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第8章 立ち上がライズ! ドワーフじゃーないと!
ドワーフの過去 その4 ~後悔~
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「……ちゃん……兄ちゃん!!」
……目を開けると、弟分、妹分たちが、ワシの周りを囲うように見つめていた。
「こ、ここは……」
「ゴルド兄ちゃん、今は起きなくていいから!」
起き上がろうとしたワシだったが、妹分が必死に抑え、ワシはそれに流されてしまい、再び横になった。
「ワシは……何故ここに戻ってきた?」
「探索者の人が助けてくれたんだよ、兄ちゃん、2日も目を覚まさなかったんだよ?」
2日も目を覚まさなかったのか……な、ならばお袋はどうなった!?
ワシはお袋について聞きだした。
「お袋は……お袋はどうなったんだ!?」
ワシの言葉に……皆、黙り込んでしまった。
……皆、悲しそうな表情をしている……まさか。
そこで、ワシは察してしまった。
「嘘……だろ?」
「あぁ……死んだよ、お袋は」
「そんな……」
弟分の言葉に現実を突きつけられたワシは、何も言えなくなってしまった。
妹分や年少の子どもたちは、その場で泣き崩れてしまい、弟分たちも、悔やむような表情で下を向いていた。
「お医者さん……ゴルド兄ちゃんが出て行ったあと……なんとかしようと処置したんだけど……ダメだった……」
「……」
そんな……ワシがあの時倒れなかったら……お袋が助かったかもしれないのに……。
ワシは、呆然としてしまい、その後の記憶は……あまり覚えていない。
☆
お袋の葬儀を終え、数か月。
「はーいみんな、食事!」
「早くしないと冷めちゃうぞ!」
ワシら年長たちが孤児院を仕切るようになり、資金集めに出稼ぎに行ったり、小物を作って売り込みに行くようになった。
かくいうワシも、探索者稼業を始めるようになり、生活もだいぶ良くなってきた。
孤児院の奴らは、既に現実を受け入れ、前に進んでいた。
だが……ワシの心の中には、穴が開いたまま。
この時のワシは、現実を受け入れられず、何をするにも後ろ向きだった。
朝目が覚めて、飯食って、孤児院の為にダンジョンに行き、日銭を稼ぐ毎日……。
まるで、お袋の後を追うために生きているみたいだった。
「ねぇ兄ちゃん! 兄ちゃんも早く飯食おうよ!」
「ワシは……いい」
ワシはあれから、孤児院の皆と食事をとらず、一人で食べるようになった。
お袋を助けることもできなかったワシが、みんなと同じ食卓で飯を食うなど、できないと思ったからだ。
「ねえ兄ちゃん、別にお袋が死んだのは兄ちゃんのせいじゃないってあれほど言ってるだろ?」
「いや、ワシがあそこで諦めなかったら……」
「諦めたわけじゃないでしょ? 兄ちゃんはよく頑張ったよ……あんなところ1人で行くなんて……」
「だが!!」
「ッ!?」
……弟分は、ワシの強い言葉に、黙り込んでしまった。
ワシは冷静になり、立ち上がった。
「……すまないが、1人にさせてくれ」
「う、うん……」
ワシは自分の部屋に戻り、鍵を掛け、考え込んだ。
何故あの時、歩くのをやめてしまったのか、何故あの時、1人で行ってしまったのか。
後悔の連続、こんなことをしても何もならないのは分かっている……分かっているのに、何をするにも億劫だ。
お袋がいない今……ワシは何を生きがいに生きて行けばいいのか……。
「……お袋、なんで死んじまうんだよ」
ワシは……部屋の中で、額を濡らした。
……目を開けると、弟分、妹分たちが、ワシの周りを囲うように見つめていた。
「こ、ここは……」
「ゴルド兄ちゃん、今は起きなくていいから!」
起き上がろうとしたワシだったが、妹分が必死に抑え、ワシはそれに流されてしまい、再び横になった。
「ワシは……何故ここに戻ってきた?」
「探索者の人が助けてくれたんだよ、兄ちゃん、2日も目を覚まさなかったんだよ?」
2日も目を覚まさなかったのか……な、ならばお袋はどうなった!?
ワシはお袋について聞きだした。
「お袋は……お袋はどうなったんだ!?」
ワシの言葉に……皆、黙り込んでしまった。
……皆、悲しそうな表情をしている……まさか。
そこで、ワシは察してしまった。
「嘘……だろ?」
「あぁ……死んだよ、お袋は」
「そんな……」
弟分の言葉に現実を突きつけられたワシは、何も言えなくなってしまった。
妹分や年少の子どもたちは、その場で泣き崩れてしまい、弟分たちも、悔やむような表情で下を向いていた。
「お医者さん……ゴルド兄ちゃんが出て行ったあと……なんとかしようと処置したんだけど……ダメだった……」
「……」
そんな……ワシがあの時倒れなかったら……お袋が助かったかもしれないのに……。
ワシは、呆然としてしまい、その後の記憶は……あまり覚えていない。
☆
お袋の葬儀を終え、数か月。
「はーいみんな、食事!」
「早くしないと冷めちゃうぞ!」
ワシら年長たちが孤児院を仕切るようになり、資金集めに出稼ぎに行ったり、小物を作って売り込みに行くようになった。
かくいうワシも、探索者稼業を始めるようになり、生活もだいぶ良くなってきた。
孤児院の奴らは、既に現実を受け入れ、前に進んでいた。
だが……ワシの心の中には、穴が開いたまま。
この時のワシは、現実を受け入れられず、何をするにも後ろ向きだった。
朝目が覚めて、飯食って、孤児院の為にダンジョンに行き、日銭を稼ぐ毎日……。
まるで、お袋の後を追うために生きているみたいだった。
「ねぇ兄ちゃん! 兄ちゃんも早く飯食おうよ!」
「ワシは……いい」
ワシはあれから、孤児院の皆と食事をとらず、一人で食べるようになった。
お袋を助けることもできなかったワシが、みんなと同じ食卓で飯を食うなど、できないと思ったからだ。
「ねえ兄ちゃん、別にお袋が死んだのは兄ちゃんのせいじゃないってあれほど言ってるだろ?」
「いや、ワシがあそこで諦めなかったら……」
「諦めたわけじゃないでしょ? 兄ちゃんはよく頑張ったよ……あんなところ1人で行くなんて……」
「だが!!」
「ッ!?」
……弟分は、ワシの強い言葉に、黙り込んでしまった。
ワシは冷静になり、立ち上がった。
「……すまないが、1人にさせてくれ」
「う、うん……」
ワシは自分の部屋に戻り、鍵を掛け、考え込んだ。
何故あの時、歩くのをやめてしまったのか、何故あの時、1人で行ってしまったのか。
後悔の連続、こんなことをしても何もならないのは分かっている……分かっているのに、何をするにも億劫だ。
お袋がいない今……ワシは何を生きがいに生きて行けばいいのか……。
「……お袋、なんで死んじまうんだよ」
ワシは……部屋の中で、額を濡らした。
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