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第9章 サンルートの王、参上!
第217話 離島
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「ルリルリ! ダイダイ! あそこに人がいるよ!」
しばらく進んでいると、リンは海辺の向こう側を差して、そう言った。
「え?」
「どこだ!?」
私とダイヤさんはその方向を見てみるが、見当たらない。
「ほらルリルリ! あそこ!」
「え、ちょっと……」
リンは私の腕をぐっと掴み、顔をゼロ距離まで近づけ、額を重ね合わせ視点を融合させた。
な、なんでこんな体勢に!?
「ほら向こう! 人が離島に!!」
「……あっ!」
リンが指を差した方向……よく目を凝らしてみると、確かに、何人かが離れ小島に取り残されているように見えた。
「よぉーし! お客様の危機! ここは余が一肌脱ごうではないか!」
そう言って、ダイヤさんは上着を脱ぎ、その下の服も脱ごうとしていた……って、何しようとしてるのこの人!?
「ちょ、ちょっとダイヤさん、何しようとしてるんですか!?」
「決まっている! 泳いで彼らを助けるんだ!」
「い、いやそれはやめてくださいよ! 危険ですって! この海にはモンスターがいるんですよ!」
もしも海に入ろうもんなら、奴らの餌になるのがオチだ。
仮にも一国の王様がモンスターに食われて終わりなんて想像もしたくない。
私は彼女の手を引っ張り、海へダイブしようとするダイヤさんを必死に止めた。
「離してくれ! お客様のピンチだ!」
「海に入ったら貴方がピンチになりますよ!」
「余の命などどうでもよい! お客様の命が犠牲になるくらいなら余が犠牲になる!!」
「いやいや、飛び込んだとして、どうやってここまで運ぶんですか!」
「……あっ」
私の言葉に、ダイヤさんは冷静になった。
「そ、そういえば、余が飛び込んでも……子ども一人運ぶのが精一杯であるな」
「それに、泳げない人がいたらどうするんですか?」
「あぁ、それもそうか……すまない」
「いや、別に謝ることではないですよ、別の方法を考えましょう」
ダイヤさんは脱いだ衣服を再び身に纏い、何事も無かったかのように咳払いをした。
「それでは、ここは余が転移ゲートを作り、向こうまでワープして彼らを運ぼう、魔法の関係上一人ずつしか運ぶことはできないが……お客様のためだ! このくらいどうってことない!」
……いや、それ思いつくなら最初からやればよかったのでは?
この人……慌てると冷静な判断ができないタイプ?
「ダイダイ! それよりもこっちの方が早いよ!」
リンはそう言うと、カードを取り出し、腕輪を操作し始めた。
『イッツ巨大タイム!』
「それじゃ行ってくるね!」
「い、いくってどこへだい?」
「決まってるでしょ? 助けに行くの!」
『巨大なイマジネーション! エルフホーネット!』
リンがカードを翳すと、桃色の巨大な蜂に変化した。
なるほど、大きくなって運んだ方が確かに早い。
「お、おぉ……凄まじい姿であるな……」
『でしょ? それじゃ! 今すぐ連れてくるから!』
リンはそう言って、離島へと飛び立った。
しばらく進んでいると、リンは海辺の向こう側を差して、そう言った。
「え?」
「どこだ!?」
私とダイヤさんはその方向を見てみるが、見当たらない。
「ほらルリルリ! あそこ!」
「え、ちょっと……」
リンは私の腕をぐっと掴み、顔をゼロ距離まで近づけ、額を重ね合わせ視点を融合させた。
な、なんでこんな体勢に!?
「ほら向こう! 人が離島に!!」
「……あっ!」
リンが指を差した方向……よく目を凝らしてみると、確かに、何人かが離れ小島に取り残されているように見えた。
「よぉーし! お客様の危機! ここは余が一肌脱ごうではないか!」
そう言って、ダイヤさんは上着を脱ぎ、その下の服も脱ごうとしていた……って、何しようとしてるのこの人!?
「ちょ、ちょっとダイヤさん、何しようとしてるんですか!?」
「決まっている! 泳いで彼らを助けるんだ!」
「い、いやそれはやめてくださいよ! 危険ですって! この海にはモンスターがいるんですよ!」
もしも海に入ろうもんなら、奴らの餌になるのがオチだ。
仮にも一国の王様がモンスターに食われて終わりなんて想像もしたくない。
私は彼女の手を引っ張り、海へダイブしようとするダイヤさんを必死に止めた。
「離してくれ! お客様のピンチだ!」
「海に入ったら貴方がピンチになりますよ!」
「余の命などどうでもよい! お客様の命が犠牲になるくらいなら余が犠牲になる!!」
「いやいや、飛び込んだとして、どうやってここまで運ぶんですか!」
「……あっ」
私の言葉に、ダイヤさんは冷静になった。
「そ、そういえば、余が飛び込んでも……子ども一人運ぶのが精一杯であるな」
「それに、泳げない人がいたらどうするんですか?」
「あぁ、それもそうか……すまない」
「いや、別に謝ることではないですよ、別の方法を考えましょう」
ダイヤさんは脱いだ衣服を再び身に纏い、何事も無かったかのように咳払いをした。
「それでは、ここは余が転移ゲートを作り、向こうまでワープして彼らを運ぼう、魔法の関係上一人ずつしか運ぶことはできないが……お客様のためだ! このくらいどうってことない!」
……いや、それ思いつくなら最初からやればよかったのでは?
この人……慌てると冷静な判断ができないタイプ?
「ダイダイ! それよりもこっちの方が早いよ!」
リンはそう言うと、カードを取り出し、腕輪を操作し始めた。
『イッツ巨大タイム!』
「それじゃ行ってくるね!」
「い、いくってどこへだい?」
「決まってるでしょ? 助けに行くの!」
『巨大なイマジネーション! エルフホーネット!』
リンがカードを翳すと、桃色の巨大な蜂に変化した。
なるほど、大きくなって運んだ方が確かに早い。
「お、おぉ……凄まじい姿であるな……」
『でしょ? それじゃ! 今すぐ連れてくるから!』
リンはそう言って、離島へと飛び立った。
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