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第11章 探索者、オンステージ!
閑話 研究者の過去 その7 ~異世界冒険譚~
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「え……なんで?」
「なんでもです、もう剣道はいいでしょう? 勉強に専念しなさい」
中学に上がったある日、突然、母親に剣道に行くのを辞めるように言われてしまった。
理解不能だった、なんで、私のやることを……制限するのか……。
……私は訳も分からず、中学に通った。
学校が終わったら、小学校の頃と同じように、塾に行かなければならない。
「もう……こんな生活……嫌だ」
私はある日、全てが嫌になり、塾をバックレた。
塾をバックレた私が向かう先は……。
「……叔母さん、泊めさせて」
「なんだい、またお母さんと喧嘩でもしたのかい?」
「……そんなとこ」
「そうかいそうかい、外だと冷えちゃうし中に入ろうか、ちょうど暖かいうどんを作ったんだよ、食べるかい?」
「……うん」
叔母さんは、私の気持ちを察してくれて、頻繁に家に泊めてくれた。
別に勉強自体は嫌いじゃない……ただ強いられるのが嫌だったんだ。
私は叔母さんが提供してくれた部屋で、ずっと本を読んだり、勉強をしたりしていた。
……そんなある日の事。
「おばちゃん! これちょうだい!」
「はいはい、10円ね」
「ねぇおばさん、私当たりあたったよ!」
「はいはい、一個持ってって」
私がいつものようにいかいやに向かうと、営業中で子どもたちがごった返しているところに遭遇してしまった。
……引き返そうと思った、その時。
「あら瑠璃ちゃん! 今日も来たのかい?」
叔母さんが声を掛けてきてしまい、子どもたちは私に注目し始めた。
「おばちゃん! 誰このお姉ちゃん?」
「あぁ、このお姉ちゃんはね、異世界を旅している凄いお姉ちゃんなんだよ!」
「いせかいぃ?」
ちょ、ちょっと叔母さん! 何言っちゃってんの!?
「ねぇねぇお姉ちゃん、異世界って何?」
女の子が私の制服の裾を引っ張り、質問してきた。
ど、どうしよう、何を言えばいいんだろう?
「そういえば瑠璃ちゃん、この間は『本の世界』に旅をしてきたんじゃないのかい? 確か……『紙が無くなりそうだ!』って言っていた人たちを助けたんじゃないかな?」
「えぇ!? どういうこと!? 教えて! 教えて!」
「はいはい、じゃあ瑠璃ちゃん、こっちおいで」
い、一体何をするつもりなんだろう? 私は叔母さんに誘われるように、いかいやの中に入っていった。
と、とりあえず本の世界とやらについて話せばいいの? な、何も思いついてないよ……。
「それでそれで! どうしたの!?」
「ほら、瑠璃ちゃん、確か瑠璃ちゃんがその世界に入ったのは、図書館で本を探していた時だったよね?」
叔母さんが助け船を出してくれている……ここはこれに乗るしかないか!
「う、うん! そ、それで、私はその世界で新たな本を探そうとして……」
「なんでもです、もう剣道はいいでしょう? 勉強に専念しなさい」
中学に上がったある日、突然、母親に剣道に行くのを辞めるように言われてしまった。
理解不能だった、なんで、私のやることを……制限するのか……。
……私は訳も分からず、中学に通った。
学校が終わったら、小学校の頃と同じように、塾に行かなければならない。
「もう……こんな生活……嫌だ」
私はある日、全てが嫌になり、塾をバックレた。
塾をバックレた私が向かう先は……。
「……叔母さん、泊めさせて」
「なんだい、またお母さんと喧嘩でもしたのかい?」
「……そんなとこ」
「そうかいそうかい、外だと冷えちゃうし中に入ろうか、ちょうど暖かいうどんを作ったんだよ、食べるかい?」
「……うん」
叔母さんは、私の気持ちを察してくれて、頻繁に家に泊めてくれた。
別に勉強自体は嫌いじゃない……ただ強いられるのが嫌だったんだ。
私は叔母さんが提供してくれた部屋で、ずっと本を読んだり、勉強をしたりしていた。
……そんなある日の事。
「おばちゃん! これちょうだい!」
「はいはい、10円ね」
「ねぇおばさん、私当たりあたったよ!」
「はいはい、一個持ってって」
私がいつものようにいかいやに向かうと、営業中で子どもたちがごった返しているところに遭遇してしまった。
……引き返そうと思った、その時。
「あら瑠璃ちゃん! 今日も来たのかい?」
叔母さんが声を掛けてきてしまい、子どもたちは私に注目し始めた。
「おばちゃん! 誰このお姉ちゃん?」
「あぁ、このお姉ちゃんはね、異世界を旅している凄いお姉ちゃんなんだよ!」
「いせかいぃ?」
ちょ、ちょっと叔母さん! 何言っちゃってんの!?
「ねぇねぇお姉ちゃん、異世界って何?」
女の子が私の制服の裾を引っ張り、質問してきた。
ど、どうしよう、何を言えばいいんだろう?
「そういえば瑠璃ちゃん、この間は『本の世界』に旅をしてきたんじゃないのかい? 確か……『紙が無くなりそうだ!』って言っていた人たちを助けたんじゃないかな?」
「えぇ!? どういうこと!? 教えて! 教えて!」
「はいはい、じゃあ瑠璃ちゃん、こっちおいで」
い、一体何をするつもりなんだろう? 私は叔母さんに誘われるように、いかいやの中に入っていった。
と、とりあえず本の世界とやらについて話せばいいの? な、何も思いついてないよ……。
「それでそれで! どうしたの!?」
「ほら、瑠璃ちゃん、確か瑠璃ちゃんがその世界に入ったのは、図書館で本を探していた時だったよね?」
叔母さんが助け船を出してくれている……ここはこれに乗るしかないか!
「う、うん! そ、それで、私はその世界で新たな本を探そうとして……」
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