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ユーグ村
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「ん、うぅぅん……」
窓から差し込む日差しがベッドで眠る薫の顔を照らす。カーテンなどという遮光する物のない直の眩しさに負け、薫は小さく唸って身体を起こす。
大きく欠伸をして眠気眼を擦りながら部屋の中を見回す。そしてそこがいつもの自分の部屋ではなく、薄っすらと暗い部屋であることを確認すると、朝一番の大きな溜め息を吐く。
「やっぱり夢じゃなかったか……」
もしかしたらリアルな夢だったんじゃないか、という薫の僅かな希望はあっさりと潰え、気落ちしながらベッドから降りて靴を履く。
ちなみにこの世界は欧米的な文化なのか、室内であっても靴を履いている。薫にとって馴染みのないことではあったが、他のみんなが土足で踏み入った室内を裸足で歩く勇気はなく、半ば諦めの気持ちで受け入れ、昨日『覇王の黒衣』を取り出した時に合わせて取り出した『レンジャーブーツ』という、何の効果もない、序盤で手に入る茶色のブーツに足を通す。
「さすがに『L・F』にも靴下って装備は無かったからなぁ……あ、あと着替えもないし」
そう言って自身の『L・F』のデータを思い返す。そうすると頭の中に『L・F』のアイテムのリストがズラッと並んでるようなイメージが広がる。
これを仮に『ストレージ』としよう。昨日試してみて分かったことだが、こうやってアイテムを取り出そうとすると頭の中で『ストレージ』が広がり、アイテム名が文字として浮かび上がる。そこには所持数も載っており、その数を数えてみればやはり薫の『L・F』と同数が貯蔵されていた。
「検索……装備品、足……」
薫の発する言葉に従うように、『ストレージ』が装備品のみを抜粋し、さらにその中から脚部の装備品のみを抜粋していく。
「スカウトブーツ、霧隠の脛当て、騎士のグリーヴ……なんかよく分かんないものばっかで、靴下っぽいのはないかな」
検索にヒットした装備品に目を通しながら、薫は落胆気味な声を上げる。
「仕方ない。後でリリアにでも聞いてみよ」
薫は考えることを止め、ベッドから立ち上がると『覇王の黒衣』を羽織り、寝室の扉を開ける。
「あ、おはようカオルちゃん。昨日はよく眠れた?」
「おかげさまで。ありがとうリリア」
扉を開けた先には昨日と同じ、ベージュ色の地味な服を着たリリアが居た。あまり手入れが行き届いていないリリアの茶毛が窓からの日差しを浴びて明るく輝き、その人懐っこそうな笑顔と相俟ってより一層彼女の活発さを表している。
彼女は木のテーブルの上に皿を並べている最中だったらしく、リリアが並べる皿には肉とサラダが大量に載せられていて、食欲を唆る匂いが薫の鼻腔をくすぐり、お腹の虫を声高に鳴かせる。
そういえば昨日は何も食べてなかったっけ。
ふにゃっと表情を綻ばせながら室内を見回してみると、此処にはリリアの姿しかなく、村長とアレクの姿は何処にもなかった。
「あれ、村長さんとアレクは?」
「二人なら狩りに出掛けてるよ。もうすぐ帰ってくる頃かな?」
そう言うリリアに促され水瓶のところで顔を洗う。それが終わると先端が繊維状になっている木の棒をリリアから渡される。
「……これは?」
「ラシルの枝。歯を磨くやつだよ。この先端のボサボサってしてる方で歯を磨くんだけど……知らない?」
「し、知ってるよ! ただこれ使っていいのかなぁって思ってただけだから!」
当然そんな木の棒なんて見たことも使い方も知らなかったが、もし知らないなんて言ったらリリアに歯磨きも知らない不潔者扱いされるかもと思った薫は、慌てて否定する。
「昨日マルコさんの所で買ってきたやつだから気兼ねなく使ってね。それとも自分用のやつ持ってたりした?」
「え、えぇっと……昨日の戦いで荷物全部どっかいっちゃったみたいで……」
「ならちょうど良かった。はい、コレ使ってね」
「あ、ありがとう……」
満面の笑みを浮かべてラシルの枝を渡すリリア。そんな眩しいくらいの笑顔を浮かべる彼女を小さな見栄で嘘をつく自分のちっぽけさに、薫は苦笑いを浮かべる。
「うん? なんか外が騒がしいような……」
歯磨きを終え、リリアの手伝いでもと思っていると外が騒がしくなっていることに気付いた。それはリリアの耳にも聞こえていたらしく、「帰ってきたみたい」と言うとリリアが薫の手を引いて引っ張っていこうとする。
「ちょ、私まだ寝癖とか直してないんだけど⁉︎」
薫は慌てて寝癖隠しにと『傾国の狐面』を取り出し、顔に付けるとリリアに引っ張られるがままに外へと連れ出されていった。
リリアに連れられて村の中央、井戸の辺りまで行くと、そこには既に多くの村人達が集まっていた。
その人垣も、リリアに引っ張られる薫の姿を認めるや自然と道を譲っていき、二人はすんなりとその中心へとやってくることが出来た。
「おかえりなさい!」
リリアが元気良く声を掛けると、井戸の水を頭から被っていた村長、その後ろで並んで待つアレクを含む数人の男達が笑みを浮かべる。彼らの服には土で汚れた跡や赤黒い血のような跡が残っており、足下には牛並みの大きさの猪のような動物が転がっている。
薫はそれらを見てギョッと目を見開くと同時に数歩後退ってしまう。
「今日は森猪を狩ってきたの? こんな大きさなんて珍しいね」
「ああ、俺達もこんな大きい森猪は初めてだ。ま、そのせいで二人怪我人が出ちまったがな」
獲物を見て目を輝かせるリリアと対称に、村長は僅かに表情を歪めながら後ろに立つ二人の男へと視線を向ける。一人は薫も名前を知っているゼルという青年で、もう一人は村長と同い年ぐらいと思われる初老の男性。ゼルは太腿、初老の男性は脹脛の部分を服の生地と同じ色の布で巻いていたが、そこにはジワジワと血が滲んできている。狩りの際、森猪の牙が彼らの足を傷付けてしまったのだ。
彼らは別の男達に肩を貸してもらって立っている状態で、その顔には苦悶が浮かんでいる。
「ゼルおじさんにバートンさん……大丈夫なの?」
「おお、リリアちゃんか。ちと足を切っただけじゃ。薬でも塗っておけば直ぐ治るわい」
「……だから何故俺だけおじさん呼びなんだ」
負傷しているにも関わらず、ゼルが胸を押さえ唸る。しかしそのやり取りはいつものことなのか、リリアや周りの人達は何事もなかったかのようにバートンの傷を気遣ったり森猪の解体を手伝ったりしている。
「へっ……怪我人なのに扱いが酷いぜ」
俯きながらそうごちるゼル。 その様子がなんだか居た堪れなくなり、薫が恐る恐る彼へと近付く。
「あの……」
「へ? うぉっ⁉︎」
ゼルも声を掛けられるとは思っていなかったらしく、顔を上げた先に薫の狐面がどアップで映し出され、咄嗟に声を上げてしまう。
「お、驚かせてすみません! あの、怪我大丈夫ですか?」
「え? あ、あぁ……まぁ、暫くすれば勝手に治ると思うけど……」
薫の質問にゼルが歯切れ悪く答える。
ゼルも昨日村長から薫の正体が旅人の女の子であると聞かされていた。聞かされた時は不審な出で立ちの印象が強く、本当かと疑っていたが、こうして実物を改めて見ると確かに自身の胸元ぐらいまでしかない体躯は女子を彷彿とさせる。だが、いかんせん羽織っている衣装と被っている仮面の威圧感が凄まじく、緊張から僅かに身構えてしまっていた。
「ちょっと試してみてもいいですか?」
そう言うと、何もないところから突然杖が一振り現れ、薫の手に納まる。昨日『絡繰戦士』が急に現れた時と同じ現象に、ゼルを含め周りの人達が驚いていると、薫はその杖を地面に突き立てる。
「『中位範囲回復』
薫の声と同時に、狩りに出ていた男達や集まっていた村人達を暖かな光が包み込み、直ぐに消える。突然のことにその場がざわつき出したが、そのざわめきを打ち消すようにバートンが一際大きな声を上げる。
「ほほっ、こいつは驚いた! 怪我が治っておるわ!」
「へ? あ、本当だ! 全然痛くねぇ!」
肩を貸していた男達の手から離れ、バートンとゼルが怪我が治っていることをみんなに見せつけるようにその場で足踏み、ジャンプ、屈伸をする。そして巻いていた布を外してみれば、大きく裂けたズボンの隙間から傷一つない肌が見える。
先程まで肩を借りなければ満足に歩くことすら出来なかった二人が軽快に動いてみせる光景に集まった人々はあんぐりと口を開け、そしてその視線が自然と薫に集まる。
「ふふっ……治って良かったですね」
はしゃぐ二人の姿を見て、薫が仮面の奥で小さく微笑みを浮かべる。だが周囲の視線が先程よりも自分に集中している事に気付くと、その微笑みも引っ込み、どうしたのかと狼狽え始める。
まさかまた何かやらかしてしまっただろうか……そんな不安が薫の中で過ぎる中、村長が薫の肩にポンと手を乗せる。
「あー……すまんがみんなは森猪の解体を続けてくれ。バートンとゼルは一応マギー婆さんのところで診てもらえよ。俺は客人の相手をしなくちゃならん」
村長の指示を受け、村人達が各々行動を開始する。中には未だチラチラと興味深げに視線を送る者もいたが、村長がシッシッと手で払うとその視線もあっさりと消えていく。
何があったのかよく分からなかったが、村長のおかげであの状況を乗り越えたことだけは理解した薫は、彼に対し頭を下げる。
「あ、ありがとうございました」
「いや、そういえばカオル殿は記憶を無くしてたんだったな。俺もうっかりしてたわ」
「もしかして、何かご迷惑を……?」
「迷惑? とんでもない!」
薫が落ち込んでいるのを悟ったのか、村長が慌てて否定する。
それならば何故村の人達はあんなに驚いていたのだろうか。
結局その場で村長が何かを教えてくれることはなく、薫は彼に促されるままに家へと戻ることとなった。
村長の家に戻ると、村長とアレクが狩りで使ったであろう弓矢やナイフ、片手剣を脚の短いテーブルの上に置く。リリアはその間に竃に火を焼べ、その上で金属製の不格好な鍋の中身をかき混ぜる。
道具を片付けた村長とアレクの二人は別の部屋へと向かうと、そのまま扉を閉めてしまった。
「二人が着替え終わったら食事にしましょ。カオルちゃんは座って待ってて」
薫の視線を辿ってか、リリアが二人が何をしているのかを教えてくれた。
着替えるだけなら座っててもいいかな、と薫は『傾国の狐面』を外し、先程リリアが皿を並べたテーブルの前の椅子を引いて腰掛ける。木製の、多分手作りと思われる椅子は左右で脚の長さが微妙に違うせいかガタガタと揺れて座りにくい。
「いやぁ、お待たせした」
扉が開き、着替えを済ませた村長とアレクが姿を現す。リリアに似た、ベージュの服を着た村長は、軽い笑みを浮かべながら椅子を引き、薫の前の席へと座る。
その隣に同じような服を着たアレクが座り、各々の前にリリアが器に入ったスープを並べていく。
「ささ、冷めないうちに頂くとしよう」
リリアがカオルの席の隣に座るのを確認し、村長が率先してスープに口を付ける。それに続いてアレク、リリアも木のスプーンでスープを掬い、口に運んでいく。
唐突に始まった食事に目を白黒させながらも、手を合わせて「いただきます」と言ってみんなと同じようにスプーンを手に取る。
スープの中身を掬い、一口啜る。僅かばかりの塩味と野菜が多く入ったそれは言ってしまえば味が薄かった。それでも温かいスープは薫の舌を大いに刺激し、ゆっくりと咀嚼し、味わいながらスプーンを運ぶ手は一向に止まらなくなっていた。
「どう、美味しい?」
「うん、凄く美味しい!」
リリアの問い掛けにそう答えれば、リリアが嬉しそうに頬を緩める。
スープの他に肉や野菜に手を付ける。
肉は元の世界で主に食べられる牛、豚、鶏のどの肉とも違い少々獣臭い匂いが鼻を突くが、ナイフやフォークを使って小さく切った肉は歯応えがあり、それでも噛めば肉汁が溢れんばかりに出て、薫の食欲を余計に刺激する。野菜も新鮮なものらしく、瑞々しい野菜たちが肉の脂と合わさって十分美味しいものだった。
「ふぅ……お腹いっぱい」
食事が終わり、自身の膨れたお腹をさすりながら薫が満足気に呟く。片付けを手伝おうとしたらアレクとリリアに止められ、今は村長と二人でテーブルを挟んでひと段落中である。
「食事は満足頂けたかな?」
「はい! とっても美味しかったです」
「それは良かった。それで、早速だが少し話を宜しいかな?」
途端に村長が真剣な表情を浮かべる。薫も食事に気を取られていて忘れていたが、慌てて姿勢を正し、同じ様に気を引き締める。
「先程は村の者を治して頂き、感謝する。その上で一つ助言しておくが、今後はあまり人前で聖魔法を使わない方がいい」
「……え?」
村長の言葉に薫が首を傾げる。
予想通りの反応だったのか、村長は呆れた様子もなく一度椅子に深く座り直しながら口を開く。
「回復魔法……一般に言われる聖魔法は神から祝福され、神の代行人として素養を開花させた者のみが使えると言われている魔法だ。元素魔法と違い、聖魔法は独学や魔法書では身につけられず『下位回復』が使えるだけでも貴重な存在と言われている。
先程カオル殿が使った複数人の傷を同時に治し、かつ『下位回復』なんかよりも効果のある魔法など、この国でも使える者は極少数に限られるだろう」
「そうなんですね……」
「うむ。昨日の村を覆った魔法だけでは分からなかったが、身体を癒す魔法は聖魔法の代表的なものだからな。村の者達もそれで驚いていたのさ」
そう言われ、先程の視線の理由が分かった薫は少しホッとする。また何か変なことをしてしまったのかと思ってヒヤヒヤしていたが、ただの物珍しさに見られていたと分かって一安心した。
「……ん? あの、結局何で魔法を使うのに気を付けなければならないんですか? 」
珍しいということと聖魔法を使わないことの関連性がイマイチ分からず、薫は改めて村長に聞いてみる。
「簡単な話さ。聖魔法が使える者は狙われる」
「……え?」
「……すまん、言い方が悪かった。つまり、貴重な聖魔法が使える者は王家、神殿、貴族、冒険者……ありとあらゆる組織が欲しているということだ。
聖魔法があれば薬に頼らずとも即座に傷を癒せる。『下位回復』では致命傷を治すことは難しいが、さらに上位の聖魔法の中には失われた手足を元に戻したり、命を失った者を復活させることが出来るとも聞いたことがある。そんな力を持った者、持つ可能性のある者が放っておかれると思うかね?」
「……いいえ」
「当然、待遇はかなり良いと言われているがその代わり自由がなくなる。何があるか分からないから常に行動は制約されるだろう」
村長の話を聞き、薫は仮面の奥で難しい表情を浮かべる。
村長の話はつまり、聖魔法が使える者は王族なり貴族なり神殿なり、はたまた何かしらの組織に狙われ、囲まれるということだ。
王族や貴族は自身の命を守るため。
神殿は神の祝福を受けた者として自分たちの象徴とするため。
冒険者組合は負傷した組合員達の戦力を減らさないため。
それらは一概に悪いことではないし、むしろ人助けという点では良いことかもしれない。しかし薫は元の世界に帰ることが目的であって、その方法を探さなければならないのだ。組織に取り込まれ、その中で生きていくつもりはない。
「まぁ聖魔法だけじゃなく単独で魔族を倒すことが出来るとバレちまえば、それだけで至る所から引き抜きがあるだろうから、どちらにせよカオル殿は実力を隠しながら旅をするしかない。あぁ、領主様はそこら辺はちゃんと弁えられる人だから安心して大丈夫だ」
「そう、ですか……」
聖魔法はダメ。魔族を倒すレベルとなると中位魔法以上の魔法もダメ。剣や槍なんかは使ったことすらないため論外……となると使えるのは精々最下位の攻撃魔法のみ。
面倒なことになったと思うと同時に、薫は不思議でならなかった。
『L・F』では聖魔法は特別な魔法でもなんでもない。初期職の『僧侶』を選べば最初から使える、火や水といった元素魔法となんら変わらない位置付けでしかないはずだった。
無論、薫もこの世界が『L・F』と同じではないことは認識していたが、ここまで変わってくると今後の自分の身の振り方を一つ間違えるだけで取り返しのつかないことになるかもしれない。
「あと、あのパッと杖とか出すアレ。アレも他の人に見られたら面倒になるだろうから気を付けるんだぞ」
ーー制限ありすぎでしょ。
薫は食事の余韻なんか吹き飛ばすくらい、大きな溜め息を吐いた。
「ん、うぅぅん……」
窓から差し込む日差しがベッドで眠る薫の顔を照らす。カーテンなどという遮光する物のない直の眩しさに負け、薫は小さく唸って身体を起こす。
大きく欠伸をして眠気眼を擦りながら部屋の中を見回す。そしてそこがいつもの自分の部屋ではなく、薄っすらと暗い部屋であることを確認すると、朝一番の大きな溜め息を吐く。
「やっぱり夢じゃなかったか……」
もしかしたらリアルな夢だったんじゃないか、という薫の僅かな希望はあっさりと潰え、気落ちしながらベッドから降りて靴を履く。
ちなみにこの世界は欧米的な文化なのか、室内であっても靴を履いている。薫にとって馴染みのないことではあったが、他のみんなが土足で踏み入った室内を裸足で歩く勇気はなく、半ば諦めの気持ちで受け入れ、昨日『覇王の黒衣』を取り出した時に合わせて取り出した『レンジャーブーツ』という、何の効果もない、序盤で手に入る茶色のブーツに足を通す。
「さすがに『L・F』にも靴下って装備は無かったからなぁ……あ、あと着替えもないし」
そう言って自身の『L・F』のデータを思い返す。そうすると頭の中に『L・F』のアイテムのリストがズラッと並んでるようなイメージが広がる。
これを仮に『ストレージ』としよう。昨日試してみて分かったことだが、こうやってアイテムを取り出そうとすると頭の中で『ストレージ』が広がり、アイテム名が文字として浮かび上がる。そこには所持数も載っており、その数を数えてみればやはり薫の『L・F』と同数が貯蔵されていた。
「検索……装備品、足……」
薫の発する言葉に従うように、『ストレージ』が装備品のみを抜粋し、さらにその中から脚部の装備品のみを抜粋していく。
「スカウトブーツ、霧隠の脛当て、騎士のグリーヴ……なんかよく分かんないものばっかで、靴下っぽいのはないかな」
検索にヒットした装備品に目を通しながら、薫は落胆気味な声を上げる。
「仕方ない。後でリリアにでも聞いてみよ」
薫は考えることを止め、ベッドから立ち上がると『覇王の黒衣』を羽織り、寝室の扉を開ける。
「あ、おはようカオルちゃん。昨日はよく眠れた?」
「おかげさまで。ありがとうリリア」
扉を開けた先には昨日と同じ、ベージュ色の地味な服を着たリリアが居た。あまり手入れが行き届いていないリリアの茶毛が窓からの日差しを浴びて明るく輝き、その人懐っこそうな笑顔と相俟ってより一層彼女の活発さを表している。
彼女は木のテーブルの上に皿を並べている最中だったらしく、リリアが並べる皿には肉とサラダが大量に載せられていて、食欲を唆る匂いが薫の鼻腔をくすぐり、お腹の虫を声高に鳴かせる。
そういえば昨日は何も食べてなかったっけ。
ふにゃっと表情を綻ばせながら室内を見回してみると、此処にはリリアの姿しかなく、村長とアレクの姿は何処にもなかった。
「あれ、村長さんとアレクは?」
「二人なら狩りに出掛けてるよ。もうすぐ帰ってくる頃かな?」
そう言うリリアに促され水瓶のところで顔を洗う。それが終わると先端が繊維状になっている木の棒をリリアから渡される。
「……これは?」
「ラシルの枝。歯を磨くやつだよ。この先端のボサボサってしてる方で歯を磨くんだけど……知らない?」
「し、知ってるよ! ただこれ使っていいのかなぁって思ってただけだから!」
当然そんな木の棒なんて見たことも使い方も知らなかったが、もし知らないなんて言ったらリリアに歯磨きも知らない不潔者扱いされるかもと思った薫は、慌てて否定する。
「昨日マルコさんの所で買ってきたやつだから気兼ねなく使ってね。それとも自分用のやつ持ってたりした?」
「え、えぇっと……昨日の戦いで荷物全部どっかいっちゃったみたいで……」
「ならちょうど良かった。はい、コレ使ってね」
「あ、ありがとう……」
満面の笑みを浮かべてラシルの枝を渡すリリア。そんな眩しいくらいの笑顔を浮かべる彼女を小さな見栄で嘘をつく自分のちっぽけさに、薫は苦笑いを浮かべる。
「うん? なんか外が騒がしいような……」
歯磨きを終え、リリアの手伝いでもと思っていると外が騒がしくなっていることに気付いた。それはリリアの耳にも聞こえていたらしく、「帰ってきたみたい」と言うとリリアが薫の手を引いて引っ張っていこうとする。
「ちょ、私まだ寝癖とか直してないんだけど⁉︎」
薫は慌てて寝癖隠しにと『傾国の狐面』を取り出し、顔に付けるとリリアに引っ張られるがままに外へと連れ出されていった。
リリアに連れられて村の中央、井戸の辺りまで行くと、そこには既に多くの村人達が集まっていた。
その人垣も、リリアに引っ張られる薫の姿を認めるや自然と道を譲っていき、二人はすんなりとその中心へとやってくることが出来た。
「おかえりなさい!」
リリアが元気良く声を掛けると、井戸の水を頭から被っていた村長、その後ろで並んで待つアレクを含む数人の男達が笑みを浮かべる。彼らの服には土で汚れた跡や赤黒い血のような跡が残っており、足下には牛並みの大きさの猪のような動物が転がっている。
薫はそれらを見てギョッと目を見開くと同時に数歩後退ってしまう。
「今日は森猪を狩ってきたの? こんな大きさなんて珍しいね」
「ああ、俺達もこんな大きい森猪は初めてだ。ま、そのせいで二人怪我人が出ちまったがな」
獲物を見て目を輝かせるリリアと対称に、村長は僅かに表情を歪めながら後ろに立つ二人の男へと視線を向ける。一人は薫も名前を知っているゼルという青年で、もう一人は村長と同い年ぐらいと思われる初老の男性。ゼルは太腿、初老の男性は脹脛の部分を服の生地と同じ色の布で巻いていたが、そこにはジワジワと血が滲んできている。狩りの際、森猪の牙が彼らの足を傷付けてしまったのだ。
彼らは別の男達に肩を貸してもらって立っている状態で、その顔には苦悶が浮かんでいる。
「ゼルおじさんにバートンさん……大丈夫なの?」
「おお、リリアちゃんか。ちと足を切っただけじゃ。薬でも塗っておけば直ぐ治るわい」
「……だから何故俺だけおじさん呼びなんだ」
負傷しているにも関わらず、ゼルが胸を押さえ唸る。しかしそのやり取りはいつものことなのか、リリアや周りの人達は何事もなかったかのようにバートンの傷を気遣ったり森猪の解体を手伝ったりしている。
「へっ……怪我人なのに扱いが酷いぜ」
俯きながらそうごちるゼル。 その様子がなんだか居た堪れなくなり、薫が恐る恐る彼へと近付く。
「あの……」
「へ? うぉっ⁉︎」
ゼルも声を掛けられるとは思っていなかったらしく、顔を上げた先に薫の狐面がどアップで映し出され、咄嗟に声を上げてしまう。
「お、驚かせてすみません! あの、怪我大丈夫ですか?」
「え? あ、あぁ……まぁ、暫くすれば勝手に治ると思うけど……」
薫の質問にゼルが歯切れ悪く答える。
ゼルも昨日村長から薫の正体が旅人の女の子であると聞かされていた。聞かされた時は不審な出で立ちの印象が強く、本当かと疑っていたが、こうして実物を改めて見ると確かに自身の胸元ぐらいまでしかない体躯は女子を彷彿とさせる。だが、いかんせん羽織っている衣装と被っている仮面の威圧感が凄まじく、緊張から僅かに身構えてしまっていた。
「ちょっと試してみてもいいですか?」
そう言うと、何もないところから突然杖が一振り現れ、薫の手に納まる。昨日『絡繰戦士』が急に現れた時と同じ現象に、ゼルを含め周りの人達が驚いていると、薫はその杖を地面に突き立てる。
「『中位範囲回復』
薫の声と同時に、狩りに出ていた男達や集まっていた村人達を暖かな光が包み込み、直ぐに消える。突然のことにその場がざわつき出したが、そのざわめきを打ち消すようにバートンが一際大きな声を上げる。
「ほほっ、こいつは驚いた! 怪我が治っておるわ!」
「へ? あ、本当だ! 全然痛くねぇ!」
肩を貸していた男達の手から離れ、バートンとゼルが怪我が治っていることをみんなに見せつけるようにその場で足踏み、ジャンプ、屈伸をする。そして巻いていた布を外してみれば、大きく裂けたズボンの隙間から傷一つない肌が見える。
先程まで肩を借りなければ満足に歩くことすら出来なかった二人が軽快に動いてみせる光景に集まった人々はあんぐりと口を開け、そしてその視線が自然と薫に集まる。
「ふふっ……治って良かったですね」
はしゃぐ二人の姿を見て、薫が仮面の奥で小さく微笑みを浮かべる。だが周囲の視線が先程よりも自分に集中している事に気付くと、その微笑みも引っ込み、どうしたのかと狼狽え始める。
まさかまた何かやらかしてしまっただろうか……そんな不安が薫の中で過ぎる中、村長が薫の肩にポンと手を乗せる。
「あー……すまんがみんなは森猪の解体を続けてくれ。バートンとゼルは一応マギー婆さんのところで診てもらえよ。俺は客人の相手をしなくちゃならん」
村長の指示を受け、村人達が各々行動を開始する。中には未だチラチラと興味深げに視線を送る者もいたが、村長がシッシッと手で払うとその視線もあっさりと消えていく。
何があったのかよく分からなかったが、村長のおかげであの状況を乗り越えたことだけは理解した薫は、彼に対し頭を下げる。
「あ、ありがとうございました」
「いや、そういえばカオル殿は記憶を無くしてたんだったな。俺もうっかりしてたわ」
「もしかして、何かご迷惑を……?」
「迷惑? とんでもない!」
薫が落ち込んでいるのを悟ったのか、村長が慌てて否定する。
それならば何故村の人達はあんなに驚いていたのだろうか。
結局その場で村長が何かを教えてくれることはなく、薫は彼に促されるままに家へと戻ることとなった。
村長の家に戻ると、村長とアレクが狩りで使ったであろう弓矢やナイフ、片手剣を脚の短いテーブルの上に置く。リリアはその間に竃に火を焼べ、その上で金属製の不格好な鍋の中身をかき混ぜる。
道具を片付けた村長とアレクの二人は別の部屋へと向かうと、そのまま扉を閉めてしまった。
「二人が着替え終わったら食事にしましょ。カオルちゃんは座って待ってて」
薫の視線を辿ってか、リリアが二人が何をしているのかを教えてくれた。
着替えるだけなら座っててもいいかな、と薫は『傾国の狐面』を外し、先程リリアが皿を並べたテーブルの前の椅子を引いて腰掛ける。木製の、多分手作りと思われる椅子は左右で脚の長さが微妙に違うせいかガタガタと揺れて座りにくい。
「いやぁ、お待たせした」
扉が開き、着替えを済ませた村長とアレクが姿を現す。リリアに似た、ベージュの服を着た村長は、軽い笑みを浮かべながら椅子を引き、薫の前の席へと座る。
その隣に同じような服を着たアレクが座り、各々の前にリリアが器に入ったスープを並べていく。
「ささ、冷めないうちに頂くとしよう」
リリアがカオルの席の隣に座るのを確認し、村長が率先してスープに口を付ける。それに続いてアレク、リリアも木のスプーンでスープを掬い、口に運んでいく。
唐突に始まった食事に目を白黒させながらも、手を合わせて「いただきます」と言ってみんなと同じようにスプーンを手に取る。
スープの中身を掬い、一口啜る。僅かばかりの塩味と野菜が多く入ったそれは言ってしまえば味が薄かった。それでも温かいスープは薫の舌を大いに刺激し、ゆっくりと咀嚼し、味わいながらスプーンを運ぶ手は一向に止まらなくなっていた。
「どう、美味しい?」
「うん、凄く美味しい!」
リリアの問い掛けにそう答えれば、リリアが嬉しそうに頬を緩める。
スープの他に肉や野菜に手を付ける。
肉は元の世界で主に食べられる牛、豚、鶏のどの肉とも違い少々獣臭い匂いが鼻を突くが、ナイフやフォークを使って小さく切った肉は歯応えがあり、それでも噛めば肉汁が溢れんばかりに出て、薫の食欲を余計に刺激する。野菜も新鮮なものらしく、瑞々しい野菜たちが肉の脂と合わさって十分美味しいものだった。
「ふぅ……お腹いっぱい」
食事が終わり、自身の膨れたお腹をさすりながら薫が満足気に呟く。片付けを手伝おうとしたらアレクとリリアに止められ、今は村長と二人でテーブルを挟んでひと段落中である。
「食事は満足頂けたかな?」
「はい! とっても美味しかったです」
「それは良かった。それで、早速だが少し話を宜しいかな?」
途端に村長が真剣な表情を浮かべる。薫も食事に気を取られていて忘れていたが、慌てて姿勢を正し、同じ様に気を引き締める。
「先程は村の者を治して頂き、感謝する。その上で一つ助言しておくが、今後はあまり人前で聖魔法を使わない方がいい」
「……え?」
村長の言葉に薫が首を傾げる。
予想通りの反応だったのか、村長は呆れた様子もなく一度椅子に深く座り直しながら口を開く。
「回復魔法……一般に言われる聖魔法は神から祝福され、神の代行人として素養を開花させた者のみが使えると言われている魔法だ。元素魔法と違い、聖魔法は独学や魔法書では身につけられず『下位回復』が使えるだけでも貴重な存在と言われている。
先程カオル殿が使った複数人の傷を同時に治し、かつ『下位回復』なんかよりも効果のある魔法など、この国でも使える者は極少数に限られるだろう」
「そうなんですね……」
「うむ。昨日の村を覆った魔法だけでは分からなかったが、身体を癒す魔法は聖魔法の代表的なものだからな。村の者達もそれで驚いていたのさ」
そう言われ、先程の視線の理由が分かった薫は少しホッとする。また何か変なことをしてしまったのかと思ってヒヤヒヤしていたが、ただの物珍しさに見られていたと分かって一安心した。
「……ん? あの、結局何で魔法を使うのに気を付けなければならないんですか? 」
珍しいということと聖魔法を使わないことの関連性がイマイチ分からず、薫は改めて村長に聞いてみる。
「簡単な話さ。聖魔法が使える者は狙われる」
「……え?」
「……すまん、言い方が悪かった。つまり、貴重な聖魔法が使える者は王家、神殿、貴族、冒険者……ありとあらゆる組織が欲しているということだ。
聖魔法があれば薬に頼らずとも即座に傷を癒せる。『下位回復』では致命傷を治すことは難しいが、さらに上位の聖魔法の中には失われた手足を元に戻したり、命を失った者を復活させることが出来るとも聞いたことがある。そんな力を持った者、持つ可能性のある者が放っておかれると思うかね?」
「……いいえ」
「当然、待遇はかなり良いと言われているがその代わり自由がなくなる。何があるか分からないから常に行動は制約されるだろう」
村長の話を聞き、薫は仮面の奥で難しい表情を浮かべる。
村長の話はつまり、聖魔法が使える者は王族なり貴族なり神殿なり、はたまた何かしらの組織に狙われ、囲まれるということだ。
王族や貴族は自身の命を守るため。
神殿は神の祝福を受けた者として自分たちの象徴とするため。
冒険者組合は負傷した組合員達の戦力を減らさないため。
それらは一概に悪いことではないし、むしろ人助けという点では良いことかもしれない。しかし薫は元の世界に帰ることが目的であって、その方法を探さなければならないのだ。組織に取り込まれ、その中で生きていくつもりはない。
「まぁ聖魔法だけじゃなく単独で魔族を倒すことが出来るとバレちまえば、それだけで至る所から引き抜きがあるだろうから、どちらにせよカオル殿は実力を隠しながら旅をするしかない。あぁ、領主様はそこら辺はちゃんと弁えられる人だから安心して大丈夫だ」
「そう、ですか……」
聖魔法はダメ。魔族を倒すレベルとなると中位魔法以上の魔法もダメ。剣や槍なんかは使ったことすらないため論外……となると使えるのは精々最下位の攻撃魔法のみ。
面倒なことになったと思うと同時に、薫は不思議でならなかった。
『L・F』では聖魔法は特別な魔法でもなんでもない。初期職の『僧侶』を選べば最初から使える、火や水といった元素魔法となんら変わらない位置付けでしかないはずだった。
無論、薫もこの世界が『L・F』と同じではないことは認識していたが、ここまで変わってくると今後の自分の身の振り方を一つ間違えるだけで取り返しのつかないことになるかもしれない。
「あと、あのパッと杖とか出すアレ。アレも他の人に見られたら面倒になるだろうから気を付けるんだぞ」
ーー制限ありすぎでしょ。
薫は食事の余韻なんか吹き飛ばすくらい、大きな溜め息を吐いた。
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