現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた

立風館幻夢/夜野一海

文字の大きさ
上 下
368 / 424
第12章 戦いの結末は、探索者たちが決める!

第308話 ピカピカを食べる

しおりを挟む
「私たちの……その、貴方が言う『ピカピカ』を増大させるのは?」
「お前らの……ピカピカ?」
「そうそう!」

 そうだ、憎しみを食べることができるのなら、嬉しさとか悲しさとか……色んな感情を食べることができるかもしれない。
 私はそう考えた。

「なるほど……ピカピカ……吸収……良い考え……」
「うーん、でも、お前らのピカピカ、よくわからない……」
「じゃあ……私……教えてあげる……待ってて」

 そう言うと、キセノンは立ち上がり、地下室へと向かった。
 それから間もなく、キセノンは私が昔使っていた教科書を持ってきた。

「私の……ピカピカ……修行」
「修行?」
「うん……体……鍛えたり……学問……学んで……強くなる……それが……私の……ピカピカ」
「強くなる……いいかも!」

 なるほど、みんなのピカピカを見せたら、クロムも理解するかもしれない。

「ワシはのピカピカは当然、ここにいらっしゃる琥珀さんだ、琥珀さんはガキからも慕われていて、尚且つとても美しくて優しい……他にも……」

 ゴルドはクロムに向かって力説するも、当のクロムはよくわかっていない様子だった。

「ちょ、ちょっとゴルド……やめないかい、恥ずかしい」
「あ、す、すみません……」

 叔母さんに止められ、ゴルドは語るのをやめた。
 それを見たクロムは……クスクスと笑い始めた。

「あはは! そうか! それがピカピカなんだな! 面白い!」
「お、面白い?」
「ああ! お前面白いな! ゴルド!」
「お、おう……」

 多分、クロムはゴルドの「ピカピカ」について理解はしていないと思う……でも、それがゴルドにとって大事な事なのであることは理解したようだ。

「なぁなぁ、お前は?」
「う、ウチ? せやなぁ……やっぱり……舞う事やろか?」
「見せて見せて!」
「え、ええけど……なんか扇子の代わり……あった!」

 ラピスは床に落ちていた団扇を手に持ち、それとなく踊って見せた。
 おお……相変わらず美しいね、ラピスの踊りは。

「ど、どないや?」
「おお……すげぇ! ピカピカしてるぞ!!」
「お、おおきに……」

 クロムは拍手の代わりに、ラピスの体を大きく揺さぶった。

「すごいな! お前らのピカピカ……俺、もっともーーーーーっと知りたいぞ! すごく気に入った!!」

 クロムは歓喜のあまり、その場で飛び跳ねた。
 どうやら、私たちにとってのピカピカは、クロムにとってはとても素晴らしい事だったようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

処理中です...