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第二章「カラドリオス祭」
★蛇の住む路地
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「あんな事されたのに、心配してくれるんだ」
「...お前は、シータは悪くない。悪いのはすべて悪魔だ」
俺がそう言い切って思いっきり体をねじる。その勢いでシータの手の目隠しが消えた。だけどその代わり俺たちは向かい合うような形になってしまった。目の前には、口の端を曲げて笑う男がいた。
「ほんとに健気だね、もっと気に入っちゃった」
「は?ちょ...!何する!」
冷たい手が俺の上着を脱がしていく。焦ってその手を払い落とそうとするが、全く気にする様子がない。
「や、やめろって!!こんなとこで!」
「ほら、暴れないで鳥さんが潰れちゃうよ」
「??!」
シータがニッコリと笑って俺の目の前にリリを差し出した。リリの首のあたりに人差し指がめり込んでる。気絶してるのかリリはピクリとも動かない。
(いつの間にリリを!!!)
「リリっ・・・やめろっ!!!!」
手を伸ばすが、届かない。
「だから、言うこと聞いてね?」
「シータっ!!」
「イイ子にしていたらこの子には何もしないから、さ?」
「っ・・・!!」
しゅるっ
俺の上着が地面に落ちる。いくら暗いとはいえ、こんな普通の道で半裸になってるなんて・・・考えるだけで脳が沸騰して死にそうだ。俺がうつむいて必死に羞恥に耐えてるとシータの手が俺の頭を撫でた。
「ここは蛇の住む路地って言われていてほとんど人来ないから、安心して?」
「っお前はいたじゃないか!!」
「そりゃルト君のことをつけてたからね」
「つけっ・・はあ!?!」
チカチカと電気の消えかかった蛍光灯が路地を照らす。路地に比べればだいぶ明るいが、今の状況だと暗いほうが何倍も良いのにと思った。
「楽しそうだったね、バンとのデート」
「な...!いつから...ていうかどうしてそんな事!」
「君が教会を出ると僕の悪魔が教えてくれるんだ・・・でも嫉妬しちゃうな。あんな風に、僕にも笑ってよ」
??俺が笑ってた?いつの話だ?俺が悩んでるとシータは不思議そうな顔をして頷いた。
「へえ、無意識だったの、すごいなー。才能あるよ...男を惚れさす才能」
「うっうるさい!..っあ!」
言い返す途中で、急に冷たい手がへそのあたりを撫でてきた。思いがけず大きな声が出てしまい、とっさに自分の手で口を塞いだ。シータは楽しそうに目を細めて、俺の様子をじっと見ている。
「ふふ、かわいい」
「男に可愛いなんて、う...あっ離せ!ば、か...っ!」
胸に口づけされ背中が震える。口を離す瞬間ぺろっと舐められてまた震えた。
「あっ、やだ・・・っ」
チラッとリリの方を見る...目を閉じたまま動かない。その様子に焦るが、こんな姿を見られなくてすんだのは助かった。
「ねえ、どんな味だった?」
俺の全身に優しく愛撫をしながら、シータが聞いてきた。
「...ん、あ、味?」
「僕の、いっぱい飲んでたじゃない」
「っバカやろ!!!んなのっ忘れた!」
やっと俺は聞かれた内容に思い当たり、顔を真っ赤にする。あんな、トラウマ級の、二度と思い出したくなかった事を話題にされるなんてありえない。どんな神経してるんだと思った。
(いや、それが狙いか...)
俺が困るのを知って聞いたんだろう。それぐらいはもうわかってきた。
「僕は何度も思い出したよ、君の、苦しそうに咥える姿」
「...!変態野郎!」
俺の暴言すら心地よく聞き入れシータは笑った。
「だから、今度は僕に味見させて?」
「は?ちょっ、やだ!はなせっんっ!」
舌がゆっくりとへそから下に移動してくる。リリの事があるため、俺は突き飛ばしたい衝動をグッと抑え必死に堪えた。
「ふふ、こっちは素直だ」
シータはぺろっと舌をしまい、俺の下半身に目を止めた。
(ま、まさかこいつ!!)
逃げようとするが背中を押さえられていて動けない。そのままシータは迷う素振りを一切見せず、俺のを取り出しくわえ込んだ。
「――っっは!あ、ちょ、ほんとに!何やって...!んんっ」
温かくてヌルッとした口の中は、悔しいけど気持ちよかった。シータは目を瞑ったまま俺のを舐めたり手で擦ったりしてくる。膝立ちで俺のをくわえるシータを見下ろせば、その光景にクラクラと眩暈がした。
「ふふ。かわいい・・・ヤらしい液体、出てきたね、ほら?」
俺のから口を離し、先の方を舌でゆっくり舐めまわす。たまらずトロリと先走りが溢れた。
「ん...!」
「されたこと、んん...ないの?」
「無いに、決ま...って、る、だろ!」
「ふふ、初めてなんだー?」
先走りと唾液で汚れたシータの顔がこっちを見てくる。欲情に染まるシータの顔から視線をそらし、なるべく視界に入れないようにした。
「じゃあーめいっぱい気持ちよくしてあげないとね」
「や...もう、いいっあああっ!」
口に再びくわえられ、焦って腰を引く。
(これ以上やられたらやばい・・・!)
しかし、引いた分だけシータが飲み込んでいく。最奥まで届いたその時、突然吸い上げられた。
「ああっ、う、ハアっ」
ビクッと体が震え、大きな声が出てしまう。
「やめっほんとに、も...う!」
口から出てる部分を冷たい手で擦られ、口の中では思いっきり吸われ...もう訳が分からくなってきた。このまま出してしまいたい気もする。
(ダメだ!こんな場所で...早く逃げないと!!でもリリがっ・・!)
シータの頭を押し戻そうとしたが、力では元々敵わない。しかも達しかけていて体に上手く力が入らない。もっと奥にくわえられ余計力が抜けてしまうのがオチだった。周りを見てみるが人影などなく、ただ淋しげに蛍光灯が立っているだけだった。路地の真ん中で俺たちは何をしてるんだ...!
(嫌だ、こんなところで...!)
誰か!!だれか、誰でもいい・・・助けてくれ!!!
「―――・・・ザクっ!!」
とっさに俺はアイツの名前を呼んでいた。
「~♪」
ふと、上空から下手な鼻歌が聞こえてくる。
「「?!」」
俺とシータが同時に上を向いた。建物の屋根に、見知った人影が現れる。風に揺れる長い赤髪、顔を怪しく隠す眼帯。あの姿は...
「ザク!!!」
そのふてぶてしい姿に安心して涙がにじむ。ザクは俺たちを見下ろし、口笛を吹いた。
「よう、ルト、随分楽しそうじゃねーの」
「っ!!」
自分の状況を思い出す。半裸な上に、自分の熱くなった下半身...。
「うわあああ!!!見るなバカ!」
急いで上着を取り、着た。もう遅い気もするがそこは考えないでおく。
シュタッ
ザクが屋根から俺たちのところまで一気に飛び降りてきた。
(猫並みの跳躍だな。って、あ、猫か・・・いや悪魔だけども)
と混乱してる俺の横でシータが身構える。
「・・・君、あの時の猫の悪魔だね。この前はよくも邪魔してくれたね」
シータの瞳からは光が消えていた。そのまま操られているかのように淡々と話す。
「さっさと教会から出ていけ」
「っけ!悪いが今は、そこの人間に興味があってな、退く気はねーな」
「...君に奴の代わりはできない。すぐにまた片翼になることになる、精々それまで楽しむんだな!」
そう言ってシータは路地の奥に消えていった。一瞬、目の前を靄のようなものがかすった気がする・・・あれがシータについてる悪魔だろうか?
(どちらにしろ、これからはなるべく一人ではシータに近づかないようにしないと...)
そう心に決め、ザクの方に向き直る。
「...、片翼ってなんの話だったんだ?」
「さあなあ~?」
「さあなって・・・」
「んなことより、それ、どうするつもりだ?」
ザクが俺の下半身を指差す。色々あって若干萎えてはいるが、まだ熱いままだ。どこかで出しにいかないとこのままでは通りを歩けない。
「...ぬ、抜いてくる」
「手伝ってやるよ」
「え」
後ろからザクが、俺の体を抱きかかえた。そのまま腕を伸ばしてくる。
ぎゅっ
大きな手で握りこまれ、ギクリと体を揺らす。そんな俺の反応を楽しみながらザクはゆっくりと手を動かし始めた。
「は!!?ふっ...やめ、ひ、一人で出来るから!んっ!」
「いいからいいから~」
「ちょ、こんの!酔っぱらい!!」
ザクと背中を密着させた姿勢のため、酒の香りに包まれたような気分になる。俺まで酔ってしまいそうだ。でもそのおかげかシータにされてる時と違い、すぐに俺のは固さを取り戻した。
(気持ち良い・・・)
悔しいけど、ザクの手は熱くて・・・手慣れていて気持ちが良い。寄りかかるようにしてザクにしがみついた。
「っふ、あ、ああっん!」
「この声だよ、この声」
「...んんっ、は?声?」
「いや、何でもね~」
そろそろ本気でやばい。
(出る...!)
腰が震えて自分で制御できない。このままでは手に出してしまう。それだけはなんとしても阻止しないとと気力を振り絞った。
「あっあああ、ん、ふ・・・あんっ、ちょ、ザク、もう、」
「あ、うん。いいぜ、このまま出しなって」
「やだって!離せ!っんん!」
すっ
ふと、視界が暗くなる。ザクが手で目隠しをしてきたのだ。
「女の事でも考えて、気楽に出せって~」
は?勝手なことを言うな...とか言おうとしたその時、急にザクの手の動きが早くなった。
ぐちゅぐちゅっ
音が耳を侵し、興奮が高まっていく。手の力も一際強くなって、必死に掻き集めていた理性が崩壊した。
「う...あっあああ、もう!!い!イクっ!!」
頭が真っ白になるような感覚の後、俺は達した。だらしなく白い液体を垂らし続ける自分を見下ろしながら放心する。
(俺、こんなとこで、何やってんだ...)
達して冷静になった頭でぼんやりと考える。そんな時、後ろで、うっと呻くような短い声が聞こえてきた。それからすぐ後に、びちゃびちゃっと水音が響いた。
(え?、ま、ま、まさか...。)
嫌な予感がして、急いで振り返った。
「!!」
そこにいたザクは俺と同じように、下から白い液体を...だし...
「は、はあああああああああああああ????」
「うっせーな...せっかくの余韻が..んん」
肩で息をして、それはそれは気持ちよさそうに目を瞑ってるザク。俺はそれを信じられないという風に睨みつける。
「はー、出した出した」
そういってザクは自分のを服の中にしまった。はっと気がついて、俺も急いでしまい服を着直す。
「な、なななな、何しっ?!(言葉にならない)」
「何って、自慰だけど?まさかここで牧師っぽいこと言うつもりか?」
「い、いやいやいや!!!それもそうだけど、なんでこのタイミングでするんだよ!」
「いや、美味しそうなオカズがあったからちょうどいいなーって思ってさ」
「おかっ・・・」
何がちょうど良いだ!我慢しろ!
「このっ淫魔っっ!!」
ザクは自分の耳に指をさし「聞こえない」とそっぽを向いた。
「お前も知ってるとおり、俺様は悪魔だからなー?欲求には弱いんだよー美味しそうな餌があれば食うだろ、けけけっ」
「だからって...お前、男の出してるとこなんか見て、何がいいんだ!!」
「お前のは何故かイケる」
「そこはカタカタにするな!きもい!!」
もう、いろんな意味で脱力してしまう。体的にもまだ気だるいし。緊迫とした空気から一転してこれ・・・状況にもついていけない。
「はあ...」
頭を押さえ、横に振った。
(深く考えたらダメだ)
相手は悪魔なんだから、余計な事は考えるな。冷静になれ、俺。
(今のは記憶から消すとして)
「・・・とりあえず、助かったよ」
なんやかんやでシータの手からは逃れられた。もう一人の悪魔に捕まったから結果的に同じだったように思えるけどそこは見ないようにしておく。
「そうだそうだ感謝しろ~?」
「...はいはい」
「けけ!」
ザクは嬉しそうに笑って伸びをした。
「さーてとスッキリしたし、飲み直すとするか~」
「ま、まだ飲む気か??」
「あんなんで俺様が足りると思うか?」
「あーもう、わかったよ。さっさと行けば。俺はお爺さん探すから一緒に行けないけど」
「爺さん?」
「このあたりで見かけたんだ、あのお爺さんをさ」
「へえ...」
興味なさげに聞くザク。ふと、その無駄に整った顔をしかめさせる。
「でもおかしいな、ここは悪魔の匂いしかしねーぞ?」
「は?また匂い?」
「ああ、この路地からは人間の匂いがしないんだ。爺さんが通ったなら何かしら匂いが残ってるはずなんだが」
「...」
どうゆうことだ?お爺さんはこっちを通ってなかった?それとも道をどこかで間違ってたとか??
「もしくは、爺さんが悪魔、とかな」
「なっそんなわけない!」
「けけ、何を根拠にそう思うんだ?」
「触れたし、無害そうだったし...」
「俺様だってお前に触れられるぞ?無害そうってのはシータとかいうあの男の件で学んだんじゃないか~?」
「う...」
確かに、悪魔は見かけを騙すことができる。見かけで判断してはいけない事もわかってる、つもりだ。
(でも)
お爺さんは孫のことを本当に想っていた。ペンダントを寂しげに見つめる仕草は、とても演技には見えなかった。今だってそうだ、孫のためにこんなくらい路地まで探しにきている。
(あの人は悪魔じゃない)
たとえ全部が演技だったとしても・・・俺はお爺さんを信じたい、そう思った。
「・・・なんか、違う。シータたちとは違う気がするんだ」
俺は小さな声で、呟いた。何度も裏切られてるのに馬鹿だな俺は、何て思っていると。
「...はあ。ったく。わーったよ、一緒に探してやる」
「え、酒はいいのか」
「またお前が絡まれたら堪んねーからな。俺様の大事なオカズは誰にも渡さねえ」
「おかっ・・・普通に守るって言えばいいだろ!馬鹿!変態!今度1m以上近づいたら殴るからなっ」
「そんな怒んなよ襲いたくなるじゃねーの」
「死ねっ!!!」
俺は奴を置いて、路地の奥に進んでいく。そのまま、しばらく暗い路地を歩いていくとどこからか鳥のさえずりが聞こえてきた。
(こんな夜に、鳥の声?)
俺が声のする方に歩いていくと、空から白い羽が落ちてきた。
「!」
空を見上げると何かが飛んでいくのが見えた。月にちょうどかぶって、シルエットしか見えなかったが...あれは鳥の形をしていた。
(なんだったんだ、今の)
ぼうっと空を眺めていると
=にいー!!ルトにい~!=
路地の奥から可愛らしい声が聞こえてきた。
「あ、リリ!!よかった無事だったか!」
=にい~~=
黄色い翼を思いっきり伸ばし俺に抱きついてくる。この小さな小鳥の温かさがとても懐かしく感じた。
=あのね、あのね!おじーちゃんみつけたよ!=
「えっほんとか?」
振り返り、ザクと目配せをする。
「っしゃ、行くかねえ」
ザクはやれやれと頭をかいた後、ゆっくりと頷いた。
「...お前は、シータは悪くない。悪いのはすべて悪魔だ」
俺がそう言い切って思いっきり体をねじる。その勢いでシータの手の目隠しが消えた。だけどその代わり俺たちは向かい合うような形になってしまった。目の前には、口の端を曲げて笑う男がいた。
「ほんとに健気だね、もっと気に入っちゃった」
「は?ちょ...!何する!」
冷たい手が俺の上着を脱がしていく。焦ってその手を払い落とそうとするが、全く気にする様子がない。
「や、やめろって!!こんなとこで!」
「ほら、暴れないで鳥さんが潰れちゃうよ」
「??!」
シータがニッコリと笑って俺の目の前にリリを差し出した。リリの首のあたりに人差し指がめり込んでる。気絶してるのかリリはピクリとも動かない。
(いつの間にリリを!!!)
「リリっ・・・やめろっ!!!!」
手を伸ばすが、届かない。
「だから、言うこと聞いてね?」
「シータっ!!」
「イイ子にしていたらこの子には何もしないから、さ?」
「っ・・・!!」
しゅるっ
俺の上着が地面に落ちる。いくら暗いとはいえ、こんな普通の道で半裸になってるなんて・・・考えるだけで脳が沸騰して死にそうだ。俺がうつむいて必死に羞恥に耐えてるとシータの手が俺の頭を撫でた。
「ここは蛇の住む路地って言われていてほとんど人来ないから、安心して?」
「っお前はいたじゃないか!!」
「そりゃルト君のことをつけてたからね」
「つけっ・・はあ!?!」
チカチカと電気の消えかかった蛍光灯が路地を照らす。路地に比べればだいぶ明るいが、今の状況だと暗いほうが何倍も良いのにと思った。
「楽しそうだったね、バンとのデート」
「な...!いつから...ていうかどうしてそんな事!」
「君が教会を出ると僕の悪魔が教えてくれるんだ・・・でも嫉妬しちゃうな。あんな風に、僕にも笑ってよ」
??俺が笑ってた?いつの話だ?俺が悩んでるとシータは不思議そうな顔をして頷いた。
「へえ、無意識だったの、すごいなー。才能あるよ...男を惚れさす才能」
「うっうるさい!..っあ!」
言い返す途中で、急に冷たい手がへそのあたりを撫でてきた。思いがけず大きな声が出てしまい、とっさに自分の手で口を塞いだ。シータは楽しそうに目を細めて、俺の様子をじっと見ている。
「ふふ、かわいい」
「男に可愛いなんて、う...あっ離せ!ば、か...っ!」
胸に口づけされ背中が震える。口を離す瞬間ぺろっと舐められてまた震えた。
「あっ、やだ・・・っ」
チラッとリリの方を見る...目を閉じたまま動かない。その様子に焦るが、こんな姿を見られなくてすんだのは助かった。
「ねえ、どんな味だった?」
俺の全身に優しく愛撫をしながら、シータが聞いてきた。
「...ん、あ、味?」
「僕の、いっぱい飲んでたじゃない」
「っバカやろ!!!んなのっ忘れた!」
やっと俺は聞かれた内容に思い当たり、顔を真っ赤にする。あんな、トラウマ級の、二度と思い出したくなかった事を話題にされるなんてありえない。どんな神経してるんだと思った。
(いや、それが狙いか...)
俺が困るのを知って聞いたんだろう。それぐらいはもうわかってきた。
「僕は何度も思い出したよ、君の、苦しそうに咥える姿」
「...!変態野郎!」
俺の暴言すら心地よく聞き入れシータは笑った。
「だから、今度は僕に味見させて?」
「は?ちょっ、やだ!はなせっんっ!」
舌がゆっくりとへそから下に移動してくる。リリの事があるため、俺は突き飛ばしたい衝動をグッと抑え必死に堪えた。
「ふふ、こっちは素直だ」
シータはぺろっと舌をしまい、俺の下半身に目を止めた。
(ま、まさかこいつ!!)
逃げようとするが背中を押さえられていて動けない。そのままシータは迷う素振りを一切見せず、俺のを取り出しくわえ込んだ。
「――っっは!あ、ちょ、ほんとに!何やって...!んんっ」
温かくてヌルッとした口の中は、悔しいけど気持ちよかった。シータは目を瞑ったまま俺のを舐めたり手で擦ったりしてくる。膝立ちで俺のをくわえるシータを見下ろせば、その光景にクラクラと眩暈がした。
「ふふ。かわいい・・・ヤらしい液体、出てきたね、ほら?」
俺のから口を離し、先の方を舌でゆっくり舐めまわす。たまらずトロリと先走りが溢れた。
「ん...!」
「されたこと、んん...ないの?」
「無いに、決ま...って、る、だろ!」
「ふふ、初めてなんだー?」
先走りと唾液で汚れたシータの顔がこっちを見てくる。欲情に染まるシータの顔から視線をそらし、なるべく視界に入れないようにした。
「じゃあーめいっぱい気持ちよくしてあげないとね」
「や...もう、いいっあああっ!」
口に再びくわえられ、焦って腰を引く。
(これ以上やられたらやばい・・・!)
しかし、引いた分だけシータが飲み込んでいく。最奥まで届いたその時、突然吸い上げられた。
「ああっ、う、ハアっ」
ビクッと体が震え、大きな声が出てしまう。
「やめっほんとに、も...う!」
口から出てる部分を冷たい手で擦られ、口の中では思いっきり吸われ...もう訳が分からくなってきた。このまま出してしまいたい気もする。
(ダメだ!こんな場所で...早く逃げないと!!でもリリがっ・・!)
シータの頭を押し戻そうとしたが、力では元々敵わない。しかも達しかけていて体に上手く力が入らない。もっと奥にくわえられ余計力が抜けてしまうのがオチだった。周りを見てみるが人影などなく、ただ淋しげに蛍光灯が立っているだけだった。路地の真ん中で俺たちは何をしてるんだ...!
(嫌だ、こんなところで...!)
誰か!!だれか、誰でもいい・・・助けてくれ!!!
「―――・・・ザクっ!!」
とっさに俺はアイツの名前を呼んでいた。
「~♪」
ふと、上空から下手な鼻歌が聞こえてくる。
「「?!」」
俺とシータが同時に上を向いた。建物の屋根に、見知った人影が現れる。風に揺れる長い赤髪、顔を怪しく隠す眼帯。あの姿は...
「ザク!!!」
そのふてぶてしい姿に安心して涙がにじむ。ザクは俺たちを見下ろし、口笛を吹いた。
「よう、ルト、随分楽しそうじゃねーの」
「っ!!」
自分の状況を思い出す。半裸な上に、自分の熱くなった下半身...。
「うわあああ!!!見るなバカ!」
急いで上着を取り、着た。もう遅い気もするがそこは考えないでおく。
シュタッ
ザクが屋根から俺たちのところまで一気に飛び降りてきた。
(猫並みの跳躍だな。って、あ、猫か・・・いや悪魔だけども)
と混乱してる俺の横でシータが身構える。
「・・・君、あの時の猫の悪魔だね。この前はよくも邪魔してくれたね」
シータの瞳からは光が消えていた。そのまま操られているかのように淡々と話す。
「さっさと教会から出ていけ」
「っけ!悪いが今は、そこの人間に興味があってな、退く気はねーな」
「...君に奴の代わりはできない。すぐにまた片翼になることになる、精々それまで楽しむんだな!」
そう言ってシータは路地の奥に消えていった。一瞬、目の前を靄のようなものがかすった気がする・・・あれがシータについてる悪魔だろうか?
(どちらにしろ、これからはなるべく一人ではシータに近づかないようにしないと...)
そう心に決め、ザクの方に向き直る。
「...、片翼ってなんの話だったんだ?」
「さあなあ~?」
「さあなって・・・」
「んなことより、それ、どうするつもりだ?」
ザクが俺の下半身を指差す。色々あって若干萎えてはいるが、まだ熱いままだ。どこかで出しにいかないとこのままでは通りを歩けない。
「...ぬ、抜いてくる」
「手伝ってやるよ」
「え」
後ろからザクが、俺の体を抱きかかえた。そのまま腕を伸ばしてくる。
ぎゅっ
大きな手で握りこまれ、ギクリと体を揺らす。そんな俺の反応を楽しみながらザクはゆっくりと手を動かし始めた。
「は!!?ふっ...やめ、ひ、一人で出来るから!んっ!」
「いいからいいから~」
「ちょ、こんの!酔っぱらい!!」
ザクと背中を密着させた姿勢のため、酒の香りに包まれたような気分になる。俺まで酔ってしまいそうだ。でもそのおかげかシータにされてる時と違い、すぐに俺のは固さを取り戻した。
(気持ち良い・・・)
悔しいけど、ザクの手は熱くて・・・手慣れていて気持ちが良い。寄りかかるようにしてザクにしがみついた。
「っふ、あ、ああっん!」
「この声だよ、この声」
「...んんっ、は?声?」
「いや、何でもね~」
そろそろ本気でやばい。
(出る...!)
腰が震えて自分で制御できない。このままでは手に出してしまう。それだけはなんとしても阻止しないとと気力を振り絞った。
「あっあああ、ん、ふ・・・あんっ、ちょ、ザク、もう、」
「あ、うん。いいぜ、このまま出しなって」
「やだって!離せ!っんん!」
すっ
ふと、視界が暗くなる。ザクが手で目隠しをしてきたのだ。
「女の事でも考えて、気楽に出せって~」
は?勝手なことを言うな...とか言おうとしたその時、急にザクの手の動きが早くなった。
ぐちゅぐちゅっ
音が耳を侵し、興奮が高まっていく。手の力も一際強くなって、必死に掻き集めていた理性が崩壊した。
「う...あっあああ、もう!!い!イクっ!!」
頭が真っ白になるような感覚の後、俺は達した。だらしなく白い液体を垂らし続ける自分を見下ろしながら放心する。
(俺、こんなとこで、何やってんだ...)
達して冷静になった頭でぼんやりと考える。そんな時、後ろで、うっと呻くような短い声が聞こえてきた。それからすぐ後に、びちゃびちゃっと水音が響いた。
(え?、ま、ま、まさか...。)
嫌な予感がして、急いで振り返った。
「!!」
そこにいたザクは俺と同じように、下から白い液体を...だし...
「は、はあああああああああああああ????」
「うっせーな...せっかくの余韻が..んん」
肩で息をして、それはそれは気持ちよさそうに目を瞑ってるザク。俺はそれを信じられないという風に睨みつける。
「はー、出した出した」
そういってザクは自分のを服の中にしまった。はっと気がついて、俺も急いでしまい服を着直す。
「な、なななな、何しっ?!(言葉にならない)」
「何って、自慰だけど?まさかここで牧師っぽいこと言うつもりか?」
「い、いやいやいや!!!それもそうだけど、なんでこのタイミングでするんだよ!」
「いや、美味しそうなオカズがあったからちょうどいいなーって思ってさ」
「おかっ・・・」
何がちょうど良いだ!我慢しろ!
「このっ淫魔っっ!!」
ザクは自分の耳に指をさし「聞こえない」とそっぽを向いた。
「お前も知ってるとおり、俺様は悪魔だからなー?欲求には弱いんだよー美味しそうな餌があれば食うだろ、けけけっ」
「だからって...お前、男の出してるとこなんか見て、何がいいんだ!!」
「お前のは何故かイケる」
「そこはカタカタにするな!きもい!!」
もう、いろんな意味で脱力してしまう。体的にもまだ気だるいし。緊迫とした空気から一転してこれ・・・状況にもついていけない。
「はあ...」
頭を押さえ、横に振った。
(深く考えたらダメだ)
相手は悪魔なんだから、余計な事は考えるな。冷静になれ、俺。
(今のは記憶から消すとして)
「・・・とりあえず、助かったよ」
なんやかんやでシータの手からは逃れられた。もう一人の悪魔に捕まったから結果的に同じだったように思えるけどそこは見ないようにしておく。
「そうだそうだ感謝しろ~?」
「...はいはい」
「けけ!」
ザクは嬉しそうに笑って伸びをした。
「さーてとスッキリしたし、飲み直すとするか~」
「ま、まだ飲む気か??」
「あんなんで俺様が足りると思うか?」
「あーもう、わかったよ。さっさと行けば。俺はお爺さん探すから一緒に行けないけど」
「爺さん?」
「このあたりで見かけたんだ、あのお爺さんをさ」
「へえ...」
興味なさげに聞くザク。ふと、その無駄に整った顔をしかめさせる。
「でもおかしいな、ここは悪魔の匂いしかしねーぞ?」
「は?また匂い?」
「ああ、この路地からは人間の匂いがしないんだ。爺さんが通ったなら何かしら匂いが残ってるはずなんだが」
「...」
どうゆうことだ?お爺さんはこっちを通ってなかった?それとも道をどこかで間違ってたとか??
「もしくは、爺さんが悪魔、とかな」
「なっそんなわけない!」
「けけ、何を根拠にそう思うんだ?」
「触れたし、無害そうだったし...」
「俺様だってお前に触れられるぞ?無害そうってのはシータとかいうあの男の件で学んだんじゃないか~?」
「う...」
確かに、悪魔は見かけを騙すことができる。見かけで判断してはいけない事もわかってる、つもりだ。
(でも)
お爺さんは孫のことを本当に想っていた。ペンダントを寂しげに見つめる仕草は、とても演技には見えなかった。今だってそうだ、孫のためにこんなくらい路地まで探しにきている。
(あの人は悪魔じゃない)
たとえ全部が演技だったとしても・・・俺はお爺さんを信じたい、そう思った。
「・・・なんか、違う。シータたちとは違う気がするんだ」
俺は小さな声で、呟いた。何度も裏切られてるのに馬鹿だな俺は、何て思っていると。
「...はあ。ったく。わーったよ、一緒に探してやる」
「え、酒はいいのか」
「またお前が絡まれたら堪んねーからな。俺様の大事なオカズは誰にも渡さねえ」
「おかっ・・・普通に守るって言えばいいだろ!馬鹿!変態!今度1m以上近づいたら殴るからなっ」
「そんな怒んなよ襲いたくなるじゃねーの」
「死ねっ!!!」
俺は奴を置いて、路地の奥に進んでいく。そのまま、しばらく暗い路地を歩いていくとどこからか鳥のさえずりが聞こえてきた。
(こんな夜に、鳥の声?)
俺が声のする方に歩いていくと、空から白い羽が落ちてきた。
「!」
空を見上げると何かが飛んでいくのが見えた。月にちょうどかぶって、シルエットしか見えなかったが...あれは鳥の形をしていた。
(なんだったんだ、今の)
ぼうっと空を眺めていると
=にいー!!ルトにい~!=
路地の奥から可愛らしい声が聞こえてきた。
「あ、リリ!!よかった無事だったか!」
=にい~~=
黄色い翼を思いっきり伸ばし俺に抱きついてくる。この小さな小鳥の温かさがとても懐かしく感じた。
=あのね、あのね!おじーちゃんみつけたよ!=
「えっほんとか?」
振り返り、ザクと目配せをする。
「っしゃ、行くかねえ」
ザクはやれやれと頭をかいた後、ゆっくりと頷いた。
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サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
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