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元の世界へ(完)
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「クリア、おめでとう。とても楽しませてもらったよ」
精液にまみれた口と下を一ノ瀬が拭き取った後、服を着用し終えた千尋と一ノ瀬に向かって神様は物凄くご満悦な笑顔で喋った。
「約束通り、元の世界へ帰してあげよう」
神様がそう言葉を発した瞬間、千尋と一ノ瀬の意識が飛び、気がついた時には青々と茂る草むらの奥の地面に座っていた。千尋は辺りを見回すと、茂みの間から中央に設置されてある遊具に見覚えがある事に気付いた。
(あの黄色のすべり台に隣の赤い鉄棒、青いブランコ……間違いない、ここは自宅近くの公園だ)
「ここは……近くの公園のようですが……
とりあえず、状況が分かるまでここにいましょう」
一ノ瀬もそう言いながら周囲を確認した後、体勢を低くしながら千尋の側にやってきてしゃがみ込んだ。
二人の服は迷宮に転移する前の状態の様に綺麗になっていた。洗濯しても落ちなかった土の汚れやソースの跡などはどこにも無く、不思議と元通りになっていた。
千尋はふと現在の日時が気になり、ポケットの中にあるスマートフォンで確認した。時間が巻き戻っている。迷宮で過ごした三ヶ月ちょっとの日時ではなく、画面には転移させられた日の夕方の時間が表示されていた。
迷宮内では外の世界よりも時間がゆっくり回っていると説明書きにあった為、元の世界では一日学校をサボった位の時間しか流れていなかった。
あまりにも不可思議な事がおき、頭では分かっていたが千尋は軽く混乱していた。
「……夢、じゃないよね……」
「いえ、夢ではなかった様ですよ」
一ノ瀬は千尋の鞄から迷宮の地図とローションを取り出して千尋に見せた。地図には一番上の部分に赤文字で『クリア』と新たに記載されてあり、本当に一ノ瀬と迷宮を攻略して元の世界へと戻ってきた事を示していた。
「地図にもクリアって書いてある……
良かった、元の世界へ戻って来れたんだな…………っあっ」
千尋が言い終わらないうちに一ノ瀬の腕が伸びてきて、キツく抱きしめられた。一ノ瀬の胸の中にすっぽり収まった千尋の髪の毛に、愛おしそうに頬ずりをしながら一ノ瀬が呟いた。
「良かった……本当に良かった。
二人揃って無事に帰る事が出来て……
千尋、好き、大好きだよ」
「……和馬…………僕も、好きだよ……
これからも……その、ずっと側に……」
「当たり前だよ、ずっと側にいる、沢山愛してあげる。もう永遠に離さない」
一ノ瀬は千尋の顎に手を添え、唇にキスをした。千尋も一ノ瀬の背中に手を回し、口の中に入ってきた一ノ瀬の舌に絡めて答えた。
「……ふ、ぅ……」
「……千尋……好きだよ…………
ずっとこうしていたいけど、とりあえず二人して半日以上姿を消していた言い訳、考えないとね」
「……ん……」
一ノ瀬は再び千尋を抱きしめ、頭を優しく撫でた。
不本意だが、あの理不尽な事をしでかした神様と迷宮攻略を通じて、一ノ瀬がただの執事ではない、大切な存在だと気付かせてくれた。千尋は一ノ瀬の腕の中で、神様とあの迷宮に少しだけ感謝したのだった。
精液にまみれた口と下を一ノ瀬が拭き取った後、服を着用し終えた千尋と一ノ瀬に向かって神様は物凄くご満悦な笑顔で喋った。
「約束通り、元の世界へ帰してあげよう」
神様がそう言葉を発した瞬間、千尋と一ノ瀬の意識が飛び、気がついた時には青々と茂る草むらの奥の地面に座っていた。千尋は辺りを見回すと、茂みの間から中央に設置されてある遊具に見覚えがある事に気付いた。
(あの黄色のすべり台に隣の赤い鉄棒、青いブランコ……間違いない、ここは自宅近くの公園だ)
「ここは……近くの公園のようですが……
とりあえず、状況が分かるまでここにいましょう」
一ノ瀬もそう言いながら周囲を確認した後、体勢を低くしながら千尋の側にやってきてしゃがみ込んだ。
二人の服は迷宮に転移する前の状態の様に綺麗になっていた。洗濯しても落ちなかった土の汚れやソースの跡などはどこにも無く、不思議と元通りになっていた。
千尋はふと現在の日時が気になり、ポケットの中にあるスマートフォンで確認した。時間が巻き戻っている。迷宮で過ごした三ヶ月ちょっとの日時ではなく、画面には転移させられた日の夕方の時間が表示されていた。
迷宮内では外の世界よりも時間がゆっくり回っていると説明書きにあった為、元の世界では一日学校をサボった位の時間しか流れていなかった。
あまりにも不可思議な事がおき、頭では分かっていたが千尋は軽く混乱していた。
「……夢、じゃないよね……」
「いえ、夢ではなかった様ですよ」
一ノ瀬は千尋の鞄から迷宮の地図とローションを取り出して千尋に見せた。地図には一番上の部分に赤文字で『クリア』と新たに記載されてあり、本当に一ノ瀬と迷宮を攻略して元の世界へと戻ってきた事を示していた。
「地図にもクリアって書いてある……
良かった、元の世界へ戻って来れたんだな…………っあっ」
千尋が言い終わらないうちに一ノ瀬の腕が伸びてきて、キツく抱きしめられた。一ノ瀬の胸の中にすっぽり収まった千尋の髪の毛に、愛おしそうに頬ずりをしながら一ノ瀬が呟いた。
「良かった……本当に良かった。
二人揃って無事に帰る事が出来て……
千尋、好き、大好きだよ」
「……和馬…………僕も、好きだよ……
これからも……その、ずっと側に……」
「当たり前だよ、ずっと側にいる、沢山愛してあげる。もう永遠に離さない」
一ノ瀬は千尋の顎に手を添え、唇にキスをした。千尋も一ノ瀬の背中に手を回し、口の中に入ってきた一ノ瀬の舌に絡めて答えた。
「……ふ、ぅ……」
「……千尋……好きだよ…………
ずっとこうしていたいけど、とりあえず二人して半日以上姿を消していた言い訳、考えないとね」
「……ん……」
一ノ瀬は再び千尋を抱きしめ、頭を優しく撫でた。
不本意だが、あの理不尽な事をしでかした神様と迷宮攻略を通じて、一ノ瀬がただの執事ではない、大切な存在だと気付かせてくれた。千尋は一ノ瀬の腕の中で、神様とあの迷宮に少しだけ感謝したのだった。
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マジか!!これで終わりかー!!
宗介君の縛られたあとがすごく気になる!!
そして2人のその後もやばいほど気になる!!!!!!!
なにこのお預けくらった感ハンパない!!笑笑
ぅええっ!?これでおわり!?その後どーなったのか知りたい!この終わり方若干生殺し感が(笑)
退会済ユーザのコメントです
はじめまして、コメント並びに嬉しいお言葉ありがとうございます!
とっても嬉しいです、更新の励みになります(o^^o)
次回かその次の回で最終回の予定ですが、頑張って更新致しますのでまたご覧頂けますと幸いですm(_ _)m