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第11章 探索者、オンステージ!
閑話 研究者の過去 その6 ~優勝~
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「……やっぱり怖いよ」
「……瑠璃ちゃん、ここで行かないと一生行けないよ」
「う、うーん……」
私は恐怖で震えていた。
だが、それと同時に違う震えも感じ取っていた……叔母さんの手から。
叔母さんも……怖いんだ、だけど、私と付き合うためにここにいる。
私は……息を飲んで、玄関の鍵を開けた。
……玄関を開けた瞬間、けたたましい足音が、こちらに向かっているのが分かった。
「瑠璃!! 貴方どこに行って……」
けたたましい足音の正体は、当然の如く、母さんだった。
しかし、母さんは、叔母さんの姿を見るや否や、驚愕の表情を浮かべていた。
「やぁ姉さん、久しぶり」
「あ、貴方……なぜここに?」
「この子を家まで送ってあげただけさ、文句あるかい?」
叔母さんの言葉を聞いた母さんは、すぐさま私を引っ張り出し、叔母さんから離れさせた。
「汚らわしい!! 家の抜けた分際で、のこのこと戻ってきた挙句、娘にまで手を出す気!?」
「何をそんなにイラついているのかわからないけど、少なくともアンタほど汚れてはいないと思うねぇ、自分の娘が家に居たくないと叫ぶとかよっぽどだと思うけど?」
「黙れ!! 用が済んだならさっさと出て行って!!」
「はいはい、わかりましたよ」
叔母さんは静かに背を向け、家を後にした。
「瑠璃! 貴方って子は!! どれだけ心配したと思っているの!? 貴方がいなかったら、今頃学校の運命が……」
私はそのまま、玄関前で怒鳴られた。
☆
……次の日、私は叔母さんの助言の通りに動いてみることにした。
勉強も今まで以上に頑張った、おかげでテストの成績もほぼ満点だ。
そして、私はこう訴えた、「勉強だけじゃなくて、運動も完璧にしたい」と。
すると母は、剣道を私に習わせた。
私はそれを極めた……ほんの1,2年で、私は小学校の部で優勝することができた。
私はそのことを、真っ先に叔母さんに伝えた。
「まぁ、それは凄いね! 瑠璃ちゃん!」
「えへへ……ありがとう、叔母さん! 今度また泊りに来てもいい?」
「いいよ……お母さんにバレないようにね」
「うん!」
「よし! じゃあ今日はご褒美を上げちゃうね! はい!」
私は叔母さんから、ウシメンを段ボール一箱貰った。
「えぇ!? こんなに貰っていいの!?」
「あぁ勿論いいよ、たくさん食べな」
「ありがとう、叔母さん!」
叔母さんに褒められるのは、すごく嬉しかった。
ウキウキ気分で段ボールを抱え、私は家に帰り、それを部屋の隅に隠した。
これはゆっくり食べよう……。
『ただいまー!』
ウキウキ気分だった私だったが、姉さんの声を聞き、さらに嬉しくなった。
私は優勝トロフィーを持って玄関に駆け込んだ。
「姉さん! おかえり!!」
「おお……瑠璃、どうしたの?」
「ねぇねぇ聞いて! 私ね! 私ね!」
「お、落ち着いて瑠璃……」
私は喜びのあまり、周りが見えていなかった。
落ち着いた私は、剣道の大会で優勝したことを姉さんに伝えた。
「凄いじゃない!! 瑠璃! やっぱり最高の妹だよ!!」
「えへへ……」
私の期待通り、姉さんは頭を撫でてくれた。
私は嬉しくてたまらなかった。
「瑠璃、貴方ならきっと異世界を見つけられるよ、頑張りなさい」
「うん! 私頑張る! 勉強して、大学に行って、異世界を見つけてみせる!」
「それじゃ、私はもうお風呂入って寝ちゃうね」
「うん! おやすみ! 姉さん!」
私は手を振って姉さんを見送った。
「姉さんに……褒められた」
私はトロフィーを抱きしめて、喜びをかみしめた。
「……瑠璃ちゃん、ここで行かないと一生行けないよ」
「う、うーん……」
私は恐怖で震えていた。
だが、それと同時に違う震えも感じ取っていた……叔母さんの手から。
叔母さんも……怖いんだ、だけど、私と付き合うためにここにいる。
私は……息を飲んで、玄関の鍵を開けた。
……玄関を開けた瞬間、けたたましい足音が、こちらに向かっているのが分かった。
「瑠璃!! 貴方どこに行って……」
けたたましい足音の正体は、当然の如く、母さんだった。
しかし、母さんは、叔母さんの姿を見るや否や、驚愕の表情を浮かべていた。
「やぁ姉さん、久しぶり」
「あ、貴方……なぜここに?」
「この子を家まで送ってあげただけさ、文句あるかい?」
叔母さんの言葉を聞いた母さんは、すぐさま私を引っ張り出し、叔母さんから離れさせた。
「汚らわしい!! 家の抜けた分際で、のこのこと戻ってきた挙句、娘にまで手を出す気!?」
「何をそんなにイラついているのかわからないけど、少なくともアンタほど汚れてはいないと思うねぇ、自分の娘が家に居たくないと叫ぶとかよっぽどだと思うけど?」
「黙れ!! 用が済んだならさっさと出て行って!!」
「はいはい、わかりましたよ」
叔母さんは静かに背を向け、家を後にした。
「瑠璃! 貴方って子は!! どれだけ心配したと思っているの!? 貴方がいなかったら、今頃学校の運命が……」
私はそのまま、玄関前で怒鳴られた。
☆
……次の日、私は叔母さんの助言の通りに動いてみることにした。
勉強も今まで以上に頑張った、おかげでテストの成績もほぼ満点だ。
そして、私はこう訴えた、「勉強だけじゃなくて、運動も完璧にしたい」と。
すると母は、剣道を私に習わせた。
私はそれを極めた……ほんの1,2年で、私は小学校の部で優勝することができた。
私はそのことを、真っ先に叔母さんに伝えた。
「まぁ、それは凄いね! 瑠璃ちゃん!」
「えへへ……ありがとう、叔母さん! 今度また泊りに来てもいい?」
「いいよ……お母さんにバレないようにね」
「うん!」
「よし! じゃあ今日はご褒美を上げちゃうね! はい!」
私は叔母さんから、ウシメンを段ボール一箱貰った。
「えぇ!? こんなに貰っていいの!?」
「あぁ勿論いいよ、たくさん食べな」
「ありがとう、叔母さん!」
叔母さんに褒められるのは、すごく嬉しかった。
ウキウキ気分で段ボールを抱え、私は家に帰り、それを部屋の隅に隠した。
これはゆっくり食べよう……。
『ただいまー!』
ウキウキ気分だった私だったが、姉さんの声を聞き、さらに嬉しくなった。
私は優勝トロフィーを持って玄関に駆け込んだ。
「姉さん! おかえり!!」
「おお……瑠璃、どうしたの?」
「ねぇねぇ聞いて! 私ね! 私ね!」
「お、落ち着いて瑠璃……」
私は喜びのあまり、周りが見えていなかった。
落ち着いた私は、剣道の大会で優勝したことを姉さんに伝えた。
「凄いじゃない!! 瑠璃! やっぱり最高の妹だよ!!」
「えへへ……」
私の期待通り、姉さんは頭を撫でてくれた。
私は嬉しくてたまらなかった。
「瑠璃、貴方ならきっと異世界を見つけられるよ、頑張りなさい」
「うん! 私頑張る! 勉強して、大学に行って、異世界を見つけてみせる!」
「それじゃ、私はもうお風呂入って寝ちゃうね」
「うん! おやすみ! 姉さん!」
私は手を振って姉さんを見送った。
「姉さんに……褒められた」
私はトロフィーを抱きしめて、喜びをかみしめた。
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