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第11章 探索者、オンステージ!
第263話 陰謀論者
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「……瑠璃!」
……大学院を出たその時、見覚えのある顔と聞き覚えのある声を聞き、私は驚きの余り、眠気も怠さも消え去った。
私がそんな状態になってしまった理由……それは……幼少期から、その姿を目すると決まって怒られていたからだ。
「……母さん」
目の前にいた人物、それは紛れもない、私を産んでくれた親……「猪飼亜子」だった。
「……一体何しに来たの?」
私は動揺を抑えつつ、母に質問をした。
謎の恐怖心により、手が震えてしまっているが……。
「一体も何も、貴方を迎えに来たんですよ」
「……迎え?」
「ええ、もう貴方もいい年齢です、そろそろ一家の一員として、『学校の運営』に携わりなさい」
学校の運営……そんなことをしていたら、ここまでやってきた研究の成果が全てパァだ。
答えは当然……。
「……嫌です、帰ってください」
「貴方も言うようになりましたねぇ……我々猪飼家は、由緒正しき学校『猪飼塾女子学園』を運営する一族だとお忘れで?」
「そんなの……姉さんに任せればいいでしょう?」
「確かにそうですね、ですが、一家が一丸となって運営をするというのが先代からの伝統です、だから貴方も大学時代に教員免許は取ったのでしょう?」
……私は母の言葉に腹が立ち……我を忘れた。
「……取ったんじゃない」
「……なんです?」
「あんたに言われて『取らされたんだ』!!」
我を忘れて声を荒げた私に向かって、多くの目線を感じた。
「いい!? 今世界中で起きている事……わかるでしょう? 私の研究がようやっと認められそうなのに……学校の運営なんて、やってられるわけがない!!」
……私は自分の気持ちを率直に訴えた。
すると、母は呆れるようにため息を上げた。
「貴方も、メディアに踊らされているようですねぇ」
「……何?」
「いいですか、これは政府が我々の木を逸らすために仕組んだものですよ、分かります? サンルート人なんて存在しません、そんなもの、ただの『動物』に過ぎません……あの塔も、政府が建設したただの建造物ですよ」
「……そんなもの?」
私は、目の前にいる……意味の分からないことを口にしている女の胸ぐらを掴んだ。
「今……なんて言った?」
「なんですか?」
「政府が仕組んだ? サンルート人が……そんなもの? 塔が政府の建造物?」
「えぇ、『ネット上』では常識ですよ?」
「……はぁ?」
この人……昔からイカれてる人だとは思ったけど、まさかこんな陰謀論にハマるなんて、どうかしてる。
……大学院を出たその時、見覚えのある顔と聞き覚えのある声を聞き、私は驚きの余り、眠気も怠さも消え去った。
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「……母さん」
目の前にいた人物、それは紛れもない、私を産んでくれた親……「猪飼亜子」だった。
「……一体何しに来たの?」
私は動揺を抑えつつ、母に質問をした。
謎の恐怖心により、手が震えてしまっているが……。
「一体も何も、貴方を迎えに来たんですよ」
「……迎え?」
「ええ、もう貴方もいい年齢です、そろそろ一家の一員として、『学校の運営』に携わりなさい」
学校の運営……そんなことをしていたら、ここまでやってきた研究の成果が全てパァだ。
答えは当然……。
「……嫌です、帰ってください」
「貴方も言うようになりましたねぇ……我々猪飼家は、由緒正しき学校『猪飼塾女子学園』を運営する一族だとお忘れで?」
「そんなの……姉さんに任せればいいでしょう?」
「確かにそうですね、ですが、一家が一丸となって運営をするというのが先代からの伝統です、だから貴方も大学時代に教員免許は取ったのでしょう?」
……私は母の言葉に腹が立ち……我を忘れた。
「……取ったんじゃない」
「……なんです?」
「あんたに言われて『取らされたんだ』!!」
我を忘れて声を荒げた私に向かって、多くの目線を感じた。
「いい!? 今世界中で起きている事……わかるでしょう? 私の研究がようやっと認められそうなのに……学校の運営なんて、やってられるわけがない!!」
……私は自分の気持ちを率直に訴えた。
すると、母は呆れるようにため息を上げた。
「貴方も、メディアに踊らされているようですねぇ」
「……何?」
「いいですか、これは政府が我々の木を逸らすために仕組んだものですよ、分かります? サンルート人なんて存在しません、そんなもの、ただの『動物』に過ぎません……あの塔も、政府が建設したただの建造物ですよ」
「……そんなもの?」
私は、目の前にいる……意味の分からないことを口にしている女の胸ぐらを掴んだ。
「今……なんて言った?」
「なんですか?」
「政府が仕組んだ? サンルート人が……そんなもの? 塔が政府の建造物?」
「えぇ、『ネット上』では常識ですよ?」
「……はぁ?」
この人……昔からイカれてる人だとは思ったけど、まさかこんな陰謀論にハマるなんて、どうかしてる。
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