【完結】虐待された少女が公爵家の養女になりました

鈴宮ソラ

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1章 新しい家族

誕生日

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 それからまた数ヶ月が経ちました。
 今日は私の特別な日、誕生日です。

「お嬢様!お誕生日おめでとうございます~!」
「おめでとうございますお嬢様。」
 まず初めにプレゼントを貰ったのは侍女の2人でした。
「これは……?」
可愛らしいリボンが付けられた箱の中には、カラフルなものが入っていました。
「マカロンというお菓子です!この日の為に2人で作ったんですよ!食べてみてくださいっ!」
言われるがまま、マカロンを口に運びます。
「っ…美味しい!」
噛んだ瞬間サクッと軽い食感がして、ほのかな甘さが後を追います。中のクリームも甘すぎず、調度いい口溶けです。

「お口にあったようで何よりです。」
「嬉しいです、お嬢様!」

 次に朝食をとるためお父様達のもとへ向かいます。扉を開けると、沢山の方々が待ち構えていました。
「お嬢様、誕生日おめでとうございます!」
一斉にそう言いました。

「おめでとう、レイ。」
「14歳おめでとう、レイ!」
お父様とお母様もにこやかに言います。

 というか、机に何か小さな箱が乗っているんですが、何でしょう。とても繊細で細かい装飾がされていますね。
「これは私たちからのプレゼントだよ。」
私の気持ちを察したのか、お父様が言います。
「開けてみて!」
 お母様に言われて箱を手に取り、リボンを取ります。リボンの端にも『愛するレイへ』と刺繍がされてありました。

「綺麗……!」
箱の中にはネックレスが入っていました。それもデカデカと宝石が付けられた豪勢な物ではありません。複雑な形をしたペンダントトップの中には青く輝くサファイアが埋め込まれていました。上からの光に照らされ、澄んだ輝きをしています。

「世界で1つのネックレスだよ。オーダーメイドで作ってもらったからね。」
「気に入ってもらえたなら凄く嬉しいわ!」

 こんなに素敵なネックレスを気に入らない筈がありません。早速つけてみようと思います。
「お付けしましょうか?」
「お願いします。」
ポーラさんに付けてもらうと、一層特別感が増しました。ネックレスに手をあてます。
「お父様、お母様、ありがとございます。一生大切にします。」

「プレゼントは、まだあるんだよ。」
「そうなのですか?」
私は不思議そうにお父様を見つめます。

「入って来てくれ。」
誰かを呼んだかと思えば、おもむろに部屋の扉が開きました。そこに立っていたのは、立派な身なりをした1人の男性でした。

「彼はレイの兄、ケイト・エメリックだ。」
「初めまして、だな。妹よ。」
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