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第10章 営・業・再・開
第239話 ブンタンアメ
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「みんな、ただいまー!」
「今戻ったでー!」
「ゴルド、キセノン、いる?」
リンが扉を開け、私たちはいかいやに戻ってきた。
私たちが帰宅を宣言すると、店の奥からゴルドが現れた。
「よぉ、おかえり。飯なら既に出来てるぜ」
「叔母さんは?」
「あぁ、琥珀さんなら寝てる、キセノンとラピスのポーションが効いてるみたいで、あと数日で治りそうだぜ」
「そっか」
あと数日か……営業再開もそう遠くは無いね。
ゴルドは夕飯の準備をするために、再び台所へと向かった。
「それじゃ、手を洗ってご飯食べよ!」
「せやな、行きましょ」
「あの……2人ともいい加減離れたら?」
「えぇー、バリめんどくさいからこのまま行こ!」
「せやで、ほな歩かな」
「はいはい……」
私はそのまま両手に花を添えた状態で、洗面台へと向かった。
☆
「ふぅーごちそうさま!」
ゴルドが作った夕飯を食べ終え、食器を流しに持って行った。
「それじゃ、食後のデザートでも食おうぜ」
「デザート?」
「あぁ、琥珀さんが『商品の消費期限が危ないから早く食べてくれ』って言うもんでな」
「あぁ、そっか」
この間銀次くんの見舞いの品でお金チョコ持って行ったけど、それ以外の商品もそろそろ危ないか。
「それじゃ、商品持ってこよ、みんな」
私はみんなと一緒に売り場へ行き、商品の回収を始めた。
「ちょ、ちょっとキセノン、それ持てる?」
「……大丈夫」
キセノンは段ボール3個分を一気に持って行こうとしていた。
しかもお菓子の段ボールではなく、飲み物の段ボールである……やっぱり力持ちだね、キセノン。
皆で手分けして商品を居間に集め、テーブルに広げた。
「わぁー、どれもバリ美味しそう! どれから食べようかな? バリ迷っちゃうよー」
「ほんま、迷うわぁ……瑠璃はん、なんかオススメ教えてくれへん?」
「オススメかぁ……そうだなぁ……」
私は迷った末……「ブンタンアメ」を手に取った。
アメとは言っても舐めるやつではなく、キャラメルみたいに噛んで味わう駄菓子だ。
「おぉ……これ……柑橘系の……お菓子?」
「そうだよキセノン」
「これ……どうやって食べる?」
「見てて」
ブンタンアメの箱を開け、私はアメを一個取り出す。
「おぉ……透明の包みに……入ってる……それ……剥して……食べるの?」
「違うよ、こうするの」
私は……透明の包みに覆われたアメをそのまま口に入れた。
「……え?」
キセノンは、ポカーンとした表情で、私を見つめている……まぁ異様な光景だと思うよね。
「ちょ、ちょっとルリルリ!」
「はよう吐き出さな……」
「おいおい! そののまんま食うのかよ!?」
他3人も、困惑している様子だった。
かくいう私は、ブンタンアメの甘味を味わっていた。
「うん、やっぱり美味しいね、これ」
「瑠璃ちゃん……包み……食べた?」
「あぁ、このアメはね、この包みごと食べられるんだよ」
「えぇ……それ……本当?」
「嘘だと思って食べてみなよ」
「うん……」
キセノンは恐る恐るブンタンアメを手に取り……口の中に入れた。
「ほら、噛んでみて、美味しいから」
「うん……」
キセノンは顔を顰めつつも、口の中に入れてアメを嚙み始めた。
「……どう? ノンノン」
「あれ……美味しい……違和感も……無い」
「それ本当!?」
「うん……柑橘系の……甘い……味」
キセノンの表情は一変、顔を緩め、アメの味を噛み締め、笑みを浮かべた。
そうそう、私も最初はこんな感じになったなー……。
叔母さんに勧められて食べたっけ……。
「今戻ったでー!」
「ゴルド、キセノン、いる?」
リンが扉を開け、私たちはいかいやに戻ってきた。
私たちが帰宅を宣言すると、店の奥からゴルドが現れた。
「よぉ、おかえり。飯なら既に出来てるぜ」
「叔母さんは?」
「あぁ、琥珀さんなら寝てる、キセノンとラピスのポーションが効いてるみたいで、あと数日で治りそうだぜ」
「そっか」
あと数日か……営業再開もそう遠くは無いね。
ゴルドは夕飯の準備をするために、再び台所へと向かった。
「それじゃ、手を洗ってご飯食べよ!」
「せやな、行きましょ」
「あの……2人ともいい加減離れたら?」
「えぇー、バリめんどくさいからこのまま行こ!」
「せやで、ほな歩かな」
「はいはい……」
私はそのまま両手に花を添えた状態で、洗面台へと向かった。
☆
「ふぅーごちそうさま!」
ゴルドが作った夕飯を食べ終え、食器を流しに持って行った。
「それじゃ、食後のデザートでも食おうぜ」
「デザート?」
「あぁ、琥珀さんが『商品の消費期限が危ないから早く食べてくれ』って言うもんでな」
「あぁ、そっか」
この間銀次くんの見舞いの品でお金チョコ持って行ったけど、それ以外の商品もそろそろ危ないか。
「それじゃ、商品持ってこよ、みんな」
私はみんなと一緒に売り場へ行き、商品の回収を始めた。
「ちょ、ちょっとキセノン、それ持てる?」
「……大丈夫」
キセノンは段ボール3個分を一気に持って行こうとしていた。
しかもお菓子の段ボールではなく、飲み物の段ボールである……やっぱり力持ちだね、キセノン。
皆で手分けして商品を居間に集め、テーブルに広げた。
「わぁー、どれもバリ美味しそう! どれから食べようかな? バリ迷っちゃうよー」
「ほんま、迷うわぁ……瑠璃はん、なんかオススメ教えてくれへん?」
「オススメかぁ……そうだなぁ……」
私は迷った末……「ブンタンアメ」を手に取った。
アメとは言っても舐めるやつではなく、キャラメルみたいに噛んで味わう駄菓子だ。
「おぉ……これ……柑橘系の……お菓子?」
「そうだよキセノン」
「これ……どうやって食べる?」
「見てて」
ブンタンアメの箱を開け、私はアメを一個取り出す。
「おぉ……透明の包みに……入ってる……それ……剥して……食べるの?」
「違うよ、こうするの」
私は……透明の包みに覆われたアメをそのまま口に入れた。
「……え?」
キセノンは、ポカーンとした表情で、私を見つめている……まぁ異様な光景だと思うよね。
「ちょ、ちょっとルリルリ!」
「はよう吐き出さな……」
「おいおい! そののまんま食うのかよ!?」
他3人も、困惑している様子だった。
かくいう私は、ブンタンアメの甘味を味わっていた。
「うん、やっぱり美味しいね、これ」
「瑠璃ちゃん……包み……食べた?」
「あぁ、このアメはね、この包みごと食べられるんだよ」
「えぇ……それ……本当?」
「嘘だと思って食べてみなよ」
「うん……」
キセノンは恐る恐るブンタンアメを手に取り……口の中に入れた。
「ほら、噛んでみて、美味しいから」
「うん……」
キセノンは顔を顰めつつも、口の中に入れてアメを嚙み始めた。
「……どう? ノンノン」
「あれ……美味しい……違和感も……無い」
「それ本当!?」
「うん……柑橘系の……甘い……味」
キセノンの表情は一変、顔を緩め、アメの味を噛み締め、笑みを浮かべた。
そうそう、私も最初はこんな感じになったなー……。
叔母さんに勧められて食べたっけ……。
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