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第11章 探索者、オンステージ!
閑話 研究者の過去 その4 ~叔母~
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「さぁほら、ここだよ」
夜で辺りが暗く、暖簾の文字は見えなかったが、少なくとも、駄菓子屋であることは分かった。
「お、お邪魔します……」
女性が店の扉を開け、私を迎え入れた。
「じゃ、何食べたい? 言ってごらん」
「う、うーん……」
お菓子をまともに食べたことが無いので、どれを食べたいかと聞かれても、回答に困ってしまう。
私は辺りを見つめ、柑橘系の果物が描かれているお菓子を指差した。
「おお、ブンタンアメね、はいはい」
私はお金を出そうとバックを開けたが……女性はそんな私を尻目に、私が指定したお菓子を手に取り……箱を開けた。
「え、ちょ……」
「はい、どうぞ」
女性は……優しい笑顔でお菓子を差し出した。
「お、お金、払います」
「いいよいいよ、ちょうどこれ、もうすぐ期限切れだし」
「いや……そんな……」
箱の側面が見えていたが、まだ賞味期限は1週間はあった。
お金を払おうと財布を開けても、女性は「早くそれ仕舞いな」と言って下げさせた。
「じゃ、じゃあ……いただきます」
「はい、召し上がれ」
私は女性の圧に負けてしまい、お菓子を受け取ってしまった。
ところで、これはどう食べるんだろう? 包みを開けたらいいのかな? ……あれ? 包みが二重になってる……剥さないと……。
「あぁ、その包みは剥さなくていいんだよ」
「えぇ? で、でも……」
「大丈夫だって、ほら」
女性は……とメイの包みをそのままに、お菓子を口の中に入れてしまった。
「……ほら、そのまま食べられるよ」
「は、はぁ……」
私は女性の真似をし……お菓子を口の中に入れた。
「……あれ? 美味しい」
「だろ? ほら、もっと食べなさいな、お腹空いてるだろう?」
女性は色んなお菓子を私に勧め、食べさせた。
こんなにお菓子を食べたのは久しぶりだ……私は無心にお菓子を食べ続けた。
「……ところで、貴方、お家はどこだい?」
「……お家?」
女性は、道端で聞いてきた質問をもう一度してきた。
……お菓子で気が緩んだ私は、家の住所を正確に言ってしまった。
すると、女性は驚愕の表情を浮かべた。
「……ねぇ貴方、もしかして、『猪飼』って苗字じゃ?」
「え? そ、そうだけど……」
「……お母さんの名前は、『猪飼亜子』って言うんじゃないかい?」
「え? どうしてそれを?」
女性は突然、予知をしていたかのように、私の個人情報を口にした。
私は戸惑ってしまった……なぜこの女性はそのことを? なぜ母の名前を?
「貴方……下の名前は?」
「……瑠璃、私の名前は……猪飼瑠璃」
私は自分の名前を名乗った。
すると、女性は……急に私を抱きしめた。
「え? ええ?」
私は困惑してしまい、力が抜けてしまった。
「そうかい……貴方が瑠璃ちゃんかい……ようやっと会えたねぇ」
「ど、どういうことですか?」
女性はしばらく抱きしめた後……涙を浮かべながら、名前を名乗った。
「私は……猪飼琥珀、貴方の……叔母さんだよ」
「……え?」
夜で辺りが暗く、暖簾の文字は見えなかったが、少なくとも、駄菓子屋であることは分かった。
「お、お邪魔します……」
女性が店の扉を開け、私を迎え入れた。
「じゃ、何食べたい? 言ってごらん」
「う、うーん……」
お菓子をまともに食べたことが無いので、どれを食べたいかと聞かれても、回答に困ってしまう。
私は辺りを見つめ、柑橘系の果物が描かれているお菓子を指差した。
「おお、ブンタンアメね、はいはい」
私はお金を出そうとバックを開けたが……女性はそんな私を尻目に、私が指定したお菓子を手に取り……箱を開けた。
「え、ちょ……」
「はい、どうぞ」
女性は……優しい笑顔でお菓子を差し出した。
「お、お金、払います」
「いいよいいよ、ちょうどこれ、もうすぐ期限切れだし」
「いや……そんな……」
箱の側面が見えていたが、まだ賞味期限は1週間はあった。
お金を払おうと財布を開けても、女性は「早くそれ仕舞いな」と言って下げさせた。
「じゃ、じゃあ……いただきます」
「はい、召し上がれ」
私は女性の圧に負けてしまい、お菓子を受け取ってしまった。
ところで、これはどう食べるんだろう? 包みを開けたらいいのかな? ……あれ? 包みが二重になってる……剥さないと……。
「あぁ、その包みは剥さなくていいんだよ」
「えぇ? で、でも……」
「大丈夫だって、ほら」
女性は……とメイの包みをそのままに、お菓子を口の中に入れてしまった。
「……ほら、そのまま食べられるよ」
「は、はぁ……」
私は女性の真似をし……お菓子を口の中に入れた。
「……あれ? 美味しい」
「だろ? ほら、もっと食べなさいな、お腹空いてるだろう?」
女性は色んなお菓子を私に勧め、食べさせた。
こんなにお菓子を食べたのは久しぶりだ……私は無心にお菓子を食べ続けた。
「……ところで、貴方、お家はどこだい?」
「……お家?」
女性は、道端で聞いてきた質問をもう一度してきた。
……お菓子で気が緩んだ私は、家の住所を正確に言ってしまった。
すると、女性は驚愕の表情を浮かべた。
「……ねぇ貴方、もしかして、『猪飼』って苗字じゃ?」
「え? そ、そうだけど……」
「……お母さんの名前は、『猪飼亜子』って言うんじゃないかい?」
「え? どうしてそれを?」
女性は突然、予知をしていたかのように、私の個人情報を口にした。
私は戸惑ってしまった……なぜこの女性はそのことを? なぜ母の名前を?
「貴方……下の名前は?」
「……瑠璃、私の名前は……猪飼瑠璃」
私は自分の名前を名乗った。
すると、女性は……急に私を抱きしめた。
「え? ええ?」
私は困惑してしまい、力が抜けてしまった。
「そうかい……貴方が瑠璃ちゃんかい……ようやっと会えたねぇ」
「ど、どういうことですか?」
女性はしばらく抱きしめた後……涙を浮かべながら、名前を名乗った。
「私は……猪飼琥珀、貴方の……叔母さんだよ」
「……え?」
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