【完結】虐待された少女が公爵家の養女になりました

鈴宮ソラ

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1章 新しい家族

フォークス侯爵家

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 それからまた1ヶ月。先生から貴族のマナーを習い始め、どうにか様になってきた頃でした。
「明日フォークス侯爵家が訪ねてくるけど、私1人で対応しておくよ。」
「分かったわ。」
夕食では夫婦の何気ない会話が繰り広げられていました。


 次の日、私は庭園で読書をしていました。最近好きなのは物質と物質を組み合わせる錬金術の書物です。熱中していると、大きな人の影で本が暗くなりました。驚き本から顔を上げると、男の人がいました。背が高いですが、私と同じくらいの年齢に見えます。
「おい、お前、名前は?」
いきなり”お前”なんて失礼な人ですね。というかこういう時は自分から名乗るものではないのでしょうか。
「そういう時は自分から名乗るものではないのですか?」
「ふん、そこまで言うなら言ってやるよ。俺はガウィン・フォークスだ。」
フォークス、という事は今日来られている侯爵家の方ですね。
「私はレイ・エメリックです。」
自己紹介が済むと、ガウィン様はとんでもない事を言い出しました。

「そうか、お前が公爵家の寄生虫か。」
「はい?」
「ふん、とぼけるな。公爵家に寄生して、乗っ取ろうとしてるんだろ!」
「そんな事は……」
「だ・か・ら!寄生虫のお前を、わざわざ駆除しに来たんだよ!」
言っている意味がさっぱり分かりません。

「初対面の人を寄生虫呼ばわりなど、失礼ではありませんか。」
「黙れ、公爵家に取り入るのはフォークス家なんだぞ!お前みたいな奴が権力を持っていいわけ無いんだよ!」
「そんなの、言いがかりです!」
「俺は天才だからな!見え見えの嘘なんてすぐ見破れるんだよ!」
「いい加減やめてください。人を呼びますよ。」
「なんだと、卑怯な!」
そう言うのを皮切りに、ガウィン様は手を伸ばしました。私は目を見張りました。庭園の土から蔓が生え始めたのです。

「フォークス家に伝わる植物魔法で、お前に鉄槌を下してやる!」
太く伸びた蔓は私に向けて進んで来ます。当たったら一溜りもなさそうです。
「きゃっ!」
間一髪でかわしましたが、蔓は追ってきます。

「逃げるな!大人しく駆除されろ!」
ここまでされたとなれば、仕方がありませんね。あまり人前で使わないようにと言われていたのですが……
「これは正当防衛ですよ?」
「何言ってんだ?大人しく攻撃されろ!」
氷の矢アイスアロー







 構想を練るため、1週間ほど休みます。すいません!
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