【完結】虐待された少女が公爵家の養女になりました

鈴宮ソラ

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1章 新しい家族

家庭教師

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 あの後から数日間、私はお母様やポーラさん達と一緒に過ごしました。公爵邸はとてつもなくひろいので、まだ全部の場所は行ききっていません。

「今日から家庭教師をしてもらう、フェリーナ・クレミアムさんだ。」
突然お父様に呼び出され、そう言われました。お父様が呼ぶと言っていた口の固い家庭教師とはこの方の事のようです。
「今日からお世話になります。よろしくお願いいたします。」
90度のしっかりしたお辞儀。礼儀正しいその方は、フェリーナさんと言うようです。
「よろしくお願いします。レイ……エメリックです。」
そういえば、自分の名にエメリックを付けるのは初めてでした。何だか恥ずかしいですね。

「フェリーナさんは住み込みになるから、公爵邸の新しい仲間でもあるよ。」
「そ、そうなのですか?」
家庭教師は住み込みが普通なのでしょうか。今まで伯爵邸から出たことがなかった私には分かりません。
「レイの力が広まらないためだよ。レイの事情は話している。彼女の事は信用しているけど、念の為ね。」
「お嬢様の力になれるよう、尽力いたします。」



「では、始めましょう。」
午後になって、フェリーナ先生との初授業です。
「最初は…何にしましょう。何か気になる事はありますか?」
私の気になること…1つパッと思いつきました。
「歴史………エメリック公爵家の歴史が知りたいです。」
「歴史ですか!歴史は興味深いですよ~!」
テンションが急に上がりましたね。私の不思議そうな視線に気づいたのか、フェリーナ先生は少し顔を赤くしました。
「コ、コホン。すいません、私は歴史が大好きなんです。」
「そうなんですか。沢山教えてくださいね!」
「よろしいのですか?」
「はい、勿論です。」
「それでは、早速歴史の授業ですよ。お嬢様!」
「はい!」

「まず、このハルティア王国において、公爵の地位を持つ家は2つしかありません。」
意外と少ないのですね。
「ここ、エメリック公爵家ともう1つ、テレネシア公爵家です。」

「公爵家の歴史は、ハルティア王国が建国された時代に遡ります。」

ーー初代国王が戦争に勝利し、独立して出来たのがこのハルティア王国。その戦争にて、大きな戦果をあげた国王の親友が2人いた。
 1人は緻密でありながら斬新な作戦をたてた知将。もう1人は兵士たちを鼓舞、自らは敵国大将の首を取ってきた軍人。この2人に手助けされながら国王は革命を起こした。自分たちの自由、幸せのため。

 戦後、ハルティア王国として独立してからその2人は国王から『公爵』の地位を授けられた。国王に次ぐ高い権力を持つ爵位だ。公爵の地位を授けられたのは、後にも先にもこの2人だけだ。
 政治体制が整い、他の手柄をたてた者達も貴族となった。王が統治するハルティア王国は数百年この均衡を保っている。--
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