現代にダンジョンが現れたので、異世界人とパーティ組んでみた

立風館幻夢/夜野一海

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第8章 立ち上がライズ! ドワーフじゃーないと!

第191話 「行け!! 銀次!!」

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「む、無理だよ……あんなの……おじちゃんでも……」

 ……銀次は、ただ見つめるしかできなかった。
 ゴルドは、損な巨大な敵を見ても……少し余裕そうに見えた。

「来やがったか、だがな、デケェのはテメェだけじゃねぇんだぜ?」

 ゴルドはカードを取り出し……腕輪を弄り始めた。

『イッツ巨大タイム!』

 そんな音声と共に、ロック調の音楽が流れ、ゴルドはそのBGMをバックに、腕輪にカードを翳した。

『巨大な祭りだー! ドワーフカブト!』

 謎の読み上げ音声と共に、ゴルドは巨大な黄色いカブトムシに変化した。

「な、なにあれ……なんか……かっこいい、かも」

 銀次はそんなゴルドの姿を……まじまじと見つめていた。

『来やがれ! ワシが相手だ!』

 ゴルドは羽を広げ、最初に襲ってきたワイバーンを吹っ飛ばし、巨大なワイバーンに突撃する。
 巨大な角が巨大なワイバーンに命中するも、仕返しとばかりに、炎を放った。

『あっつ! クソぉ……なかなかやるな』

 ゴルドは背中から地面に倒れ、足をバタつかせていた。
 しかし、すぐさまその状態から立ち上がり、再び羽を広げた。

『ここでやられるわけにはいかねぇ……テメェはここでぶっ倒す!』

 ゴルドは諦めず、突撃を再び開始する。
 銀次は、その様子をずっと見つめていた。

「すごい……あんなに大きくて、強い相手に……」

 銀次は、ゴルドと自信を重ね合わせ、立ち上がった。

「自分を……信じる、僕には……できる!」

 銀次はゆっくり、しかし力強く、前へ前へと前進する。
 脚は震え、いつ倒れるかもわからなかったが……銀次はそれでも、歩き続けた。

『うおおおおお!! 銀次!!』

 突然、ゴルドが叫び声を上げ、銀次はそれに反応し、上を見上げた。
 ふと上を見ると、巨大なワイバーンが銀次に襲い掛かろうとしていたのだ。
 銀次は脚をすくめるも、巨大なカブトムシとなったゴルドがワイバーンに突撃し、吹っ飛ばした。

『テメェを遮るものはワシが対処する! 銀次は歩くことに集中しろ!』
「お、おじちゃん……」
『行け!! 銀次!!』

 巨大なカブトムシから声援を受けた銀次は、再び進み始めた。
 一歩ずつ、一歩ずつ、正確に……。
 彼を遮るものは、全てゴルドが対処した。
 それ故に、銀次を止める存在は、どこにもなかった。

「できる……僕にはできる……」

 銀次は倒れかけても、自己暗示を掛け、進み続けた。
 そして……。

「来た……もうすぐだ……」

 安全地帯の洞穴まで、後数十メートルのところまで来た。
 そんな時、洞穴から、青き吸血鬼……キセノンが迎えに来た。

「銀次ちゃん……大丈夫?」
「だ、大丈夫……」
「よく頑張ったね……私……運ぶ……」

 キセノンは銀次を抱え、安全地帯へ行く準備を整えた。

『キセノン! そいつを中に入れたら、こっちを手伝ってくれ!』
「わかった……待ってて」

 キセノンは脚に思い切り力を入れ、羽を広げ、安全地帯の洞穴へと入り込んだ。
 安全地帯の中で、碧と翡翠と再び合流し、銀次を2人に託したキセノンは、カードを取り出し、巨大化アプリを起動させた。

『イッツ巨大タイム!』

 中華風の待機音をバックに、キセノンはカードを翳した。

『デカデカになるのはワキワキ! ヴァンパイアバット!』

 キセノンが自ら打ち込んだ音声が流れ、巨大なコウモリに変化した。

『ゴルドちゃん……助ける……みんな……早く来て……』

 キセノンは超音波を発し、戦いに加勢した。
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