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第8章 立ち上がライズ! ドワーフじゃーないと!

第196話 応援してくれる人

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 凸凹している茨のような道を、私は一歩ずつ歩いている。
 ま、間違えて一般人を潰したりしないよね? 慎重に歩いてはいるけど……。
 ……あ、あれ……病院の人じゃない!? なんか、岩肌の物陰から人が見えたような……。

「すみませーん! 病院の方ですか?」

 私がそう叫ぶと、一般人……お医者さんと患者さんと思われる人が数人出てきた。
 警戒心MAXなように見える……まぁ突然得体の知れない巨大なロボが声掛けてきたら警戒するか……。
 私は警戒心を解いてもらおうと、元の大きさに戻り、変身を解除した。

「大丈夫ですか!?」
「あ、貴方一体……」
「皆さんを助けに来ました」
「そ、そうですか……」

 お医者さんは困惑しつつも、納得したようだった。

「怪我人は? 病気の人は?」
「あ、あぁ……この通り患者さんが数名いて、このままじゃ移動しようにも……」
「任せてください」

 お医者さんの言葉を聞き、私は再び巨大になった。

「さぁ、乗って!」

 私はお医者さんたちに向かって掌を翳し、乗るように指示した。
 お医者さんたちは警戒しつつもゆっくりと手にほらに乗ってきた。
 全員乗ったことを確認し、私は彼らを落とさないように、安全地帯へと運び出した。



 一通り一般人を安全地帯へ運び、しばらくすると、リンとラピスと合流した。
 お互いに変身解除し、生身で対面した。

「ルリルリ~!」

 リンは私を見るや否や、両手を広げて飛び込んできた。

「ど、どうしたの?」
「聞いたよ~ヒスヒスたちが親衛隊ってのを結成したって話~!」
「そ、それがどうしたの?」
「アタシとラピラピを応援してくれる人がいないんだよ~」

 あぁー確かに、この2人を応援してくれる人はいないな……って待てよ。

「ラピスには美月ちゃんたちがいるんじゃない?」
「あ、せやなぁ……ということは、おらんのリンはんだけやんか」
「そんなぁ~……」

 リンはかなり凹んでいるようだ。
 うーん……なんて声掛けようか? あ、そうだ。

「リン、リンを見てくれている人は絶対にいるよ」
「ほ、ほんと?」
「うん、それに、翡翠ちゃんたちだって、貴方の事を全く見ていないわけじゃないんだからさ、単純に一番応援したいのが私だったり、キセノンだったりするだけだよ」
「うーん……なんかバリ複雑……」
「それにさ……リンを応援してる人は、目の前にいるじゃない」
「……え?」

 私はリンの頭を撫で、応援してくれている人が誰なのかを遠回しに教えてあげた。
 リンも察したのか、暗かった表情が一変、満面の笑みに変化した。

「だよね! 応援してくれている人……バリすぐ近くに居たね!」
「う、うん……」

 リンは私を抱きしめる力を強め、思いっきり顔を近づけてきた……これは。

「ありがとう、ルリルリ……バリ大好き!」
「わ、私も……大好き……だ……んん!?」

 リンは、あまりの嬉しさに、唇でその思いをダイレクトに教えてきた。
 私の口は塞がれ、リンは思いを伝えたいがあまり、口の中の筋肉を私の口内に押し付けてきた!?
 私は思わず、リンの肩を押し、離れさせた。

「ちょ、ちょっとリン!? 何考えてるの!?」
「えへへ~ちょっと気持ちが高ぶっちゃった」
「……」

 何考えてるのこの子!? ちょっと怖いんだけど……。

「ほな、ウチもリンはんの事、めっちゃ応援しとるでー」
「ラピラピも!?」
「当たり前やんか、ずーっと一緒やったろ?」
「ありがとう! ラピラピも大好き!」

 ……2人もお互いの思いを伝えるかの如く、唇を重ね合わせる。
 ほんとに……モンスターの攻撃にには慣れても、このキス魔の攻撃は慣れない……。

「と、とりあえず! まだ一般人がいるかもしれないから、もう一回行くよ!」
「うん!」
「はいよ」

 私たちは再び巨大化し、一般人の捜索を始めた。
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