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1章 新しい家族

家族

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「公爵様、この度は愚息が大変失礼致しました…愚息には、再三注意します。だからどうか…!」
「フォークス令息、貴方の謝罪を聞かせてください。」

お父様の声は、静かですが怒りを抑えきれていない様子でした。
「何で…姉上が公爵家に嫁入り出来るように、公爵家の役に経ちたかっただけのに……」
「………」
「何もしてない養女なんかに……公爵令嬢を名乗らせて………許せなかった……」
「令息。」
「………」
途切れ途切れだったガヴィン様の言葉は、とうとう消えてしまいました。
「レイは何もしていない訳ではありません。急な環境の変化にも順応し、家庭教師からの授業にも取り組み、公爵令嬢として認められようと日々努力しています。私たちにとってレイは、本物の『家族』なのです。」
「………」
「それでも令息は、レイの事を何もしていない寄生虫と呼びますか?」
「………いいえ。」
「ならばいいのです。」
「侯爵、今日はお引き取りください。取引のお話はまた今度という事で。」
「は、はい………」

 侯爵様とガヴィン様はお父様の言葉でそそくさと帰って行きました。
「レイ、怪我は無いようだね。」
「はい。」
私の返事を聞くと、お父様は突然私を抱きしめました。
「安心したよ……氷魔法を制御できるようになったんだね。」
少し苦しいけど、お父様が私が思ってくれているのは嬉しいです。
「氷魔法は危険な力でもある。あまり力を使わないように言っていたが……もうレイは自分の実身は自分で守れるんだな。」
「はい!」


「これなら、社交界に出ても安心だな。」
「はい……って、え!?」
「レイはもうすぐ14歳。公爵邸に来て1年が経つ。そろそろ公爵令嬢として社交界に出てもいい頃だと思う。勿論、レイが嫌なら出なくても良いんだが……」


 社交界、以前の私なら無縁な世界。たまに伯爵様が屋敷で開いていた記憶はありますが、私がその場に出ることはありませんでした。
 ですが、今は違います。私は公爵令嬢になりました。マナーの勉強もしています。
「出ます!私も行ってみたいです!」
行ってみたいというのは、嘘ではありませんでした。
 それでも1番大きいのは、虐待されていた私を救ってくれたお父様や公爵家の役にたちたいという思いでした。

「じゃあ誕生日の後にある社交場でデビューだな。色々準備しないと!」
「はいっ!」

 こうして、私の社交界デビューが決まったのでした。ですがこの時の私は知りませんでした。社交界の闇を、この選択が私の運命を大きく変えてしまうことを。
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