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第59話 聖女を呼ぶ光

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「……同情はいいですよ、私はもう……」
「……もう?」
「いえ、なんでも……」

 ……? 何か言いたそうな表情だったが……。

「……アニマさん、そろそろ行きませんか?」
「……そうだね、ムーンさん、色々ありがとうございました」

 私たちは、ムーンさんに向かって頭を下げた。
 すると、ムーンさんは私たちの肩に手を置き、語りかけた。

「……頭をお上げください、私に……そんな価値などありません」

 私たちは彼女にそう言われ、ゆっくりと頭を上げた。

「……貴方は確かに人を殺めたのかもしれない、でも、私たちを助けてくれた……それについては、感謝しかありません」
「……そうですか、ありがとうございます」

 私はムーンさんの手を掴み、お礼代わりに握手をした。



「それでは、色々ありがとうございました」
「……オリジナルの元へ行くのですね」
「……はい」

 外に出ると、見送るためか、ムーンさんも一緒に出た。

「険しい道になるかもしれませんが、貴方達ならきっと行けると信じています……神のご加護がありますように」

 ムーンさんはそう言って、私たちに祈りをささげた。

「……それでは、これで」

 私は馬に変身し、ロープは私に跨った。

「……ムーンさん! この戦いが終わったら……お礼を言いにいつかここに来ます!」

 ロープはムーンさんに向かって、そう言った。
 ……確かに、彼女に何かお礼をしたいな、戦いが終わったら、何かでお礼をしよう。

「……お待ちしてますよ、いつか……」
「……はい! アニマさん、行きましょう!」

 私はロープの合図とともに、脚を動かした。



 ……2人が去って、しばらく後。

「……行きましたか」

 教会のシスター……ムーンは、アニマとエウロプを見送った後、ゆっくりと教会へと戻った。

「……そろそろ、私もお迎えの時間でしょうか」

 ムーンは無数の十字架を見つめ、そんなことを呟いた。
 ……すると、ムーンは光を遮るように掌で顔を遮る。
 彼女の目には……光が見えているようだった。

「……お母さん……それに皆……迎えに来てくれたんだね」

 ムーンは光に誘われ……消えていった。
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