかもしれませんしね。
デビュタント、それは貴族の子供たちが社交界デビューを果たす最初のパーティー。13から15歳の子供たちが集まる場です。毎年決まった日に行われ、王族から騎士一家まで、皆集まってデビューをするのです。
今日の主役はデビューする子供達です。ですが今年は特に人が集まります。何故なら、今年のデビュタントは王太子殿下もいらっしゃるからなのです。王太子殿下のデビューに合わせて、わざわざ子供のデビューを遅らせる家まであると先生が言っていました。
この国は15歳で成人。私は14歳なので、一応子供扱いになります。保護者や酔った人からお酒を勧められても飲まないよう先生から言われました。
と、ここまで思い出したら、馬車が止まりました。会場についたようです。
「お嬢様、つきましたよ!」
御者の方も言っています。
会場につくと、もう既に多くの人たちが集まっていました。皆さんドレスに騎士服に着飾っていますね。
さて、どうやって友人を作りましょうか。やっぱり、自分から話しかけましょう。
「あの…もしかして、エメリック公爵令嬢様ですか?」
そう思っていた矢先、1人の女性に話しかけられました。
「はい、そうです。」
正直に答えると、女性は微笑みました。
「私は、ジェノア伯爵家のミュエルと申します。以後、お見知り置きを。」
「私はレイです。よろしくお願いします。」
友人第1号はミュエル様のようです。早速話を広げましょう!そう意気込んでいたのですが…
「では、私は少し友人の所へ行きますね。」
「え?あぁ…はい。」
ミュエル様はすぐに私の元を離れて行きました。公爵家の関わりを持つための社交辞令だったようですね。
「お嬢様の事を本当の友人として見てくれる方を探してくださいね。」
その後も、何も言わずとも私の元には人がやって来ました。
「○○侯爵家の長女、○○でございます…」
「○○と申します。○○伯爵家とも、末永いお付き合いをよろしくお願いいたします…」
「○○侯爵家次男、○○です。婚約者候補としても考えてくださいますよう……」
「麗しい公爵令嬢殿、私と婚約しませんか?」
二言三言話すと、皆さん揃って戻っていきます。
これは、友人第1号をみつけるのに中々骨が折れそうですね。
先生の呟きを聞き返そうとしましたが、馬車の扉は無情にも閉まり、走り出してしまいました。
「テレネシア公爵令嬢……前に一度だけ聞いたことがある人よね。確か、この国に2人しか居ない公女の内の1人…」
謎は深まるばかりです。仕方がないので、私はデビュタントパーティーについて思い出す事にしましょう。何か手がかりになる事があるかもしれませんしね。
デビュタント、それは貴族の子供たちが社交界デビューを果たす最初のパーティー。13から15歳の子供たちが集まる場です。毎年決まった日に行われ、王族から騎士一家まで、皆集まってデビューをするのです。
今日の主役はデビューする子供達です。ですが今年は特に人が集まります。何故なら、今年のデビュタントは王太子殿下もいらっしゃるからなのです。王太子殿下のデビューに合わせて、わざわざ子供のデビューを遅らせる家まであると先生が言っていました。
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と、ここまで思い出したら、馬車が止まりました。会場についたようです。
「お嬢様、つきましたよ!」
御者の方も言っています。
会場につくと、もう既に多くの人たちが集まっていました。皆さんドレスに騎士服に着飾っていますね。
さて、どうやって友人を作りましょうか。やっぱり、自分から話しかけましょう。
「あの…もしかして、エメリック公爵令嬢様ですか?」
そう思っていた矢先、1人の女性に話しかけられました。
「はい、そうです。」
正直に答えると、女性は微笑みました。
「私は、ジェノア伯爵家のミュエルと申します。以後、お見知り置きを。」
「私はレイです。よろしくお願いします。」
友人第1号はミュエル様のようです。早速話を広げましょう!そう意気込んでいたのですが…
「では、私は少し友人の所へ行きますね。」
「え?あぁ…はい。」
ミュエル様はすぐに私の元を離れて行きました。公爵家の関わりを持つための社交辞令だったようですね。
「お嬢様の事を本当の友人として見てくれる方を探してくださいね。」
その後も、何も言わずとも私の元には人がやって来ました。
「○○侯爵家の長女、○○でございます…」
「○○と申します。○○伯爵家とも、末永いお付き合いをよろしくお願いいたします…」
「○○侯爵家次男、○○です。婚約者候補としても考えてくださいますよう……」
「麗しい公爵令嬢殿、私と婚約しませんか?」
二言三言話すと、皆さん揃って戻っていきます。
これは、友人第1号をみつけるのに中々骨が折れそうですね。
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