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余りにも悪い目覚めで吐きそうになるのを我慢し、ベッドから起き上がる。直ぐに自分の部屋のドアへ目を向ける。周りには本棚が幾分かに分けられていて、息苦しい空間だ。大量の本が置いてあり、机の上にはパソコンが一台置いてあるだけの部屋。その為、
部屋は非常に狭く見栄えの良いものではなかった。
ベッドから降りてドアへ近寄ろうとするが吐き気がして足元がよろける。おまけに酷い耳鳴りが続く。朝は嫌いだ。いつも気分が悪いし、もう起きたくないとも思う。けど、そんなことを何年も続けていればもう慣れっこだった。続けたくないけど続いてしまっていると言う状況すら忘れてしまったのかもしれない。あの日僕の記憶が消えたように。
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服部 裕一郎 僕の名前だ。
僕はいつの間にか人間不信になっていた。小学生ぐらいには既に一人でいることにしていたと思う。完全に孤立している、と感じる嫌な気分に覆われた自分がとても嫌だった。けど誰も信じられない。信じることができない。僕は重度の人間不信に陥っていた。
そんな毎日とともにストレスからか、毎朝吐き気がこみ上げてくる。小さい頃はそんなこともあってか学校を休むことが多かったが今ではもう慣れたつもりでいた。高校生になっても今までとは変わらなかった。症状が酷くなる訳でもなく治ることもない。慣れたと言うことが良いことなのかわからないが気持ちは少し楽だった。昨日の恐ろしい出来事までは。僕は薄暗い部屋で一人考え込んでいた。自分の部屋には大した物はなく本棚とパソコン、そして寝床。僕はベッドで横になり、思いつめていた。高校生最初の行事、バス旅行の後だった。前々から班決めがあり、クラスのみんなは意気揚々としていた。僕は友達がすぐにできたわけではなかったけど近くの席の人とはそれなりに会話していた。それでも名前を覚えていないのは俺がおかしいとして、その人たちとバス旅行の班を組んで行事に臨んだ。某ネズミーシーに行ったが班行動と言うことで班の人と行動した。今思えば最低限のコミニケションしかとってなかったっけ。バス旅行の帰り、僕は新しい環境で疲れ切っていた。人前では例のトラウマが原因で寝ないようにしてきたが、
この時は油断してうっかりバスの中で寝てしまった。起きて気が付いた時には後の祭りだった。周りは皆僕のことを注目していた。僕に周りの目を気にする間もない程の吐き気が襲う。隣にいた生徒が話かけていたが、耳鳴りで全く聞こえない。この時はただ、
吐くのを我慢するしかなっかた。「大丈夫か服部・・・」桐谷先生が心配そうにビニール袋を僕に渡す。桐谷先生はいつも元気で周りを気遣ってくれるいい人、が最初の印象だ。確か最初に話しかけてくれたのって桐谷先生だったっけ。こんな状況でも心の中ではいつもと変わらない。僕はおかしいのかな・・・服部は胸中で自分に問いた。少し落ち着いた後、近くにいた女子生徒が話しかけてくれた。「服部さん?もう大丈夫?まだ辛そうだよ?水飲む?」その女子は、後部座席にいたが心配で話しかけてくれたのだろう。名前は星野 美紗紀、服部自身会話はしたことがなかった。お互い面識がない状態だった。とても早口で一瞬戸惑ったが、すぐに返事をする服部。「う、うん。少し酔っただけだよ。驚かせてごめん。」
何やその会話の後すぐに星野は隣の人に説教をされている感じだった。そういえば、いつも星野と基督は一緒にいることが多いけど仲がいいのかな。服部はそんなことを考えていた。
基督は直ぐに星野へきつい感じで言った。「美紗紀!、驚かしちゃ駄目だろう!ましては具合が悪いのに。」基督は、少し呆れた表情を浮かべながら続けて言った。「ごめんなさい。服部さんを驚かせてしまって。」「美紗紀の飲みかけのお水なんてご褒美そのものじゃないか・・・」と小声で言っていたが聞かなかったことにしておいた。「いや、別に驚いた訳じゃないよ、こっちこそごめん。」その時はそれだけで会話は終わり、ご褒美がきになるという視線を送っても特にその後は何事もなかった。
部屋は非常に狭く見栄えの良いものではなかった。
ベッドから降りてドアへ近寄ろうとするが吐き気がして足元がよろける。おまけに酷い耳鳴りが続く。朝は嫌いだ。いつも気分が悪いし、もう起きたくないとも思う。けど、そんなことを何年も続けていればもう慣れっこだった。続けたくないけど続いてしまっていると言う状況すら忘れてしまったのかもしれない。あの日僕の記憶が消えたように。
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服部 裕一郎 僕の名前だ。
僕はいつの間にか人間不信になっていた。小学生ぐらいには既に一人でいることにしていたと思う。完全に孤立している、と感じる嫌な気分に覆われた自分がとても嫌だった。けど誰も信じられない。信じることができない。僕は重度の人間不信に陥っていた。
そんな毎日とともにストレスからか、毎朝吐き気がこみ上げてくる。小さい頃はそんなこともあってか学校を休むことが多かったが今ではもう慣れたつもりでいた。高校生になっても今までとは変わらなかった。症状が酷くなる訳でもなく治ることもない。慣れたと言うことが良いことなのかわからないが気持ちは少し楽だった。昨日の恐ろしい出来事までは。僕は薄暗い部屋で一人考え込んでいた。自分の部屋には大した物はなく本棚とパソコン、そして寝床。僕はベッドで横になり、思いつめていた。高校生最初の行事、バス旅行の後だった。前々から班決めがあり、クラスのみんなは意気揚々としていた。僕は友達がすぐにできたわけではなかったけど近くの席の人とはそれなりに会話していた。それでも名前を覚えていないのは俺がおかしいとして、その人たちとバス旅行の班を組んで行事に臨んだ。某ネズミーシーに行ったが班行動と言うことで班の人と行動した。今思えば最低限のコミニケションしかとってなかったっけ。バス旅行の帰り、僕は新しい環境で疲れ切っていた。人前では例のトラウマが原因で寝ないようにしてきたが、
この時は油断してうっかりバスの中で寝てしまった。起きて気が付いた時には後の祭りだった。周りは皆僕のことを注目していた。僕に周りの目を気にする間もない程の吐き気が襲う。隣にいた生徒が話かけていたが、耳鳴りで全く聞こえない。この時はただ、
吐くのを我慢するしかなっかた。「大丈夫か服部・・・」桐谷先生が心配そうにビニール袋を僕に渡す。桐谷先生はいつも元気で周りを気遣ってくれるいい人、が最初の印象だ。確か最初に話しかけてくれたのって桐谷先生だったっけ。こんな状況でも心の中ではいつもと変わらない。僕はおかしいのかな・・・服部は胸中で自分に問いた。少し落ち着いた後、近くにいた女子生徒が話しかけてくれた。「服部さん?もう大丈夫?まだ辛そうだよ?水飲む?」その女子は、後部座席にいたが心配で話しかけてくれたのだろう。名前は星野 美紗紀、服部自身会話はしたことがなかった。お互い面識がない状態だった。とても早口で一瞬戸惑ったが、すぐに返事をする服部。「う、うん。少し酔っただけだよ。驚かせてごめん。」
何やその会話の後すぐに星野は隣の人に説教をされている感じだった。そういえば、いつも星野と基督は一緒にいることが多いけど仲がいいのかな。服部はそんなことを考えていた。
基督は直ぐに星野へきつい感じで言った。「美紗紀!、驚かしちゃ駄目だろう!ましては具合が悪いのに。」基督は、少し呆れた表情を浮かべながら続けて言った。「ごめんなさい。服部さんを驚かせてしまって。」「美紗紀の飲みかけのお水なんてご褒美そのものじゃないか・・・」と小声で言っていたが聞かなかったことにしておいた。「いや、別に驚いた訳じゃないよ、こっちこそごめん。」その時はそれだけで会話は終わり、ご褒美がきになるという視線を送っても特にその後は何事もなかった。
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