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第六話
腐男子、本屋の店主に会う
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「はぁっ……はぁっ……」
どれ位の時間走っただろうか。
無我夢中で走っていたら、いつの間にか街道に出ていた。
結構な距離を走ったから、ここまでくればもう大丈夫だろう。
俺は街道横にある、青々と茂っている木の下に座り、陰になっている部分で少し休む事にした。
この世界に来てまだ間もないってのに早速時間停止の能力を使ってしまった。
確か一日に一回しか使えなかったハズ。
再び先程の様な事が起きてしまったら一貫の終わりだ。
しかし、この世界には男しかいないらしいけど、皆が皆さっきの熊男やエルフ男の様にいきなり襲ってはこない……と信じたい。
とにかく今は食べ物が欲しい。あと水も飲みたい。
お腹が空きすぎて、喉も乾きすぎて死にそうだ。
体育座りで下を向いて項垂れているうちに段々と眠気が襲ってきて、俺は疲れからそのまま眠ってしまった。
* * * * *
「……ねぇ……ねぇキミ、大丈夫?」
誰かが俺の肩を揺すっていた。
はっと気がついて目を覚ますと、目の前にランプを持った、茶髪のくりんくりんした頭の、背の小さい男の子が屈んでこちらを覗き込んでいた。
辺りは一面真っ暗になっている。夜まで眠りこけていたようだ。
男の子の背には大きなリュックの様なものが背負われていた。
ふと、先程のエルフ男達との出来事がフラッシュバックし、思わず後退りしてしまった。
「あ、ごめんね、驚かしちゃったかな。
僕はノイン。
この街道の先にある本屋を営んでて、仕入れ先から帰って来たところなんだ」
本屋?
この世界にも本屋があるのか……
こんな小さいのに本屋営んでるって、凄いな。
さっきのエルフ男達の事もあるし、一応念の為鑑定能力を使ってみた。
再び目の前に色々な情報が表示されたので、参考になりそうな項目だけ流し見る。
【名前 ノイン】
【年齢 75歳(人族年齢だと24歳位)】
【種別 ドワーフ】
【性行為時立場 受け】
【性的嗜好 ?】
お、さっきのエルフ男達と違ってこの人は受けだ。
年齢は人族でいうと24歳……背が小さくて少年みたいな見た目なのはドワーフだからか。
最後の一行はハテナになってるけど、俺が襲われる心配は一先ず無さそうだ。
「いえ、こちらこそすみません。俺、ヤマトっていいます。
実は気がついたら森の中で倒れていて、何故倒れていたか全然思い出せなくて。
とりあえずあてもなく、ここまで歩いてきたんです」
そう話すとノインさんは
「……そう、それは大変だったね。
何か悪い事に巻き込まれたのかな。
この辺は昼は比較的安全な場所なんだけど、夜は時々モンスターが出没するからここで寝るのは危険だよ。
よかったら僕の本屋の二階、一部屋空いているから、そこに泊まっていくといい」
と言いながら俺の肩をポンと叩き、コッチコッチと手招きして歩き始めた。
こ、この人……良い人だ……!
嬉しさと感動のあまり涙が少し出た。
ブレザーの袖でゴシゴシ目元を拭き、俺は小走りでノインさんの後を追った。
どれ位の時間走っただろうか。
無我夢中で走っていたら、いつの間にか街道に出ていた。
結構な距離を走ったから、ここまでくればもう大丈夫だろう。
俺は街道横にある、青々と茂っている木の下に座り、陰になっている部分で少し休む事にした。
この世界に来てまだ間もないってのに早速時間停止の能力を使ってしまった。
確か一日に一回しか使えなかったハズ。
再び先程の様な事が起きてしまったら一貫の終わりだ。
しかし、この世界には男しかいないらしいけど、皆が皆さっきの熊男やエルフ男の様にいきなり襲ってはこない……と信じたい。
とにかく今は食べ物が欲しい。あと水も飲みたい。
お腹が空きすぎて、喉も乾きすぎて死にそうだ。
体育座りで下を向いて項垂れているうちに段々と眠気が襲ってきて、俺は疲れからそのまま眠ってしまった。
* * * * *
「……ねぇ……ねぇキミ、大丈夫?」
誰かが俺の肩を揺すっていた。
はっと気がついて目を覚ますと、目の前にランプを持った、茶髪のくりんくりんした頭の、背の小さい男の子が屈んでこちらを覗き込んでいた。
辺りは一面真っ暗になっている。夜まで眠りこけていたようだ。
男の子の背には大きなリュックの様なものが背負われていた。
ふと、先程のエルフ男達との出来事がフラッシュバックし、思わず後退りしてしまった。
「あ、ごめんね、驚かしちゃったかな。
僕はノイン。
この街道の先にある本屋を営んでて、仕入れ先から帰って来たところなんだ」
本屋?
この世界にも本屋があるのか……
こんな小さいのに本屋営んでるって、凄いな。
さっきのエルフ男達の事もあるし、一応念の為鑑定能力を使ってみた。
再び目の前に色々な情報が表示されたので、参考になりそうな項目だけ流し見る。
【名前 ノイン】
【年齢 75歳(人族年齢だと24歳位)】
【種別 ドワーフ】
【性行為時立場 受け】
【性的嗜好 ?】
お、さっきのエルフ男達と違ってこの人は受けだ。
年齢は人族でいうと24歳……背が小さくて少年みたいな見た目なのはドワーフだからか。
最後の一行はハテナになってるけど、俺が襲われる心配は一先ず無さそうだ。
「いえ、こちらこそすみません。俺、ヤマトっていいます。
実は気がついたら森の中で倒れていて、何故倒れていたか全然思い出せなくて。
とりあえずあてもなく、ここまで歩いてきたんです」
そう話すとノインさんは
「……そう、それは大変だったね。
何か悪い事に巻き込まれたのかな。
この辺は昼は比較的安全な場所なんだけど、夜は時々モンスターが出没するからここで寝るのは危険だよ。
よかったら僕の本屋の二階、一部屋空いているから、そこに泊まっていくといい」
と言いながら俺の肩をポンと叩き、コッチコッチと手招きして歩き始めた。
こ、この人……良い人だ……!
嬉しさと感動のあまり涙が少し出た。
ブレザーの袖でゴシゴシ目元を拭き、俺は小走りでノインさんの後を追った。
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