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第1章【無意識世界の事件簿】
Page:5 「変人の新聞部員」
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ーー翌日、放課後。
「うし、今日はこっちの方で聞き込みだったな」
放課後はいつもの屋上に集合し、作戦を練る。今回は昨日言っていたように、こちらの方で調査を行う。主な内容としては、昨日メモした生徒からの聞き込み、それともう一つ気になることを調べに行く。
「昨日の生徒をメモしたやつをお前に送る。俺よりもお前の方がこの学校の生徒には詳しいだろ?」
「そうだけど、二人で行くんじゃねぇのか?」
「俺は俺で調べたいことがある。効率的に動こう」
「なるほどな。おっけー、任せとけ」
「あまり感情的になるなよ。向こうの世界にどんな影響があるか分からんからな」
「なるべく頑張る」
……まあ、どうせどっか変なタイミングで騒ぎを起こすんだろうなと思ったが、最悪伊吹を刺激しなければいいかと俺たちはここで解散した。
ーーさて、俺が今日一人になったのにはちゃんとした理由がある。
「新聞部……」
西校舎三階にある教室のうちの一つ。そこは新聞部の部室であり、今現在は部員一名の変な奴がいるという噂がある。
変な奴というところに引っかかるが、長い付き合いを予定しているわけじゃないし、軽く知りたいことを知れたらそれで十分だ。
「失礼しまーー」
「おわああああああ!!?」
俺が扉を開けるなり、奇声を発して廊下の方へ倒れ込んでくる生徒が一名。そのせいで大量の紙が彼女の両手から散らばってしまった。
変な……奴?
「いってて……!なんでこんな時に限って自動ドアになるんですかったく……」
その女生徒はぶつけた額を押さえながら恨み言を呟く。
「大丈夫か」
とりあえず声はかけておく。ついでに手も差し出しておくか。
「あ、ありがとうございます……。はー、いってて……」
見たところは普通の生徒だな。まあ、髪の色が白いって分かりやすい特徴はあるが、そもそも金髪のヤンキーを見た後だしな。そんな驚くべき特徴でもない。
「あれ、メガネメガネ……」
「……」
さっき倒れた拍子に飛んでいったのか。ここまでする必要もないと思いながら、少し先にあった赤色のメガネを拾い渡す。律儀に「ありがとうございます」なんて言ってくるが、そもそも俺がこのタイミングでドアを開けてしまったのが原因らしいからな。……これ俺が悪いのか?
まあ何でもいいか。メガネを渡したら今度は落としてしまった紙の束を拾い出したので、これまた少し手伝う。
「いえ~すみませんね~。私ったら昔からドジなので~」
「気にするな」
「で、で、今日は何の用ですか!?入部!?入部希望ですか!?入部希望ですよね!待っててください今から入部届を持ってきますので~」
「いやーー」
俺の返事を聞かず、そいつは「あ、ここで待っててくださ~い!」と言ってどこかに行ってしまった。
「誰も入部するなんて言ってないが……」
恐らく、訪ねてくる人みんなに同じことをしてたため、変な奴と呼ばれるようにでもなったのだろう。部員一名。まあ、仲間は欲しいよな。
待ってろと言われたので大人しく部室の中で待つ。狭い部室ではあるが、本棚にはギッチリと本が詰められているし、収納用の棚には新聞紙がこれまた大量に積まれている。あとパソコンが結構豪華。一人なのにモニター三つって何に使うんだ?
まあ、ちゃんと活動はしているということなのだろう。
「おっ待たせしましぶわぁ!!?」
バタン、と入口でつまづき倒れた。これ多分さっきのは偶然じゃないな。
「お前いつもこんな調子なのか」
「い、言ったでしょう……。ドジばっかりだって」
「……はぁ」
あてが外れたかもしれんな。
ここから帰るかとも思ったが、何もせずにただ帰るのも勿体ない。とりあえず、聞くだけ聞いてダメだったら神代と合流しよう。
「えーっとですね、まず入部届の書き方からなんですけどー」
「入部する気はない。今日は聞きたいことがあって来た」
「えーっとですね、まず入部届の書き方からなんですけどー」
……?時間巻き戻ってる?
「入部する気はない」
「えーっとですね、まず入部届の書き方からなんですけどー」
「お前、これ入部するって言うまで続ける気か」
「はてなんのことですかね~。人に何か頼むんだったら、まずは自分がそれなりの態度をーー」
「帰る」
あまりにも面倒な展開が来て、俺は話をぶった切って教室から出ようとした。しかしーー
「待ってください!はな!話だけでも聞いてくだざいよ~!」
腕に抱き着かれ、どう見ても嘘泣きにしか見えない涙を浮かべられる。そんなので堕ちると思ってるのか。舐めてるにも程がある。
「……それこそ、人に何かを頼むんだったらそれなりの態度をってやつだ」
「分かりました!分かりましたから~!」
「……はぁ」
正直、変な奴というものを舐めてたな。そりゃ、ちょっと変な奴だってくらいで俺の耳に届くほどの噂にはならないよな。
来る場所を間違えたと思いながらも、ひとまず話だけは聞いてやろうと席に座り直す。
「あの、うちぃ、見てもらえれば分かると思うんですけど絶賛部員が私一名なわけなんですよ」
「あんな勧誘の仕方をしてたらそうなるだろ。お前何年だ」
「に、2年Bの清水美音です……」
「タメか……」
なら尚更こんなやり方してるんじゃ新入部員は入って来ないな。
「ここ最近は部室に来てくれる人も全然いなくなっちゃって、で、久しぶりに生徒、それもついこの間来たっていう転校生だったからつい興奮しちゃって……」
そこそこ生徒の数が多いというのに、パッと見ただけで俺が転校生だと分かったのか。そこは素直に凄いな。
しかし、そんなモジモジと話されたところで、さっきまでの態度からろくな事にならないと察してしまう。ので、自然と態度も高圧的になる。
「お、お願いします!このままじゃ廃部なんです!」
「俺も2年だぞ。どの道来年誰も入ってこなければ廃部だろ」
「いやまあ、それもそうなんですけど……」
はて、どうしたものか。正直、神代のは乗りかかった船みたいなものだったから協力してるが、こいつまで助けてやる義理は無いしな。ーーしかし、人を一瞬で誰なのかを把握したあの目は使えるかもしれん。
「分かった」
「え!入ってくれるんですか!?」
「取引だ。今から俺が言うことが出来るんだったら考える。出来なきゃ他を当たれ。俺も他を当たる」
考えた末、俺は『取引』という形で調査を依頼することにした。出来れば長い付き合いにはしたくなかったのだが、背に腹はかえられまい。
「伊吹翔真。彼に関する噂とか、神代絡みの事件を調べてほしい」
「えー、あの先行の記録ですか……?正直嫌なんですけど」
「だろうな。あまりいい噂は聞かない」
「いえ、そういうわけじゃなくて……。分かりました。何でもいいんですよね?」
「ああ何でもいい。出来るだけ情報があった方が助かる」
「わっかりましたー!気乗りしませんけど調べてきまーす!」
言葉の節々に嫌そうな態度を感じたが、清水は元気よく教室を飛び出し、その先の曲がり角で転んだもののすぐに起き上がってどこかへ行ってしまった。
「変な奴だな」
結局感想はそれしか出てこなかったが、あの様子なら明日くらいにでももう色々調べてそうだな。また来ようか。
にしても、露骨に嫌そうな態度を取っていたのが気になるな。神代みたいに直接の被害に遭ったというのならまだしも、清水は新聞部で特に接点らしい接点は無いはずだ。昨日倒したセルボスのリストにも、清水の名は載ってないしな。
「まあいいか」
神代と合流しよう。結構人数が多いから、まだ半分くらいだと思うがどうなってるか。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ーー本校舎、屋上。
「……ここにいたか」
あれから色々と探し回り、どこにもいなかったためアジトに戻って来たのだが、神代が俺より一足早く帰ってきていた。しかも、結構げんなりとしている。あまり、いい成果は得られなかったみたいだな。
「あんな、全員に聞いて回ったんだよ。そしたらよ、全員が全員口揃えて「知らねぇ」って言うんだぜ?」
「まあ、ある程度は予想出来ていたな」
元々、本音が見える向こうの世界でも「関わるな」と強調してきたんだ。それは、自分自身に対してでもあり、俺たちに対してのセリフでもあったのだろう。
そんなに期待はしてなかったが、神代のこの態度を見るとまだ頑張りようがあるとは言えないな。
「どうするよ~暁」
「今聞屋に伊吹について嗅ぎ回ってもらってる」
「え、あの変人相手にか?」
神代までそう言うか。本当にみんなから変な奴と思われてるんだな。
「ああ。明日くらいには色々と上がってくると思うんだが……」
「お前どうやって頼んだんだよ。え、まさか部室に行ったってか?」
「……その通りだが」
「あいつ、ずっと入部しねぇかって言ってくるだろ」
「さては経験者か」
「そう。弓道やめた時にさ、もう噂掴むのが早すぎてその日には入部!入部!って感じよ。まあ、あんときゃ憔悴しきってて、何も言葉が入ってこなかったし、それ察して向こうから帰っていいって言われたけどさ」
「なるほど」
清水は噂を掴むまでが早い、と。性格が性格でなければ相当使えそうな奴だな。いわゆる、バカと天才は表裏一体というやつか。
神代は「あん時流れで入ってなくて良かったな~」と独り言を呟いた。伊吹に恨み辛みを抱え続けるよりかは余っ程マシだったかもしれないと一瞬思ったが、こいつの性格上、それは無理だろうなとすぐに悟る。
「今日は解散しよう。また明日、聞屋の情報次第でどうするか決める」
「りょーかい。はー、あの世界使えば楽に追い詰められると思ったんだけどなー。意外と骨が折れそう……」
「地道にやるしかないな」
「だな」
「うし、今日はこっちの方で聞き込みだったな」
放課後はいつもの屋上に集合し、作戦を練る。今回は昨日言っていたように、こちらの方で調査を行う。主な内容としては、昨日メモした生徒からの聞き込み、それともう一つ気になることを調べに行く。
「昨日の生徒をメモしたやつをお前に送る。俺よりもお前の方がこの学校の生徒には詳しいだろ?」
「そうだけど、二人で行くんじゃねぇのか?」
「俺は俺で調べたいことがある。効率的に動こう」
「なるほどな。おっけー、任せとけ」
「あまり感情的になるなよ。向こうの世界にどんな影響があるか分からんからな」
「なるべく頑張る」
……まあ、どうせどっか変なタイミングで騒ぎを起こすんだろうなと思ったが、最悪伊吹を刺激しなければいいかと俺たちはここで解散した。
ーーさて、俺が今日一人になったのにはちゃんとした理由がある。
「新聞部……」
西校舎三階にある教室のうちの一つ。そこは新聞部の部室であり、今現在は部員一名の変な奴がいるという噂がある。
変な奴というところに引っかかるが、長い付き合いを予定しているわけじゃないし、軽く知りたいことを知れたらそれで十分だ。
「失礼しまーー」
「おわああああああ!!?」
俺が扉を開けるなり、奇声を発して廊下の方へ倒れ込んでくる生徒が一名。そのせいで大量の紙が彼女の両手から散らばってしまった。
変な……奴?
「いってて……!なんでこんな時に限って自動ドアになるんですかったく……」
その女生徒はぶつけた額を押さえながら恨み言を呟く。
「大丈夫か」
とりあえず声はかけておく。ついでに手も差し出しておくか。
「あ、ありがとうございます……。はー、いってて……」
見たところは普通の生徒だな。まあ、髪の色が白いって分かりやすい特徴はあるが、そもそも金髪のヤンキーを見た後だしな。そんな驚くべき特徴でもない。
「あれ、メガネメガネ……」
「……」
さっき倒れた拍子に飛んでいったのか。ここまでする必要もないと思いながら、少し先にあった赤色のメガネを拾い渡す。律儀に「ありがとうございます」なんて言ってくるが、そもそも俺がこのタイミングでドアを開けてしまったのが原因らしいからな。……これ俺が悪いのか?
まあ何でもいいか。メガネを渡したら今度は落としてしまった紙の束を拾い出したので、これまた少し手伝う。
「いえ~すみませんね~。私ったら昔からドジなので~」
「気にするな」
「で、で、今日は何の用ですか!?入部!?入部希望ですか!?入部希望ですよね!待っててください今から入部届を持ってきますので~」
「いやーー」
俺の返事を聞かず、そいつは「あ、ここで待っててくださ~い!」と言ってどこかに行ってしまった。
「誰も入部するなんて言ってないが……」
恐らく、訪ねてくる人みんなに同じことをしてたため、変な奴と呼ばれるようにでもなったのだろう。部員一名。まあ、仲間は欲しいよな。
待ってろと言われたので大人しく部室の中で待つ。狭い部室ではあるが、本棚にはギッチリと本が詰められているし、収納用の棚には新聞紙がこれまた大量に積まれている。あとパソコンが結構豪華。一人なのにモニター三つって何に使うんだ?
まあ、ちゃんと活動はしているということなのだろう。
「おっ待たせしましぶわぁ!!?」
バタン、と入口でつまづき倒れた。これ多分さっきのは偶然じゃないな。
「お前いつもこんな調子なのか」
「い、言ったでしょう……。ドジばっかりだって」
「……はぁ」
あてが外れたかもしれんな。
ここから帰るかとも思ったが、何もせずにただ帰るのも勿体ない。とりあえず、聞くだけ聞いてダメだったら神代と合流しよう。
「えーっとですね、まず入部届の書き方からなんですけどー」
「入部する気はない。今日は聞きたいことがあって来た」
「えーっとですね、まず入部届の書き方からなんですけどー」
……?時間巻き戻ってる?
「入部する気はない」
「えーっとですね、まず入部届の書き方からなんですけどー」
「お前、これ入部するって言うまで続ける気か」
「はてなんのことですかね~。人に何か頼むんだったら、まずは自分がそれなりの態度をーー」
「帰る」
あまりにも面倒な展開が来て、俺は話をぶった切って教室から出ようとした。しかしーー
「待ってください!はな!話だけでも聞いてくだざいよ~!」
腕に抱き着かれ、どう見ても嘘泣きにしか見えない涙を浮かべられる。そんなので堕ちると思ってるのか。舐めてるにも程がある。
「……それこそ、人に何かを頼むんだったらそれなりの態度をってやつだ」
「分かりました!分かりましたから~!」
「……はぁ」
正直、変な奴というものを舐めてたな。そりゃ、ちょっと変な奴だってくらいで俺の耳に届くほどの噂にはならないよな。
来る場所を間違えたと思いながらも、ひとまず話だけは聞いてやろうと席に座り直す。
「あの、うちぃ、見てもらえれば分かると思うんですけど絶賛部員が私一名なわけなんですよ」
「あんな勧誘の仕方をしてたらそうなるだろ。お前何年だ」
「に、2年Bの清水美音です……」
「タメか……」
なら尚更こんなやり方してるんじゃ新入部員は入って来ないな。
「ここ最近は部室に来てくれる人も全然いなくなっちゃって、で、久しぶりに生徒、それもついこの間来たっていう転校生だったからつい興奮しちゃって……」
そこそこ生徒の数が多いというのに、パッと見ただけで俺が転校生だと分かったのか。そこは素直に凄いな。
しかし、そんなモジモジと話されたところで、さっきまでの態度からろくな事にならないと察してしまう。ので、自然と態度も高圧的になる。
「お、お願いします!このままじゃ廃部なんです!」
「俺も2年だぞ。どの道来年誰も入ってこなければ廃部だろ」
「いやまあ、それもそうなんですけど……」
はて、どうしたものか。正直、神代のは乗りかかった船みたいなものだったから協力してるが、こいつまで助けてやる義理は無いしな。ーーしかし、人を一瞬で誰なのかを把握したあの目は使えるかもしれん。
「分かった」
「え!入ってくれるんですか!?」
「取引だ。今から俺が言うことが出来るんだったら考える。出来なきゃ他を当たれ。俺も他を当たる」
考えた末、俺は『取引』という形で調査を依頼することにした。出来れば長い付き合いにはしたくなかったのだが、背に腹はかえられまい。
「伊吹翔真。彼に関する噂とか、神代絡みの事件を調べてほしい」
「えー、あの先行の記録ですか……?正直嫌なんですけど」
「だろうな。あまりいい噂は聞かない」
「いえ、そういうわけじゃなくて……。分かりました。何でもいいんですよね?」
「ああ何でもいい。出来るだけ情報があった方が助かる」
「わっかりましたー!気乗りしませんけど調べてきまーす!」
言葉の節々に嫌そうな態度を感じたが、清水は元気よく教室を飛び出し、その先の曲がり角で転んだもののすぐに起き上がってどこかへ行ってしまった。
「変な奴だな」
結局感想はそれしか出てこなかったが、あの様子なら明日くらいにでももう色々調べてそうだな。また来ようか。
にしても、露骨に嫌そうな態度を取っていたのが気になるな。神代みたいに直接の被害に遭ったというのならまだしも、清水は新聞部で特に接点らしい接点は無いはずだ。昨日倒したセルボスのリストにも、清水の名は載ってないしな。
「まあいいか」
神代と合流しよう。結構人数が多いから、まだ半分くらいだと思うがどうなってるか。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
ーー本校舎、屋上。
「……ここにいたか」
あれから色々と探し回り、どこにもいなかったためアジトに戻って来たのだが、神代が俺より一足早く帰ってきていた。しかも、結構げんなりとしている。あまり、いい成果は得られなかったみたいだな。
「あんな、全員に聞いて回ったんだよ。そしたらよ、全員が全員口揃えて「知らねぇ」って言うんだぜ?」
「まあ、ある程度は予想出来ていたな」
元々、本音が見える向こうの世界でも「関わるな」と強調してきたんだ。それは、自分自身に対してでもあり、俺たちに対してのセリフでもあったのだろう。
そんなに期待はしてなかったが、神代のこの態度を見るとまだ頑張りようがあるとは言えないな。
「どうするよ~暁」
「今聞屋に伊吹について嗅ぎ回ってもらってる」
「え、あの変人相手にか?」
神代までそう言うか。本当にみんなから変な奴と思われてるんだな。
「ああ。明日くらいには色々と上がってくると思うんだが……」
「お前どうやって頼んだんだよ。え、まさか部室に行ったってか?」
「……その通りだが」
「あいつ、ずっと入部しねぇかって言ってくるだろ」
「さては経験者か」
「そう。弓道やめた時にさ、もう噂掴むのが早すぎてその日には入部!入部!って感じよ。まあ、あんときゃ憔悴しきってて、何も言葉が入ってこなかったし、それ察して向こうから帰っていいって言われたけどさ」
「なるほど」
清水は噂を掴むまでが早い、と。性格が性格でなければ相当使えそうな奴だな。いわゆる、バカと天才は表裏一体というやつか。
神代は「あん時流れで入ってなくて良かったな~」と独り言を呟いた。伊吹に恨み辛みを抱え続けるよりかは余っ程マシだったかもしれないと一瞬思ったが、こいつの性格上、それは無理だろうなとすぐに悟る。
「今日は解散しよう。また明日、聞屋の情報次第でどうするか決める」
「りょーかい。はー、あの世界使えば楽に追い詰められると思ったんだけどなー。意外と骨が折れそう……」
「地道にやるしかないな」
「だな」
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