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第22話 乾燥
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……数日前、とある集落。
その集落では、ある問題を抱えていた、それは……。
「……ダメだ、完全に干上がっちまってる」
「そんな……これからどうすれば……」
「王都宛てに手紙は送ったが……対応はいつになることやら……」
若い男女は井戸に向かって頭を抱える。
その集落では、深刻な水不足という問題を抱えていたのだ。
雨も数日間降らず、空気はかなり乾燥していた。
「そういえば行商人の方は?」
「あぁ、今いるが……水は限られた量しかない上に値段も高い、値切ろうと思ったが応じてくれなかった」
「……そんな……私たち、どうすれば?」
「……ここで考えても仕方がない、今は家に帰ろう」
ここにいても時間の無駄だと考えた男女は、一度家まで戻ることにした。
「ママぁ……喉乾いた」
女が家に戻ると、彼女の息子が、喉の渇きを訴えた……。
この家にある水もあとわずか、女は息子に飲ませることを第一に考え、自身は数滴ぐらいしか口にしなかった。
「喉……乾いたな」
女はそう呟きながら、自分の部屋へと戻った……その時。
「きゃあ!? だ、誰!?」
……ドアを開けると、褐色肌の女……カーリナが立っていた。
見知らぬ人物が自分の部屋にいたことを予想もしていなかった女は腰を抜かす。
カーリナは女に向かって……爪を立て、それを腹に刺した。
「ぐふ……」
女はそのまま血を吐いて倒れる……が、それと同時に、「体中のあらゆるところから、粘り気のある液体が噴出した」
「……お前は選ばれた、今日からお前は『スライムロード』だ、欲望のままに……暴れろ」
カーリナはそう呟き……闇へと消えた。
「ま、ママ! ど、どうしたの!?」
物音に違和感を感じた息子は、母親の部屋へと向かった。
そこに母親はいたが……そこにいるのは母親に見えて、母親ではないことを一瞬のうちに理解した。
「た、助けて! 誰か!!」
息子は外へ飛び出し、助けを呼んだ。
……女は何事もなかったかのように立ち上がり、自身の欲望を口にした。
「……喉乾いた、水飲みたい」
女は窓を飛び出し……これから王都へ出発する行商人の馬車へと飛び乗った。
◇
「美味しかったね、ロープ」
「はい! やっぱりここの料理は最高ですね!」
食事を終え、私とロープは外へと出た。
食堂に入ったら、女将さんから「あんたらには貸しがあるから、特別に安くしてやるよ!」と言ってくれた。
最初は遠慮したんだけど、女将さんがどうしてもって言うもんだから、言葉に甘えてしまった。
「このお金、何に使おうか?」
「そうですねぇ……」
あんまり贅沢に使ってしまうと、後々痛い目に遭いそうだ。
だからと言って生身の状態で持ってるとどこかで盗まれるかもしれないし……。
うーん……。
「……アニマさん」
「……どうしたの?」
お金の使い道について考えているとロープが私の服を引っ張り、屋台を指さした。
……あそこの屋台で売られているもの、それは。
「……水飲みたいの?」
「はい、ちょっと……喉乾いちゃって……」
「……そういえば私もちょっと」
なんだろう、ずっと気になってたんだけど、今日、空気がやけに乾燥してるな……。
喉がガサガサになりそうだ。
その集落では、ある問題を抱えていた、それは……。
「……ダメだ、完全に干上がっちまってる」
「そんな……これからどうすれば……」
「王都宛てに手紙は送ったが……対応はいつになることやら……」
若い男女は井戸に向かって頭を抱える。
その集落では、深刻な水不足という問題を抱えていたのだ。
雨も数日間降らず、空気はかなり乾燥していた。
「そういえば行商人の方は?」
「あぁ、今いるが……水は限られた量しかない上に値段も高い、値切ろうと思ったが応じてくれなかった」
「……そんな……私たち、どうすれば?」
「……ここで考えても仕方がない、今は家に帰ろう」
ここにいても時間の無駄だと考えた男女は、一度家まで戻ることにした。
「ママぁ……喉乾いた」
女が家に戻ると、彼女の息子が、喉の渇きを訴えた……。
この家にある水もあとわずか、女は息子に飲ませることを第一に考え、自身は数滴ぐらいしか口にしなかった。
「喉……乾いたな」
女はそう呟きながら、自分の部屋へと戻った……その時。
「きゃあ!? だ、誰!?」
……ドアを開けると、褐色肌の女……カーリナが立っていた。
見知らぬ人物が自分の部屋にいたことを予想もしていなかった女は腰を抜かす。
カーリナは女に向かって……爪を立て、それを腹に刺した。
「ぐふ……」
女はそのまま血を吐いて倒れる……が、それと同時に、「体中のあらゆるところから、粘り気のある液体が噴出した」
「……お前は選ばれた、今日からお前は『スライムロード』だ、欲望のままに……暴れろ」
カーリナはそう呟き……闇へと消えた。
「ま、ママ! ど、どうしたの!?」
物音に違和感を感じた息子は、母親の部屋へと向かった。
そこに母親はいたが……そこにいるのは母親に見えて、母親ではないことを一瞬のうちに理解した。
「た、助けて! 誰か!!」
息子は外へ飛び出し、助けを呼んだ。
……女は何事もなかったかのように立ち上がり、自身の欲望を口にした。
「……喉乾いた、水飲みたい」
女は窓を飛び出し……これから王都へ出発する行商人の馬車へと飛び乗った。
◇
「美味しかったね、ロープ」
「はい! やっぱりここの料理は最高ですね!」
食事を終え、私とロープは外へと出た。
食堂に入ったら、女将さんから「あんたらには貸しがあるから、特別に安くしてやるよ!」と言ってくれた。
最初は遠慮したんだけど、女将さんがどうしてもって言うもんだから、言葉に甘えてしまった。
「このお金、何に使おうか?」
「そうですねぇ……」
あんまり贅沢に使ってしまうと、後々痛い目に遭いそうだ。
だからと言って生身の状態で持ってるとどこかで盗まれるかもしれないし……。
うーん……。
「……アニマさん」
「……どうしたの?」
お金の使い道について考えているとロープが私の服を引っ張り、屋台を指さした。
……あそこの屋台で売られているもの、それは。
「……水飲みたいの?」
「はい、ちょっと……喉乾いちゃって……」
「……そういえば私もちょっと」
なんだろう、ずっと気になってたんだけど、今日、空気がやけに乾燥してるな……。
喉がガサガサになりそうだ。
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