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五話
★回収
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ススス…
鎌の切っ先が左胸にあてられ、スルスルと斜め下に移動していく。刃が触れた部分の布が引き裂かれ左右にずり落ちた。
「じってしてろよぉ?」
奴の言葉に従うつもりはなかったが、俺はとある部分に目を奪われていた。
(髪色が…変わってる…?)
レッドの髪色が原色に近い赤から色褪せた赤色へ変わっていた。クラブで会った時は鮮血のような赤だった。髪の脱色がこんなに早く進むわけがない。通常ではありえない変化に戸惑っているとレッドが顔を寄せてきた。
「ラ~イ」
鼻歌でも歌いだしそうな雰囲気だ。嫌な予感がする。
「実はずっとやりたかった事があってなぁ」
「やりたかった事…?」
「こうやってぇ」
ガブっ
耳に噛みつかれる。鋭い痛みが走った。
「っ…!!」
歯を食いしばって耐える。レッドは反応を楽しむように見下ろした後体を起こした。
「セックスしながらお前を食うんだよ、面白そうだろぉ?」
唇を血に染めながら笑う。
(セックス??食う??気は確かかコイツ??)
「比喩じゃねぇぜ?俺は人間の血が食糧源なんだ。レッドキャップ…つってもわかんねえかぁ」
「お前…幻獣なのか…」
「そうそう!人間の血を食えば食うほど体も強くなるし髪も真っ赤に染まる。ちょっと変わった妖精なんだぜぇ?」
(髪色の変化はそのせいか…)
髪色が急速に色褪せた理由を理解する。だが奴が妖精というのはどうしても頷けなかった。妖精=リリイで、可愛らしい子供のイメージがある。目の前のクズホストとは似ても似つかない。
「その目、懐かしいぜぇ。蔑み、嫌悪する目!はあ、いっつも血を飲む度に人間から嫌われてよぉ。こっちだって嫌われたくてやってんじゃねえのになぁ」
生きるために人間を襲ってるんだ、口元に残った血を舐めながらそう言う。
「だから俺は決めたんだ。そっちが嫌うなら俺だって容赦しねぇ。食糧は食糧以外の何物でもねぇってな!」
奴は少し下がった後首元に顔を寄せてくる。
ガリッ
切り裂かれた服の隙間から鎖骨を噛まれた。
「イっ…っ!?」
じゅるじゅると音を立てながら血をすすられる。自分の血を吸われるという恐ろしい感覚に悲鳴をあげかけ、とっさに唇を噛んで耐えた。
「は~これこれ。空腹に沁みるわぁ…」
奴は口元の血を舐めながら恍惚としている。ドン引きしてると奴の掌がむき出しの皮膚に触れてきた。ゾクリと鳥肌が立つ。
「さっきの話の続きだけどなぁ?女は試したことあるんだ。途中で血が足りなくなってイク前に動かなくなっちまう。不完全燃焼もいいとこだろ??その分男のお前なら体力も気合もある。俺がイクまで耐えそうだろ?くくっ」
くるくると指先で鳩尾辺りをつついてくる。
「セックスってのは血行がフル回転してるからな!踊り食いみたいで絶対最高だ!!」
「っ…イカれ野郎がっ」
「ははっライも血がよく似合ってるぜぇ!うまそうなソースがかかってるみたいでそそられる!」
「このっ…!!」
顔面を殴ろうと拳を振り上げた。
「おっと」
しかし体を引いて避けられてしまう。空を切った拳を掴まれ、もう片方の手と一緒に上でまとめられた。
「あんま動かれると面倒だしなぁ」
ガッ
両腕の袖を縫い止めるように鎌が壁に突き刺さった。両手を動かそうとするが鎌のせいでびくともしない。馬乗りになった状態で両腕も封じられ完全に身動きが取れなくなる。
「あんま暴れると脳天に鎌が落っこちるぜ?」
「おいっ…!やめろ!」
俺のむき出しの肩や鎖骨を撫でてくる。また噛まれるのかと身構えたが、何かを確認するように撫でたあとため息をつくだけだった。
「味見してぇとこだけど、胴体は失血し始めると早いからなぁ…。すぐに死なれたら意味ねぇし、しばらくは我慢してやるぜぇ。感謝しろよぉ」
「誰がするか!クズが!」
「おうおう威勢がいいねぇ!そんなお口にはこれだぜっと」
何を思ったのか奴はズボンの前を開けて自身のを取り出した。すでに反応しかけている。嫌なもん見ちまったと横を向けば
スルリ
奴の指が顎に触れてきた。無理矢理上を向かされる。
「口開けろぉ」
「なっ…んぐ?!」
指で無理やり唇を開けられた後、奴のが口に入ってくる。とっさに噛もうとしたが顎に添えられた指が口の角度を固定していてできない。
「んんん!ングッ!!」
口の中を奴のが行き来する。何の遠慮もなく喉を擦り上げてきて、その度吐きそうになった。
「ぐっ…ぅっ…!!んんんっ、ぐぅっ」
息苦しさと吐き気に襲われ顔をしかめていると、頭上から笑い声が降ってくる。
「はは!口は男も変わんねぇって本当なんだなぁ!気持ちいいぜぇ、ラ~イ」
「~っ!!!」
頭を撫でられ殺意がわいた。
(コイツ、終わったら絶対殴り倒す…!!)
どうにかして奴にダメージを与えてやりたいが意外にも奴は隙を見せない。その上薬と口の中で暴れてるブツのせいで思考はあっという間に霧散していく。酸欠もあって頭の奥がボンヤリしてきた。
「んー…ライ、喉慣れてきたかぁ?もっと奥いってみよう、ぜぇ!」
ガツンと喉の奥を突かれた。反射的な吐き気に体が跳ねる。
「ングゥッ?!んん~~~ッ!」
「はあ~喉の奥しまるぅ…」
「んぐっ!う~ッ!!」
顎を開けさせている奴の指に無駄に力が入っていた。口の中のも一回り大きくなってる。相当いいらしい。腐り落ちて死ねばいい。
「癖になりそぉ…だなぁ。やっぱ殺すの止めて飼い殺すかぁ?ははっ」
「んぐう、っ…!ふっ!ンウウっ!?」
奴のが喉の更に奥、食道の方までめり込んでくる。物理的な苦しさに軽くパニックになった。
(死ぬって!)
奴のを追い出すために舌を押しあてた。外に押し出すつもりが滑って巻き付くような形になってしまう。
ぬるっ
「うぉ!?今の最高だぜぇ、ライ…!」
「ふっ、ングッ!っ、んンン!!」
「よだれでよく滑るし、舌の刺激もやばいし…はあ~これならイケそうだわぁ…」
「ンン!?ふっ、ん!んぐうう!」
ぴくぴくと先端が震えだした。このまま出す気かと青ざめる。
「あぁ~出そ…」
「!!」
体が強ばる。その時だった。
パチチッ
頭上から火花が弾けるような音がした。
「「!?」」
俺もレッドも同時に反応する。音は俺たちの真上からした。しかし壁には鎌が刺さってる事以外何もない。
「なんだぁ今のは?」
静電気かとも思ったが壁と鎌しかないのにどうして静電気が起きるのか。お互い意味がわからず静止していた。
(いや、まさか…)
俺の予想を裏付けるようにもう一度静電気…いや火花が弾ける音がした。今度はより大きな音だった。
バチチッ!ボオッ!
火花は弾けた後、壁伝いに燃え上がる。
「なんだこりゃぁ!」
大きく広がった炎はあっという間に俺たちを飲み込んだ。
「うわあああ!アチチ!!死ぬぅ!!」
レッドが後退る。俺は炎に包まれたことで服が焼かれ両腕が自由になった。すぐに起き上がって確認する。炎をかぶったはずの頭や腕はどこも火傷してなかった。
(この炎…服だけ燃やしてる…フィンの炎か!)
なら話は早い。腕を振り上げて拘束の役割をしていた袖部分を引き裂く。そのまま自由になった右手で頭上の鎌を握った。すでに炎は消えていたが鎌の柄は熱せられた鉄板のように熱くなっていた。
「ッ…!!」
握った瞬間火傷した感覚があったがなんとか耐えて引き抜く。そのままレッドに投げつけてやった。
「ひい!!!」
奴は尻餅をつきながら避けたが、避けた角度が悪かったのか前髪が根本から切り離された。パラパラと赤い残骸が散らばっていく。
「ああぁ!俺の前髪がぁ!!!」
自慢の赤髪が無惨な姿になりショックを受けるレッド。床に這いつくばって絶望していた。
「は…!ざまあみろ…!」
言い終えると同時に口の中のものを吐き出した。苦いししょっぱいしで最悪だ。もう一度吐こうとしたところでレッドがこちらを向いた。
「てめぇ!!ライぃぃ!よくも俺の髪をぉぉ!ぶっ殺す!!」
額に血管を浮かせて怒り狂っている。
(くるか…!?)
奴はもう武器を持ってない。他に隠し持ってる様子もない…なら相手できるか??そんな風に考えを巡らしていたその時だった。
メキメキッ
ものすごい音がした。何かが軋み割れるような音だ。
「ガッ…ああぁ、いってえ!!!」
「!」
レッドの肩を誰かが握っていた。その誰かは酷く息を切らしていて確かな焦りが見てとれた。
「遅くなってすまない、ライ」
レッドの肩を掴んでいた男が前に出てくる。逆光になっていて顔はよく見えない。だがその白金の髪には見覚えがある。
「フィン?!なんでここに…いや、今までどこ行って…!」
「ああ、ライ…こんなに血だらけになって…」
「?!」
俺の言葉が聞こえてないのか遮るように囁かれた。それから指先で口元を拭われた。レッドの残滓が残っていたらしい。
「よくも…私の大切なライを……」
低くかすれた声だった。その恐ろしさに何も言えなくなる。フィンは俺の頬を優しく親指で撫でながら少しだけ顔の向きを変えてレッドを睨みつけた。
「お前、レッドキャップだな。嫌われ者の妖精がホストとはどんな冗談だ?」
「アアァ?!てめえ誰だぁ!」
「聞いてるのは私だ」
「ぐっ!!」
フィンは何の容赦もなく顎を蹴りつけた。レッドが血を吐きながらフィンを睨みつける。
「てんめええ…っ」
「ライをこんな目にあわせたのはお前だな?」
低く静かに尋ねる。その声には怒りを越えた何かがあった。
ゾクリ
向けられてないはずの俺ですら寒気がする程の鋭い殺気。氷水が背中を伝うかのような恐怖が体にしみこんでくる。
(やばい…!)
男達に銃口を向けられた時よりも、メイに至近距離で固められた時よりもずっと恐ろしい。強い殺気を感じる。それからフィンは仰向けに倒れていたレッドに馬乗りになり顎を掴んだ。めり込むほど力を込めたのを見て俺は慌てて飛び出した。
「フィン!ダメだ!!」
やばいと思ったのと同時にフィンの手から炎が溢れてくる。俺は炎にも構わずフィンの体に抱きついた。羽交い締めするように腕を回す。おかげで肘から下が焼かれて激痛が走った。
「フィン!落ち着けっ!!確かにコイツは!殺してやりたいぐらいムカつく奴だ!でもなっ!殺しちまったらあんたも同じクズ野郎になるんだぞ!!」
「邪魔しないでくれ。ライに害する者は全て灰にする」
「俺はそんなこと頼んでねえよ!あんたは自分の欲望を邪魔する奴らを消したいだけ、子供の癇癪と同じだ…!俺を理由にするな!迷惑だ!!」
「………!!」
フィンが息をのむ。それからゆっくりと振り返ってきた。
「ライ…」
目の前には戸惑いの表情を浮かべたフィンがいた。今までの淡々とした様子は消えている。
(正気に戻ったのか…?)
炎が引いていくほんの一瞬、静けさに包まれる。
「愚かだな、フェニックス」
バン!
銃声が静けさを破った。弾かれたように小屋の入り口を見れば、初老の着物を気崩した男が立っていた。レッドに銃口を向けたまま、冷たい表情でこちらを見ている。
「レッドキャップ発見、回収します」
男は誰かと連絡しながら動かなくなったレッドを抱えた。一度俺たちの方を見た後
「部外者は立ち去れ」
そう言って立ち去った。もうわけがわからない。銃を持っていたということは倉庫で乱入してきたスーツ集団と仲間なのだろうか。
(今フェニックスって言ったよな…フィンと知り合いか…?)
わからない事だらけだがとにかく危機が去ったことに体が少しずつ弛緩したいく。
「はああ……」
「ライ、腕を見せてくれ」
「え」
「早く。私が焼いてしまった腕を見せるんだ」
有無を言わさぬ様子で迫られ、仕方なく腕を差し出す。軽い火傷程度だったが、フィンは痛々しそうに腕を見つめていた。その視線がもどかしくて振り払う。
「大丈夫だって。こんなん病院行けばすぐに治る。それよりユウキや学生たちだ。ユウキは倉庫に置いてきちまったし、学生たちもやっと見つけたと思えばまた消息不明で…」
「それなら問題ない。両方とも避難させてある」
「へ?!」
まさかの言葉に情けない声が出た。
「ホストクラブでライ達が連れ去られた後、私もこの倉庫に辿り着いてな。狐の子と学生四人は匂いで見つけたが…ライは見つけられなかった。どこにいたんだ?本当なら一番最初に見つけたかったのに…」
フィンにここまでの出来事を手早く説明する。聞きながらフィンは静かに頷いていた。
「そういう事か…常にレッドキャップや赤い女…血の匂いの強い存在といたからわからなかったのか。くそっ…今後は分かれる時に私の羽根を必ず持たせよう。そうすればすぐに…ってライ?!どこにいくんだ?!」
俺が無言のまま小屋の外へ出るとフィンが血相を変えて追いかけてくる。
「ライ!その体でどこへいくつもりだ!」
「あんたと話してて…思い出した…!メイが死にかけてるんだ!助けねえと!」
倉庫の方を見れば、タンカーで怪我人が運ばれていくのが見えた。タンカーの一つにはメイの姿もある。一瞬救急隊員かと期待したが皆スーツを身に着けていた。タイミング的にもスーツ集団の仲間だろう。
(メイが連れてかれる…!)
「ダメだ、ライ」
踏み出そうとしたところで肩を掴まれ引き止められる。
「なんで止めるんだよ!?」
「倉庫から狐の子を運び出す時に、メデューサの傷も確認した。あの傷では…私達が救いだしてもメデューサが死ぬ未来は変えられない」
「…っ!!」
「看取りたいなら別だが。生かしたいのならあのまま行かせた方がいい。龍矢の元には治癒を得意とする幻獣がいる。そっちに任せた方がまだ…生き残る可能性がある」
「り、龍矢?龍矢って…」
フィンを何度も殺そうとした男の名前だ。何故その男の名前が出てくる。
「倉庫にスーツの男たちがいただろう。あれは龍矢の部下だ。奴らは幻獣…いや、メデューサを回収するのが目的だった」
「メイを…?」
「ああ、ホストクラブの裏に行った際に奴らの痕跡を発見した。どうやら龍矢はメデューサがほしかったらしい。石化能力は珍しいからな。レッドキャップを餌にして釣り上げる計画だったんだろう」
「じゃあ警察に圧力かけたのも…」
「龍矢だ」
全て奴の掌の上ということだ、そう付け足して大きなため息をついた。重苦しい空気が流れる。俺は元々回ってなかった頭が更に新情報を追加され完全にフリーズしていた。
プップー!
突然クラクションが鳴らされ飛び上がる。見ればワゴン車が近付いてくるのが見えた。
「ハ~イ!そこのイケメンズ!乗ってかナーイ??」
「なっ…!グレイ??」
運転席からグレイが陽気に手を振ってきた。助手席には不良学生の山田もいた。二人とも店にいるんじゃなかったのかと目を丸くする。
「ここに向かう道中で私が頼んでおいた。ライ達が負傷してる可能性が高いと思ってな」
「そ、そうだったのか…」
「そそ~!山田クンがちょうど起きてきて助けに行け!ここから出せ!ってうるさかったからサ~!もう一緒に行っちゃえばいいジャンって飛び出してきたとこヨ~!」
「一石二鳥…」
状況的には全然明るくないはずなのにグレイがいると重苦しい空気が和らぐ気がした。全身痛いのに笑みが浮かぶ。
「さあ、変なのに絡まれる前に回収しちゃいまショ!」
フィンの合図で草むらに寝かされていた学生四人とユウキを回収した。皆意識はなかったが大きな怪我はなくホッと胸を撫で下ろす。五人を運び入れると車内はぎゅうぎゅう詰めになったが走れないことはない。俺とフィンも最後列に乗り込んでドアを閉めた。
バタン!
「んじゃ、帰るワヨ~!」
車が発進する。乗車してる人間の半数が気を失ってるというかなり物騒な車だったが車内は静かなものだった。窓の風景が殺伐した世界から日常の世界に変わるのを見届けて肩の力が抜けていく。
(やっと帰れる…)
安心したところで俺はウトウトと眠気に襲われた。
「ライ」
隣に座っていたフィンに引き寄せられる。フィンの肩に頭をのせた形になるが、拒否する元気もないし高さ的にもしっくりきたので甘えさせてもらった。
(暖かいな…)
触れてるところからぬくもりを感じる。ずっと求めていたフィンのぬくもり。胸が熱くなった。
(ああ、帰ったら…フィンと話さねえと…)
しかしそれ以上は眠気に耐えきれず、寄りかかりながら寝落ちるのだった。
鎌の切っ先が左胸にあてられ、スルスルと斜め下に移動していく。刃が触れた部分の布が引き裂かれ左右にずり落ちた。
「じってしてろよぉ?」
奴の言葉に従うつもりはなかったが、俺はとある部分に目を奪われていた。
(髪色が…変わってる…?)
レッドの髪色が原色に近い赤から色褪せた赤色へ変わっていた。クラブで会った時は鮮血のような赤だった。髪の脱色がこんなに早く進むわけがない。通常ではありえない変化に戸惑っているとレッドが顔を寄せてきた。
「ラ~イ」
鼻歌でも歌いだしそうな雰囲気だ。嫌な予感がする。
「実はずっとやりたかった事があってなぁ」
「やりたかった事…?」
「こうやってぇ」
ガブっ
耳に噛みつかれる。鋭い痛みが走った。
「っ…!!」
歯を食いしばって耐える。レッドは反応を楽しむように見下ろした後体を起こした。
「セックスしながらお前を食うんだよ、面白そうだろぉ?」
唇を血に染めながら笑う。
(セックス??食う??気は確かかコイツ??)
「比喩じゃねぇぜ?俺は人間の血が食糧源なんだ。レッドキャップ…つってもわかんねえかぁ」
「お前…幻獣なのか…」
「そうそう!人間の血を食えば食うほど体も強くなるし髪も真っ赤に染まる。ちょっと変わった妖精なんだぜぇ?」
(髪色の変化はそのせいか…)
髪色が急速に色褪せた理由を理解する。だが奴が妖精というのはどうしても頷けなかった。妖精=リリイで、可愛らしい子供のイメージがある。目の前のクズホストとは似ても似つかない。
「その目、懐かしいぜぇ。蔑み、嫌悪する目!はあ、いっつも血を飲む度に人間から嫌われてよぉ。こっちだって嫌われたくてやってんじゃねえのになぁ」
生きるために人間を襲ってるんだ、口元に残った血を舐めながらそう言う。
「だから俺は決めたんだ。そっちが嫌うなら俺だって容赦しねぇ。食糧は食糧以外の何物でもねぇってな!」
奴は少し下がった後首元に顔を寄せてくる。
ガリッ
切り裂かれた服の隙間から鎖骨を噛まれた。
「イっ…っ!?」
じゅるじゅると音を立てながら血をすすられる。自分の血を吸われるという恐ろしい感覚に悲鳴をあげかけ、とっさに唇を噛んで耐えた。
「は~これこれ。空腹に沁みるわぁ…」
奴は口元の血を舐めながら恍惚としている。ドン引きしてると奴の掌がむき出しの皮膚に触れてきた。ゾクリと鳥肌が立つ。
「さっきの話の続きだけどなぁ?女は試したことあるんだ。途中で血が足りなくなってイク前に動かなくなっちまう。不完全燃焼もいいとこだろ??その分男のお前なら体力も気合もある。俺がイクまで耐えそうだろ?くくっ」
くるくると指先で鳩尾辺りをつついてくる。
「セックスってのは血行がフル回転してるからな!踊り食いみたいで絶対最高だ!!」
「っ…イカれ野郎がっ」
「ははっライも血がよく似合ってるぜぇ!うまそうなソースがかかってるみたいでそそられる!」
「このっ…!!」
顔面を殴ろうと拳を振り上げた。
「おっと」
しかし体を引いて避けられてしまう。空を切った拳を掴まれ、もう片方の手と一緒に上でまとめられた。
「あんま動かれると面倒だしなぁ」
ガッ
両腕の袖を縫い止めるように鎌が壁に突き刺さった。両手を動かそうとするが鎌のせいでびくともしない。馬乗りになった状態で両腕も封じられ完全に身動きが取れなくなる。
「あんま暴れると脳天に鎌が落っこちるぜ?」
「おいっ…!やめろ!」
俺のむき出しの肩や鎖骨を撫でてくる。また噛まれるのかと身構えたが、何かを確認するように撫でたあとため息をつくだけだった。
「味見してぇとこだけど、胴体は失血し始めると早いからなぁ…。すぐに死なれたら意味ねぇし、しばらくは我慢してやるぜぇ。感謝しろよぉ」
「誰がするか!クズが!」
「おうおう威勢がいいねぇ!そんなお口にはこれだぜっと」
何を思ったのか奴はズボンの前を開けて自身のを取り出した。すでに反応しかけている。嫌なもん見ちまったと横を向けば
スルリ
奴の指が顎に触れてきた。無理矢理上を向かされる。
「口開けろぉ」
「なっ…んぐ?!」
指で無理やり唇を開けられた後、奴のが口に入ってくる。とっさに噛もうとしたが顎に添えられた指が口の角度を固定していてできない。
「んんん!ングッ!!」
口の中を奴のが行き来する。何の遠慮もなく喉を擦り上げてきて、その度吐きそうになった。
「ぐっ…ぅっ…!!んんんっ、ぐぅっ」
息苦しさと吐き気に襲われ顔をしかめていると、頭上から笑い声が降ってくる。
「はは!口は男も変わんねぇって本当なんだなぁ!気持ちいいぜぇ、ラ~イ」
「~っ!!!」
頭を撫でられ殺意がわいた。
(コイツ、終わったら絶対殴り倒す…!!)
どうにかして奴にダメージを与えてやりたいが意外にも奴は隙を見せない。その上薬と口の中で暴れてるブツのせいで思考はあっという間に霧散していく。酸欠もあって頭の奥がボンヤリしてきた。
「んー…ライ、喉慣れてきたかぁ?もっと奥いってみよう、ぜぇ!」
ガツンと喉の奥を突かれた。反射的な吐き気に体が跳ねる。
「ングゥッ?!んん~~~ッ!」
「はあ~喉の奥しまるぅ…」
「んぐっ!う~ッ!!」
顎を開けさせている奴の指に無駄に力が入っていた。口の中のも一回り大きくなってる。相当いいらしい。腐り落ちて死ねばいい。
「癖になりそぉ…だなぁ。やっぱ殺すの止めて飼い殺すかぁ?ははっ」
「んぐう、っ…!ふっ!ンウウっ!?」
奴のが喉の更に奥、食道の方までめり込んでくる。物理的な苦しさに軽くパニックになった。
(死ぬって!)
奴のを追い出すために舌を押しあてた。外に押し出すつもりが滑って巻き付くような形になってしまう。
ぬるっ
「うぉ!?今の最高だぜぇ、ライ…!」
「ふっ、ングッ!っ、んンン!!」
「よだれでよく滑るし、舌の刺激もやばいし…はあ~これならイケそうだわぁ…」
「ンン!?ふっ、ん!んぐうう!」
ぴくぴくと先端が震えだした。このまま出す気かと青ざめる。
「あぁ~出そ…」
「!!」
体が強ばる。その時だった。
パチチッ
頭上から火花が弾けるような音がした。
「「!?」」
俺もレッドも同時に反応する。音は俺たちの真上からした。しかし壁には鎌が刺さってる事以外何もない。
「なんだぁ今のは?」
静電気かとも思ったが壁と鎌しかないのにどうして静電気が起きるのか。お互い意味がわからず静止していた。
(いや、まさか…)
俺の予想を裏付けるようにもう一度静電気…いや火花が弾ける音がした。今度はより大きな音だった。
バチチッ!ボオッ!
火花は弾けた後、壁伝いに燃え上がる。
「なんだこりゃぁ!」
大きく広がった炎はあっという間に俺たちを飲み込んだ。
「うわあああ!アチチ!!死ぬぅ!!」
レッドが後退る。俺は炎に包まれたことで服が焼かれ両腕が自由になった。すぐに起き上がって確認する。炎をかぶったはずの頭や腕はどこも火傷してなかった。
(この炎…服だけ燃やしてる…フィンの炎か!)
なら話は早い。腕を振り上げて拘束の役割をしていた袖部分を引き裂く。そのまま自由になった右手で頭上の鎌を握った。すでに炎は消えていたが鎌の柄は熱せられた鉄板のように熱くなっていた。
「ッ…!!」
握った瞬間火傷した感覚があったがなんとか耐えて引き抜く。そのままレッドに投げつけてやった。
「ひい!!!」
奴は尻餅をつきながら避けたが、避けた角度が悪かったのか前髪が根本から切り離された。パラパラと赤い残骸が散らばっていく。
「ああぁ!俺の前髪がぁ!!!」
自慢の赤髪が無惨な姿になりショックを受けるレッド。床に這いつくばって絶望していた。
「は…!ざまあみろ…!」
言い終えると同時に口の中のものを吐き出した。苦いししょっぱいしで最悪だ。もう一度吐こうとしたところでレッドがこちらを向いた。
「てめぇ!!ライぃぃ!よくも俺の髪をぉぉ!ぶっ殺す!!」
額に血管を浮かせて怒り狂っている。
(くるか…!?)
奴はもう武器を持ってない。他に隠し持ってる様子もない…なら相手できるか??そんな風に考えを巡らしていたその時だった。
メキメキッ
ものすごい音がした。何かが軋み割れるような音だ。
「ガッ…ああぁ、いってえ!!!」
「!」
レッドの肩を誰かが握っていた。その誰かは酷く息を切らしていて確かな焦りが見てとれた。
「遅くなってすまない、ライ」
レッドの肩を掴んでいた男が前に出てくる。逆光になっていて顔はよく見えない。だがその白金の髪には見覚えがある。
「フィン?!なんでここに…いや、今までどこ行って…!」
「ああ、ライ…こんなに血だらけになって…」
「?!」
俺の言葉が聞こえてないのか遮るように囁かれた。それから指先で口元を拭われた。レッドの残滓が残っていたらしい。
「よくも…私の大切なライを……」
低くかすれた声だった。その恐ろしさに何も言えなくなる。フィンは俺の頬を優しく親指で撫でながら少しだけ顔の向きを変えてレッドを睨みつけた。
「お前、レッドキャップだな。嫌われ者の妖精がホストとはどんな冗談だ?」
「アアァ?!てめえ誰だぁ!」
「聞いてるのは私だ」
「ぐっ!!」
フィンは何の容赦もなく顎を蹴りつけた。レッドが血を吐きながらフィンを睨みつける。
「てんめええ…っ」
「ライをこんな目にあわせたのはお前だな?」
低く静かに尋ねる。その声には怒りを越えた何かがあった。
ゾクリ
向けられてないはずの俺ですら寒気がする程の鋭い殺気。氷水が背中を伝うかのような恐怖が体にしみこんでくる。
(やばい…!)
男達に銃口を向けられた時よりも、メイに至近距離で固められた時よりもずっと恐ろしい。強い殺気を感じる。それからフィンは仰向けに倒れていたレッドに馬乗りになり顎を掴んだ。めり込むほど力を込めたのを見て俺は慌てて飛び出した。
「フィン!ダメだ!!」
やばいと思ったのと同時にフィンの手から炎が溢れてくる。俺は炎にも構わずフィンの体に抱きついた。羽交い締めするように腕を回す。おかげで肘から下が焼かれて激痛が走った。
「フィン!落ち着けっ!!確かにコイツは!殺してやりたいぐらいムカつく奴だ!でもなっ!殺しちまったらあんたも同じクズ野郎になるんだぞ!!」
「邪魔しないでくれ。ライに害する者は全て灰にする」
「俺はそんなこと頼んでねえよ!あんたは自分の欲望を邪魔する奴らを消したいだけ、子供の癇癪と同じだ…!俺を理由にするな!迷惑だ!!」
「………!!」
フィンが息をのむ。それからゆっくりと振り返ってきた。
「ライ…」
目の前には戸惑いの表情を浮かべたフィンがいた。今までの淡々とした様子は消えている。
(正気に戻ったのか…?)
炎が引いていくほんの一瞬、静けさに包まれる。
「愚かだな、フェニックス」
バン!
銃声が静けさを破った。弾かれたように小屋の入り口を見れば、初老の着物を気崩した男が立っていた。レッドに銃口を向けたまま、冷たい表情でこちらを見ている。
「レッドキャップ発見、回収します」
男は誰かと連絡しながら動かなくなったレッドを抱えた。一度俺たちの方を見た後
「部外者は立ち去れ」
そう言って立ち去った。もうわけがわからない。銃を持っていたということは倉庫で乱入してきたスーツ集団と仲間なのだろうか。
(今フェニックスって言ったよな…フィンと知り合いか…?)
わからない事だらけだがとにかく危機が去ったことに体が少しずつ弛緩したいく。
「はああ……」
「ライ、腕を見せてくれ」
「え」
「早く。私が焼いてしまった腕を見せるんだ」
有無を言わさぬ様子で迫られ、仕方なく腕を差し出す。軽い火傷程度だったが、フィンは痛々しそうに腕を見つめていた。その視線がもどかしくて振り払う。
「大丈夫だって。こんなん病院行けばすぐに治る。それよりユウキや学生たちだ。ユウキは倉庫に置いてきちまったし、学生たちもやっと見つけたと思えばまた消息不明で…」
「それなら問題ない。両方とも避難させてある」
「へ?!」
まさかの言葉に情けない声が出た。
「ホストクラブでライ達が連れ去られた後、私もこの倉庫に辿り着いてな。狐の子と学生四人は匂いで見つけたが…ライは見つけられなかった。どこにいたんだ?本当なら一番最初に見つけたかったのに…」
フィンにここまでの出来事を手早く説明する。聞きながらフィンは静かに頷いていた。
「そういう事か…常にレッドキャップや赤い女…血の匂いの強い存在といたからわからなかったのか。くそっ…今後は分かれる時に私の羽根を必ず持たせよう。そうすればすぐに…ってライ?!どこにいくんだ?!」
俺が無言のまま小屋の外へ出るとフィンが血相を変えて追いかけてくる。
「ライ!その体でどこへいくつもりだ!」
「あんたと話してて…思い出した…!メイが死にかけてるんだ!助けねえと!」
倉庫の方を見れば、タンカーで怪我人が運ばれていくのが見えた。タンカーの一つにはメイの姿もある。一瞬救急隊員かと期待したが皆スーツを身に着けていた。タイミング的にもスーツ集団の仲間だろう。
(メイが連れてかれる…!)
「ダメだ、ライ」
踏み出そうとしたところで肩を掴まれ引き止められる。
「なんで止めるんだよ!?」
「倉庫から狐の子を運び出す時に、メデューサの傷も確認した。あの傷では…私達が救いだしてもメデューサが死ぬ未来は変えられない」
「…っ!!」
「看取りたいなら別だが。生かしたいのならあのまま行かせた方がいい。龍矢の元には治癒を得意とする幻獣がいる。そっちに任せた方がまだ…生き残る可能性がある」
「り、龍矢?龍矢って…」
フィンを何度も殺そうとした男の名前だ。何故その男の名前が出てくる。
「倉庫にスーツの男たちがいただろう。あれは龍矢の部下だ。奴らは幻獣…いや、メデューサを回収するのが目的だった」
「メイを…?」
「ああ、ホストクラブの裏に行った際に奴らの痕跡を発見した。どうやら龍矢はメデューサがほしかったらしい。石化能力は珍しいからな。レッドキャップを餌にして釣り上げる計画だったんだろう」
「じゃあ警察に圧力かけたのも…」
「龍矢だ」
全て奴の掌の上ということだ、そう付け足して大きなため息をついた。重苦しい空気が流れる。俺は元々回ってなかった頭が更に新情報を追加され完全にフリーズしていた。
プップー!
突然クラクションが鳴らされ飛び上がる。見ればワゴン車が近付いてくるのが見えた。
「ハ~イ!そこのイケメンズ!乗ってかナーイ??」
「なっ…!グレイ??」
運転席からグレイが陽気に手を振ってきた。助手席には不良学生の山田もいた。二人とも店にいるんじゃなかったのかと目を丸くする。
「ここに向かう道中で私が頼んでおいた。ライ達が負傷してる可能性が高いと思ってな」
「そ、そうだったのか…」
「そそ~!山田クンがちょうど起きてきて助けに行け!ここから出せ!ってうるさかったからサ~!もう一緒に行っちゃえばいいジャンって飛び出してきたとこヨ~!」
「一石二鳥…」
状況的には全然明るくないはずなのにグレイがいると重苦しい空気が和らぐ気がした。全身痛いのに笑みが浮かぶ。
「さあ、変なのに絡まれる前に回収しちゃいまショ!」
フィンの合図で草むらに寝かされていた学生四人とユウキを回収した。皆意識はなかったが大きな怪我はなくホッと胸を撫で下ろす。五人を運び入れると車内はぎゅうぎゅう詰めになったが走れないことはない。俺とフィンも最後列に乗り込んでドアを閉めた。
バタン!
「んじゃ、帰るワヨ~!」
車が発進する。乗車してる人間の半数が気を失ってるというかなり物騒な車だったが車内は静かなものだった。窓の風景が殺伐した世界から日常の世界に変わるのを見届けて肩の力が抜けていく。
(やっと帰れる…)
安心したところで俺はウトウトと眠気に襲われた。
「ライ」
隣に座っていたフィンに引き寄せられる。フィンの肩に頭をのせた形になるが、拒否する元気もないし高さ的にもしっくりきたので甘えさせてもらった。
(暖かいな…)
触れてるところからぬくもりを感じる。ずっと求めていたフィンのぬくもり。胸が熱くなった。
(ああ、帰ったら…フィンと話さねえと…)
しかしそれ以上は眠気に耐えきれず、寄りかかりながら寝落ちるのだった。
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