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第11章 クラス対抗魔法球技戦編
閉会式⑤
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「では、いよいよ今年度の生徒投票による最優秀選手の発表です。今年度の最優秀選手は……2年3クラス、サラ・ウィンドギャザーさんです!」
会場からは大きな歓声と拍手が沸き起こった。サラは去年に続き、2年連続の生徒選出による最優秀選手となった。
「サラさん、一言お願いできますか?」
他の生徒会メンバーと共に集まっていたサラに、フリージアは問いかけた。サラはその言葉に答えてステージへと上がった。ステージに上がってお辞儀をするだけでまた歓声が起こった。
「このような評価を受けたこと、身に余る光栄に感じます。今回の球技戦は団体戦ですから、私の活躍もチームメイトあってのものです。特に、クラスの総リーダーとして尽力し、自らも素晴らしい試合をしたフランチェスカさんには、私以上の評価がなされてもおかしくないと感じます。彼女の働き無くしては、全種目優勝は絶対に無理だったことでしょう。私がどんなに1人で頑張ろうが勝利は難しかったでしょう、これは団体戦ですから。ですが、いずれにしても皆さんからの評価は嬉しいものです。ありがとうございました」
そう言って、サラはもう一度お辞儀をした。SSランクという類まれな才能を持ちながら、仲間を立てる謙虚な言葉に、会場から拍手が起こった。
「ふぅん、『ルーシィ大大大好きー』のサリー先輩のことだから、てっきりルーシィについて触れるかと思ったけど」
サラのスピーチに少し違和感を持ったように、ルビアが首を傾げて言った。
「ははは、まぁ、自分の受賞のスピーチだし、関係ない私の話をするほどの常識外れではないと思うけど?」
「…まぁ、それもそっか」
「ほほぅ、てことは、スピーチの最後に強引に『一番目立ってないけど、一番活躍してくれた友人』っていう匂わせ発言をしたルビィもルーシィが大大大好きってことかー」
横で話を聞いていたフェリカが意地悪く、にやにやと笑いながらそう言うと、ルビアは顔を真っ赤にして反論する。相変わらず、ルビアのセリフのところだけは声や顔つき、立ち振る舞いを、少し誇張して真似していた。
「わっ、わたしの受賞とルーシィは関係なくないでしょ!それにそれを言ったらあなただってそうでしょ!」
「えー、だって私はルーシィが大大大好きだもーん、あ、もちろん、ルビィも大大大好きだよ…えっ…ルビィは……違うの?」
最後だけ声のトーンを落として、今にも泣きだしそうな表情でそう言うフェリカ。
これは完全にルビアをからかってるなと思い、笑いをこらえるのに必死なルーシッド。
しかし、無駄に演技力が高い。
何という演技力の無駄遣いだろうか。
「そっ、そういう聞き方はズルいわ!」
「……違うの?」
「好きよ!これでいいんでっ、あぁもう抱き着くなバカ!」
若干かぶせ気味に抱き着いてきたフェリカを無理やり引きはがそうとするルビア。
そんないつものやり取りを見て、思わず笑ってしまうルーシッド。
こんな日々がいつまでも続くといいな、そう思いルーシッドの表情は笑った後、少しだけ曇った。
スピーチを終えて戻ってきたサラを、生徒会メンバーたちは笑顔と拍手で温かく迎える。
「よぉ、こらえたなぁ」
シヴァが、にやにやしながらそうサラに話しかける。
「……そのくらいの良識はあります」
サラは、少し顔を赤らめて、ぷいっと顔を背けた。
「ははは。まぁあせらんでもえぇ。メインイベントはこれからや」
そう言うとシヴァは、相変わらず開いているかいないかわからないようなその細い目で、ちらりと壇上にいるフリージアの方を見た。
閉会式は続けて各代表による選出された最優秀選手の発表に移っていた。
ギルドマスター会議選出の最優秀選手は、フランチェスカ・ルテイシャスが選ばれた。
サラもそのコメントで言っていたように、クラスの総リーダーとしてクラスをまとめ上げ、見事去年の雪辱を果たしての全種目優勝に導いたことが高く評価された。
また、本人自身も、去年と同じ決勝カードであり、絶対防御の異名を持ち、今までバトルボールにおいては一度も負けたことがないクレア・グランドを相手に、巧みな戦術を用いて勝利した点が、バトルボールギルド、黄魔法研究ギルド、新魔法開発ギルドなど、多くのギルドから高い評価を受けた。
そして、教員選出の最優秀選手は、3年生のルミエ・シャノワールという生徒が選ばれた。
ルミエは黒の純色の魔法使いであり、操影魔法の使い手だ。しかし、ルミエの操影魔法は通常の影の魔法ではあり得ない事象を引き起こすため、本人の口からは語られていないが、恐らく亜種魔法か、詠唱文が公表されていない固有魔法である可能性が高い。
残念ながら、クラスとしてはどの種目も決勝まで勝ち進むことはできなかったため大きく目立ってはいないが、ルミエ自身はエリアボールとストライクボールに出場し、個人としては良い成績を収めた。また、今回の球技戦でも今までとは別の魔法を使ってきたことも評価された。
教員の選出枠としては、クラスのレベルや試合当たりの悪さによって目立ってはいないが、評価に値する確かな実力を示した生徒を選んだ、ということだろう。
「それでは最後になりましたが、生徒会選出の最優秀選手を発表します。最優秀選手は
1年5クラス、ルーシッド・リムピッドさんです」
「………へ…?」
ルーシッドは、呼ばれるはずのない名前が呼ばれるのを聞いて、素っ頓狂な声を上げた。
会場からは大きな歓声と拍手が沸き起こった。サラは去年に続き、2年連続の生徒選出による最優秀選手となった。
「サラさん、一言お願いできますか?」
他の生徒会メンバーと共に集まっていたサラに、フリージアは問いかけた。サラはその言葉に答えてステージへと上がった。ステージに上がってお辞儀をするだけでまた歓声が起こった。
「このような評価を受けたこと、身に余る光栄に感じます。今回の球技戦は団体戦ですから、私の活躍もチームメイトあってのものです。特に、クラスの総リーダーとして尽力し、自らも素晴らしい試合をしたフランチェスカさんには、私以上の評価がなされてもおかしくないと感じます。彼女の働き無くしては、全種目優勝は絶対に無理だったことでしょう。私がどんなに1人で頑張ろうが勝利は難しかったでしょう、これは団体戦ですから。ですが、いずれにしても皆さんからの評価は嬉しいものです。ありがとうございました」
そう言って、サラはもう一度お辞儀をした。SSランクという類まれな才能を持ちながら、仲間を立てる謙虚な言葉に、会場から拍手が起こった。
「ふぅん、『ルーシィ大大大好きー』のサリー先輩のことだから、てっきりルーシィについて触れるかと思ったけど」
サラのスピーチに少し違和感を持ったように、ルビアが首を傾げて言った。
「ははは、まぁ、自分の受賞のスピーチだし、関係ない私の話をするほどの常識外れではないと思うけど?」
「…まぁ、それもそっか」
「ほほぅ、てことは、スピーチの最後に強引に『一番目立ってないけど、一番活躍してくれた友人』っていう匂わせ発言をしたルビィもルーシィが大大大好きってことかー」
横で話を聞いていたフェリカが意地悪く、にやにやと笑いながらそう言うと、ルビアは顔を真っ赤にして反論する。相変わらず、ルビアのセリフのところだけは声や顔つき、立ち振る舞いを、少し誇張して真似していた。
「わっ、わたしの受賞とルーシィは関係なくないでしょ!それにそれを言ったらあなただってそうでしょ!」
「えー、だって私はルーシィが大大大好きだもーん、あ、もちろん、ルビィも大大大好きだよ…えっ…ルビィは……違うの?」
最後だけ声のトーンを落として、今にも泣きだしそうな表情でそう言うフェリカ。
これは完全にルビアをからかってるなと思い、笑いをこらえるのに必死なルーシッド。
しかし、無駄に演技力が高い。
何という演技力の無駄遣いだろうか。
「そっ、そういう聞き方はズルいわ!」
「……違うの?」
「好きよ!これでいいんでっ、あぁもう抱き着くなバカ!」
若干かぶせ気味に抱き着いてきたフェリカを無理やり引きはがそうとするルビア。
そんないつものやり取りを見て、思わず笑ってしまうルーシッド。
こんな日々がいつまでも続くといいな、そう思いルーシッドの表情は笑った後、少しだけ曇った。
スピーチを終えて戻ってきたサラを、生徒会メンバーたちは笑顔と拍手で温かく迎える。
「よぉ、こらえたなぁ」
シヴァが、にやにやしながらそうサラに話しかける。
「……そのくらいの良識はあります」
サラは、少し顔を赤らめて、ぷいっと顔を背けた。
「ははは。まぁあせらんでもえぇ。メインイベントはこれからや」
そう言うとシヴァは、相変わらず開いているかいないかわからないようなその細い目で、ちらりと壇上にいるフリージアの方を見た。
閉会式は続けて各代表による選出された最優秀選手の発表に移っていた。
ギルドマスター会議選出の最優秀選手は、フランチェスカ・ルテイシャスが選ばれた。
サラもそのコメントで言っていたように、クラスの総リーダーとしてクラスをまとめ上げ、見事去年の雪辱を果たしての全種目優勝に導いたことが高く評価された。
また、本人自身も、去年と同じ決勝カードであり、絶対防御の異名を持ち、今までバトルボールにおいては一度も負けたことがないクレア・グランドを相手に、巧みな戦術を用いて勝利した点が、バトルボールギルド、黄魔法研究ギルド、新魔法開発ギルドなど、多くのギルドから高い評価を受けた。
そして、教員選出の最優秀選手は、3年生のルミエ・シャノワールという生徒が選ばれた。
ルミエは黒の純色の魔法使いであり、操影魔法の使い手だ。しかし、ルミエの操影魔法は通常の影の魔法ではあり得ない事象を引き起こすため、本人の口からは語られていないが、恐らく亜種魔法か、詠唱文が公表されていない固有魔法である可能性が高い。
残念ながら、クラスとしてはどの種目も決勝まで勝ち進むことはできなかったため大きく目立ってはいないが、ルミエ自身はエリアボールとストライクボールに出場し、個人としては良い成績を収めた。また、今回の球技戦でも今までとは別の魔法を使ってきたことも評価された。
教員の選出枠としては、クラスのレベルや試合当たりの悪さによって目立ってはいないが、評価に値する確かな実力を示した生徒を選んだ、ということだろう。
「それでは最後になりましたが、生徒会選出の最優秀選手を発表します。最優秀選手は
1年5クラス、ルーシッド・リムピッドさんです」
「………へ…?」
ルーシッドは、呼ばれるはずのない名前が呼ばれるのを聞いて、素っ頓狂な声を上げた。
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