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第9章 サンルートの王、参上!
第231話 吸血鬼の報酬
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「いやぁ! 本当に素晴らしい! 余はとても感動してしまった!」
元の大きさの姿に戻ると、ダイヤさんは私たちを祝福しながら拍手で出迎えた。
一度休もうと思い、私たちは変身を解除し、物陰で語り合った。
「うん……ダイヤちゃんの言う通り……かっこよかった」
「キセノン殿もそう思うか! いやはや気が合うねぇ!!」
ダイヤさんはキセノンの手を掴むと大きく振り回した。
「そういえばキセノン殿! さきほどのドローン? の件なのだが……依頼料について話すことをすっかり忘れていたな! 『インベントリ、オープンアップ』」
そう言うとダイヤさんは、魔法陣の中から、何やら紙と羽ペンを取り出した。
気になって近づいてみると、その紙は真っ白なよくある画用紙などではなく、複雑な透明な模様が描かれていて、大きく「約束手形」と書かれていた。
これは……所謂小切手? 今の時代あんまり見ないと思ったけど、まだあるんだね。
「キセノン殿、これは君への対価だ、好きな値段を書いてくれ」
ダイヤさんは小切手を向けつつ、そんなことを言ってきた。
するとキセノンは……少し困惑した顔をしていた。
「いや……お金……いらない……間に合ってる」
「そんなこと言わずに……流石に商売人として、相手にタダ働きさせるわけにはいけないからね」
「いや……私……好きでやってるし……」
「そんな謙遜しなくても良い! ほら!」
キセノンは受け取りたくない様子だった。
キセノンらしいと言えばそうかもしれないけど、確かに相手が払うって言ってるのに貰わないのはもったいない気がする。
「おい、キセノン。せっかくダイヤさんが払うって言ってんだからそこは貰っておけよ」
「ゴル爺の言う通りだよ!」
「せやで! 貰っとき!」
「でも……本当に……いらない……」
キセノンはゴルド達に迫られて、さらに困った表情を浮かべてしまっている……うーん、ここは。
「じゃあさ、そのお金、叔母さんに渡すのはどう?」
「……琥珀ちゃんに?」
「そうそう、キセノンは銀行口座とか持ってないし、叔母さんは自分の口座以外にも駄菓子屋の口座とか持ってるからさ」
「なるほど……じゃあ……琥珀ちゃんに……あげる」
キセノンの曇った表情は青空のように晴れ、小切手を受け取った。
叔母さんの駄菓子屋の口座番号……確か「瑠璃ちゃんにも管理できるように渡しておくね」って言ってキャッシュカード渡してくれたっけな……法律的に大丈夫か不安だけど。
私はキャッシュカードをキセノンに見せた。
「うーん……お店の……今後の……経営状況……考えると……」
キセノンはしばらく考えたのち、値段を書くと、ダイヤさんに返却した。
「これ……ここ……振り込んでおいて」
「よし、契約成立だ」
キセノンとダイヤさんは握手を交わし、ここに契約が成立した。
ビジネスの取引って見たことないけど、こんな円滑には普通進まないだろうな……。
「よし、では皆の衆! さっさとこんなところに出て、我々の次の計画へと進もう!」
ダイヤさんが号令をかけ、私たちは鎧を装備し、最奥へと目指した。
元の大きさの姿に戻ると、ダイヤさんは私たちを祝福しながら拍手で出迎えた。
一度休もうと思い、私たちは変身を解除し、物陰で語り合った。
「うん……ダイヤちゃんの言う通り……かっこよかった」
「キセノン殿もそう思うか! いやはや気が合うねぇ!!」
ダイヤさんはキセノンの手を掴むと大きく振り回した。
「そういえばキセノン殿! さきほどのドローン? の件なのだが……依頼料について話すことをすっかり忘れていたな! 『インベントリ、オープンアップ』」
そう言うとダイヤさんは、魔法陣の中から、何やら紙と羽ペンを取り出した。
気になって近づいてみると、その紙は真っ白なよくある画用紙などではなく、複雑な透明な模様が描かれていて、大きく「約束手形」と書かれていた。
これは……所謂小切手? 今の時代あんまり見ないと思ったけど、まだあるんだね。
「キセノン殿、これは君への対価だ、好きな値段を書いてくれ」
ダイヤさんは小切手を向けつつ、そんなことを言ってきた。
するとキセノンは……少し困惑した顔をしていた。
「いや……お金……いらない……間に合ってる」
「そんなこと言わずに……流石に商売人として、相手にタダ働きさせるわけにはいけないからね」
「いや……私……好きでやってるし……」
「そんな謙遜しなくても良い! ほら!」
キセノンは受け取りたくない様子だった。
キセノンらしいと言えばそうかもしれないけど、確かに相手が払うって言ってるのに貰わないのはもったいない気がする。
「おい、キセノン。せっかくダイヤさんが払うって言ってんだからそこは貰っておけよ」
「ゴル爺の言う通りだよ!」
「せやで! 貰っとき!」
「でも……本当に……いらない……」
キセノンはゴルド達に迫られて、さらに困った表情を浮かべてしまっている……うーん、ここは。
「じゃあさ、そのお金、叔母さんに渡すのはどう?」
「……琥珀ちゃんに?」
「そうそう、キセノンは銀行口座とか持ってないし、叔母さんは自分の口座以外にも駄菓子屋の口座とか持ってるからさ」
「なるほど……じゃあ……琥珀ちゃんに……あげる」
キセノンの曇った表情は青空のように晴れ、小切手を受け取った。
叔母さんの駄菓子屋の口座番号……確か「瑠璃ちゃんにも管理できるように渡しておくね」って言ってキャッシュカード渡してくれたっけな……法律的に大丈夫か不安だけど。
私はキャッシュカードをキセノンに見せた。
「うーん……お店の……今後の……経営状況……考えると……」
キセノンはしばらく考えたのち、値段を書くと、ダイヤさんに返却した。
「これ……ここ……振り込んでおいて」
「よし、契約成立だ」
キセノンとダイヤさんは握手を交わし、ここに契約が成立した。
ビジネスの取引って見たことないけど、こんな円滑には普通進まないだろうな……。
「よし、では皆の衆! さっさとこんなところに出て、我々の次の計画へと進もう!」
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